そんなはずじゃなかったのに
@kamiyanogawa
そんなはずじゃなかったのに
○キャラクター
・実ノ丸(みのまる)(13歳)→妖怪の少年。
・木ノ実(きのみ)(13歳)→人間の少女。
【1ページ目】
○イメージカット(江戸時代の町・町中・夜)
★人間達の上半身(老若男女)(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(汗をかいている)(走っている)(妖怪達から逃げている)(妖怪達に襲われている)(震えている)が映っている。
妖怪達の上半身(人間のような見た目をしている)(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(走っている)(人間達を襲っている)が映っている。
実ノ丸M「日本の妖怪には、『主食(食べ物)は人間の人体だ』ってゆー生まれつきの本能があった……」
実ノ丸M「それからもう一つ、『主食(飲み物)は人間の体液だ』ってゆー本能もあった……」
○同
★人間達の上半身(老若男女)(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(傷だらけになっている)(血まみれになっている)(地面に倒れている)(妖怪達に襲われている)(妖怪達に食われている)が映っている。
妖怪達の上半身(人間のような見た目をしている)(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(血まみれになっている)(人間達を襲っている)(人間達を食っている)が映っている。
実ノ丸M「だから、かつての日本には、正面から妖怪として現れて人間共を食い殺し、腹を満たす妖怪達があふれ返ってた……」
実ノ丸M「他にも、本能を抑止して人間のふりをしてから人間共を食い殺し、腹を満たす妖怪達もあふれ返ってた……」
実ノ丸M「そんで、人間共から少しずつ、恐れられ、憎まれるようになってった……」
○同
★人間達の全身(老若男女)(体は正面を向いている)(顔は正面を向いている)(妖怪達を見上げている)(眉を下げている)(目を見開かせている)(目に涙を溜めている)(歯を食いしばっている)(傷だらけになっている)(血まみれになっている)(汗をかいている)(地面に倒れている)(妖怪達に土下座をしている)(妖怪達に命乞いをしている)(震えている)が映っている。
妖怪達の上半身(人間のような見た目をしている)(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(人間達を見下ろしている)(血まみれになっている)(仁王立ちしている)(両手を握り締めている)が映っている。
実ノ丸M「けど、人間共に罪悪感を向ける妖怪は誰一人として存在しなかった……」
実ノ丸M「自身に嫌悪感を向ける妖怪も誰一人として存在しなかった……」
○同
★人間達の全身の骨(老若男女)(体は正面を向いている)(顔は正面を向いている)(妖怪達を見上げている)(地面に倒れている)(妖怪達に土下座をしている)(妖怪達に命乞いをしている)が映っている。
妖怪達の上半身(人間のような見た目をしている)(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(人間達を見下ろしている)(血まみれになっている)(仁王立ちしている)(両手を握り締めている)が映っている。
実ノ丸M「自分達の負の感情があんな本能を持たなきゃなんねぇ妖怪達を生み出してる、ってことを知らずに妖怪を、恐れ、憎む人間共を、妖怪達は無責任だって感じてたからだった……」
実ノ丸M「自分達の負の感情が血のつながった親や兄弟のいねぇ孤独に苦しまなきゃなんねぇ妖怪達を生み出してる、ってことも知らずに妖怪を、恐れ、憎む人間共を、妖怪達は無責任だって感じてたからだった……」
○イメージカット(江戸時代の町・町中・昼)
★人間達の全身(老若男女)(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は前を向いている)(眉をひそめている)(目を開けている)(口を閉じている)(笑っていない)(歩いている)(妖怪達とすれ違いそうになっている)(黒い闇が全身にまとわりついている)が引きで映っている。
妖怪達の全身(人間のような見た目をしている)(体は左を向いている)(顔は左を向いている)(目線は前を向いている)(眉をひそめている)(目を開けている)(口を閉じている)(笑っていない)(歩いている)(人間達とすれ違いそうになっている)(黒い闇が全身にまとわりついている)が引きで映っている。
実ノ丸M「それでも、かつての日本じゃ、妖怪と人間は一つの世界で共存してた……」
○同
★人間達の全身(老若男女)(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は前を向いている)(眉をひそめている)(目を開けている)(口を閉じている)(笑っていない)(歩いている)(妖怪達とすれ違っている)(黒い闇を全身にまとっている)が引きで映っている。
妖怪達の全身(人間のような見た目をしている)(体は左を向いている)(顔は左を向いている)(目線は前を向いている)(眉をひそめている)(目を開けている)(口を閉じている)(笑っていない)(歩いている)(人間達とすれ違ている)(黒い闇を全身にまとっている)が引きで映っている。
実ノ丸M「互いに憎み合いながらも、一つの世界で共存出来てた……」
【2ページ目】
○イメージカット(第一次世界大戦中の戦地・炎の中・昼)
★人間達の全身(体は左を向いている)(顔は左を向いている)(敵を見上げている)(眉をひそめている)(目を見開かせている)(歯を食いしばっている)(汗をかいている)(敵と武器を交えている)が映っている。
人間達の全身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(敵を見下ろしている)(眉をひそめている)(目を見開かせている)(歯を食いしばっている)(汗をかいている)(敵と武器を交えている)が映っている。
妖怪達の全身の骨(人間のような見た目をしている)(地面に倒れている)が映っている。
実ノ丸M「だけど、時代と共に人間共が戦や戦争をするようになってった……」
実ノ丸M「そんで、人間共の作った兵器や核兵器にやられる妖怪達が多くなってった……」
○イメージカット(第一次世界大戦中の戦地・炎の中・夜)
★人間達の全身(体は左を向いている)(顔は左を向いている)(敵を見上げている)(眉をひそめている)(目を見開かせている)(歯を食いしばっている)(汗をかいている)(敵と武器を交えている)が映っている。
人間達の全身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(敵を見下ろしている)(眉をひそめている)(目を見開かせている)(歯を食いしばっている)(汗をかいている)(敵と武器を交えている)が映っている。
実ノ丸M「なのに、妖怪達は戦や戦争に夢中な人間共に忘れられてく一方だった……」
実ノ丸M「だから、妖怪達だけが人間共を、恐れ、憎むようになってった……」
○妖怪の世界と人間の世界をつなぐ大樹(光っていない)・外観・(昼)
★妖怪達の全身(人間のような見た目をしている)(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(妖怪の世界と人間の世界をつなぐ大樹(光っていない)を見上げている)(仁王立ちしている)(両手を握り締めている)が引きで映っている。
実ノ丸M「けど、妖怪達は人間共に立ち向かんねぇで、とある大樹を通り抜けた向こうにある世界を、妖怪の世界として造り上げた……」
実ノ丸M「それから、人間を主食にしねぇ日々を送った……」
○妖怪の世界(みすぼらしい村)・全景・(昼)
★
実ノ丸M「人間共に殺されたくねぇ……」
実ノ丸M「死にたくねぇ一心で……」
【3ページ目】
○妖怪の世界と人間の世界をつなぐ大樹(光っている)・外観・(昼)
★妖怪達の全身(人間のような見た目をしている)(体は左を向いている)(顔は左を向いている)(目線は前を向いている)(目を見開かせている)(歯を食いしばっている)(必死な顔をしている)(妖怪の世界と人間の世界をつなぐ大樹(光っている)に向かって走っている)が引きで映っている。
妖怪達の全身(人間のような見た目をしている)(体は左を向いている)(顔は左を向いている)(目線は前を向いている)(目を見開かせている)(大きく口を開けている)(叫んでいる)(必死な顔をしている)(妖怪の世界と人間の世界をつなぐ大樹(光っている)に向かって走っている妖怪達に向かって走っている)(妖怪の世界と人間の世界をつなぐ大樹(光っている)に向かって走っている妖怪達に片手を伸ばしている)が引きで映っている。
実ノ丸M「けど、どうしても空腹を満たしてぇ、そんな思いから人間の世界に飛び出した妖怪達が後を絶たなくなってった……」
実ノ丸M「空腹を満たすついでに復讐も果たしてぇ、そんな思いから人間の世界に飛び出した妖怪達も後を絶たなくなってった……」
○妖怪の世界と人間の世界をつなぐ大樹(光っていない)・外観・(昼)
★妖怪達の全身(人間のような見た目をしている)(体は左を向いている)(顔は左を向いている)(目線は前を向いている)(目を開けている)(大きく口を開けている)(叫んでいる)(必死な顔をしている)(地面に両膝をついている)(妖怪の世界と人間の世界をつなぐ大樹(光っている)に片手を伸ばしている)が引きで映っている。
実ノ丸M「でも、その妖怪達は空腹を満たす間もなく人間共の戦や戦争の犠牲となってった……」
実ノ丸M「復讐を果たす間もなく人間共の作った兵器や核兵器の犠牲となってった……」
○同
★妖怪達の全身(人間のような見た目をしている)(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(少し目を開けている)(虚ろな目をしている)(口を閉じている)(笑っていない)(歩き出している)が引きで映っている。
実ノ丸M「だから、同じ目に遭う妖怪を出したくねぇ、って思いから、妖怪の世界に留まった妖怪達は、『妖怪の世界と人間の世界をつなぐ大樹を通って人間の世界に行くことを禁ずる』ってゆー決まりを作った……」
実ノ丸M「それと、『妖怪の世界と人間の世界をつなぐ大樹を通って人間の世界に行った場合は妖怪の世界に戻ることを禁ずる』ってゆー決まりも作った……」
○妖怪の世界(みすぼらしい村)・山と海・(昼)
★妖怪達の全身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(少し目を開けている)(虚ろな目をしている)(口を閉じている)(笑っていない)(汗をかいている)(農業をしている)が映っている。
妖怪達の全身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(少し目を開けている)(虚ろな目をしている)(口を閉じている)(笑っていない)(汗をかいている)(漁業をしている)が引きで映っている。
実ノ丸M「そんで、再び人間を主食にしねぇ日々を送った……」
○妖怪の世界(みすぼらしい村)・海と山・(昼)
★妖怪達の全身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(少し目を開けている)(虚ろな目をしている)(口を閉じている)(笑っていない)(汗をかいている)(漁業をしている)が映っている。
妖怪達の全身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(少し目を開けている)(虚ろな目をしている)(口を閉じている)(笑っていない)(汗をかいている)(農業をしている)が引きで映っている。
実ノ丸M「本能だけが残ったまま人間と大して変わんねぇ体質になる、なんてことも知らねぇで……」
実ノ丸M「本能だけが残ったまま人間と大して変わんねぇ体質になっちまう、なんてことも知らねぇで……」
○妖怪の世界(みすぼらしい村)・全景・(夜)
★
実ノ丸M「なんてゆー歴史があった……」
【4ページ目】
○妖怪の世界(みすぼらしい村)・山・(夕)
★実ノ丸(みのまる)(13歳)の手(体は左を向いている)(握り締めている)(数箇所に血管が浮き出ている)がアップで映っている。
実ノ丸M「俺は、そんな歴史が出来てから生まれ、今日まで生きてきた妖怪だ……」
○同
★実ノ丸の口元(体は左を向いている)(顔は左を向いている)(歯を食いしばっている)(数箇所に血管が浮き出ている)がアップで映っている。
実ノ丸M「だから俺には、親や兄弟どころか、仲間すらいねぇ……」
○同
★実ノ丸の目(顔は左を向いている)(目線は前を向いている)(眉をひそめている)(睨み付けている)(数箇所に血管が浮き出ている)がアップで映っている。
実ノ丸M「けど、俺には実ノ丸ってゆー名前だけがある……」
○妖怪の世界と人間の世界をつなぐ大樹(光っていない)・外観・(夕)
★実ノ丸の全身(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(妖怪の世界と人間の世界をつなぐ大樹(光っていない)を見上げている)(仁王立ちしている)(両手を握り締めている)が映っている。
実ノ丸M「一三年間の孤独と空腹に苦しむ日々を送る俺を無責任に生み出した、人間共への復讐心だけがある……」
実ノ丸M「一三年間、生まれた意味、生まれた理由、生きる意味、生きる理由を見出せねぇことに苦しむ日々を送る俺を無責任に生み出した、人間共への復讐心だけがある……」
○妖怪の世界と人間の世界をつなぐ大樹(光っている)・外観・(夕)
★実ノ丸の全身(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(妖怪の世界と人間の世界をつなぐ大樹(光っている)を見上げている)(仁王立ちしている)(両手を握り締めている)が映っている。
実ノ丸M「だから、絶対ぇ俺は、人間の世界に行ってやる……!」
実ノ丸M「行って、人間共を消し去って、復讐を果たしてやる……!」
実ノ丸M「人間共を食い殺して、腹を満たしてやる……!」
○同
★実ノ丸の全身(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(妖怪の世界と人間の世界をつなぐ大樹(光っている)を見上げている)(妖怪の世界と人間の世界をつなぐ大樹(光っている)に向かって歩き出している)(両手を握り締めている)が映っている。
実ノ丸M「俺には、この世界にもこの人生にも思い入れがねぇ……」
実ノ丸M「けど、心残りだけはあるからな……」
実ノ丸M「そう、心残りだけがあるからな……」
○妖怪の世界と人間の世界をつなぐ大樹(光っていない)・外観・(夕)
★
【5ページ目】
○戦争により空襲を受けた東京の町・地面・(夕)
★実ノ丸の足元(体は左を向いている)(歩いている)(使い古した下駄を履いている)がアップで映っている。
実ノ丸M「いつ終わったのかは分かんねぇ……」
○同
★実ノ丸の足元(体は左を向いている)(立ち止まってている)(使い古した下駄を履いている)がアップで映っている。
実ノ丸M「いや、分かるわけがねぇ……」
○戦争により空襲を受けた東京の町・町中・(夕)
★実ノ丸の後頭部(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(目線は下を向いている)がアップで映っている。
人間達の死体(地面に倒れている)(地面にうずくまっている)(地面に座っている)(空襲によって瓦礫と化した建物にもたれている)が引きで映っている。
人間達の骨(地面に倒れている)(地面にうずくまっている)(地面に座っている)(空襲によって瓦礫と化した建物にもたれている)が引きで映っている。
実ノ丸M「けど、これは言える……!」
○同
★実ノ丸の口元(体は後ろを向いている)(顔は正面を向いている)(振り返っている)(少し歯を食いしばっている)(少し汗をかいている)がアップで映っている。
実ノ丸M「これだけは言える……!」
○同
★実ノ丸の後頭部(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(目線は下を向いている)がアップで映っている。
人間達(歩いている)(地面に倒れている)(地面にうずくまっている)(地面に座っている)(空襲によって瓦礫と化した建物にもたれている)が引きで映っている。
実ノ丸M「人間の世界は……!」
○同
★実ノ丸の顔(顔は正面を向いている)(少し目を見開かせている)(少し歯を食いしばっている)(少し驚いている)(少し汗をかいている)がアップで映っている。
実ノ丸M「戦争が終わった後の世界だ……!」
【6ページ目】
○戦争により空襲を受けた東京の町・町中・(夕)
★実ノ丸の全身(体は左を向いている)(顔は左を向いている)(目線は上を向いている)(眉をひそませている)(目を開けている)(口を閉じている)(笑っていない)(考えている)(歩いている)が引きで映っている。
実ノ丸M「……ってことは、妖怪達は妖怪の世界なんかに留まってなくても良いってことだよな?」
○同
★人間達の死体(地面に倒れている)(地面にうずくまっている)(地面に座っている)(空襲によって瓦礫と化した建物にもたれている)がアップで映っている。
人間達の骨(地面に倒れている)(地面にうずくまっている)(地面に座っている)(空襲によって瓦礫と化した建物にもたれている)がアップで映っている。
実ノ丸M「どいつもこいつもバカみてぇに弱ってるし……」
実ノ丸M「とか思ってる間にもバカみてぇに死んでってるし……」
○同
★人間達(歩いている)(地面に倒れている)(地面にうずくまっている)(地面に座っている)(空襲によって瓦礫と化した建物にもたれている)がアップで映っている。
実ノ丸M「復讐果たすことも楽勝……」
実ノ丸M「空腹満たすことも楽勝じゃねぇか……」
○同
★実ノ丸の全身(体は左を向いている)(顔は左を向いている)(目線は下を向いている)(目を開けている)(口を閉じている)(笑っていない)(人間達の死体や骨が積み上げられた山を登っている)が引きで映っている。
実ノ丸M「けど、俺は妖怪の世界に戻れねぇ」
実ノ丸M「妖怪の世界に思い入れがあるわけでもねぇし」
実ノ丸M「思い入れのある妖怪がいるわけでもねぇ」
○同
★実ノ丸の全身(体は左を向いている)(顔は左を向いている)(目線は下を向いている)(目を開けている)(口を閉じている)(笑っていない)(人間達の死体や骨が積み上げられた山を登りつめている)が引きで映っている。
実ノ丸M「それに、仲間の敵討ちなんてもんをしに来たんじゃねぇ」
実ノ丸M「自分の敵討ちをしに来たんだ」
○同
★実ノ丸の全身(体は左を向いている)(顔は左を向いている)(目線は下を向いている)(目を開けている)(口を閉じている)(笑っていない)(人間達の死体や骨が積み上げられた山を下りている)が引きで映っている。
実ノ丸M「だから、俺は自分のために生きる!」
実ノ丸M「自分のためだけに生きてやる!」
【7ページ目】
○戦争により空襲を受けた東京の町・町中・(夕)
★実ノ丸の全身(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(目線は下を向いている)(歩いている)(両手を握り締めている)が映っている。
N「こうして、実ノ丸は振り返ることをやめた……」
○同
★実ノ丸の全身(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(目線は下を向いている)(歩いている)(両手を握り締めている)(黒い闇が全身にまとわりついている)が映っている。
N「それから、さっそく本能を理性で抑止し、人間の少年になりすますことにした……」
○同
★実ノ丸の全身(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(目線は下を向いている)(歩いている)(両手を握り締めている)(黒い闇を全身にまとっている)が映っている。
N「また、たやすく自分に気を許しそうな人間を見つけることにした……」
○同
★実ノ丸の顔(顔は正面を向いている)(目を見開かせている)(目が血走っている)(歯を出している)(笑っている)(黒い闇を全身にまとっている)がアップで映っている。
N「なぜなら、人間と気を許し合う仲になってから本性を現してその人間を食い殺すことが最も残酷な人間への復讐方法だ、と、考えていたからだった……」
○同
★実ノ丸の顔(顔は正面を向いている)(目を見開かせている)(目が血走っている)(口を開けている)(笑っている)(黒い闇を全身にまとっている)がアップで映っている。
N「また、その方法が最も多くの人間達の人体や体液をたやすく口にすることが出来る、とも考えていたからだった……」
【8ページ目】
○戦争により空襲を受けた東京の町・町中・(夕)
★実ノ丸の全身(体は左を向いている)(顔は左を向いている)(木ノ実を見下ろしている)(目を見開かせている)(口を閉じている)(笑っていない)(驚いている)(少し汗をかいている)(立っている)が引きで映っている。
木ノ実(きのみ)(13歳)の全身(体は左を向いている)(顔は左を向いている)(目線は下を向いている)(体育座りをしている)(うずくまっている)(震えている)が引きで映っている。
実ノ丸「っ……!」
○同
★実ノ丸の口元(体は左を向いている)(顔は左を向いている)(口を閉じている)(笑っていない)(少し汗をかいている)がアップで映っている。
実ノ丸M「一人でいる同年代そうなガキ……」
○同
★実ノ丸の口元(体は左を向いている)(顔は左を向いている)(口を開けている)(笑っている)がアップで映っている。
○同
★実ノ丸の後頭部(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(木ノ実を見下ろしている)がアップで映っている。
木ノ実の上半身(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(目線は下を向いている)(体育座りをしている)(うずくまっている)(震えている)がアップで映っている。
実ノ丸「どうしたんだよ」
○同
★実ノ丸の後頭部(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(木ノ実を見下ろしている)がアップで映っている。
木ノ実の上半身(体は後ろを向いている)(顔は正面を向いている)(振り返っている)(実ノ丸を見上げている)(眉を下げている)(目を開けている)(目に涙を溜めている)(少し歯を食いしばっている)(泣いている)(体育座りをしている)(震えている)がアップで映っている。
木ノ実「……」
【9ページ目】
○戦争により空襲を受けた東京の町・町中・(夕)
★実ノ丸の上半身(体は正面を向いている)(顔は正面を向いている)(目を見開かせている)(口を閉じている)(驚いている)(少し汗をかいている)がアップで映っている。
実ノ丸「っ!」
○同
★実ノ丸の上半身(体は正面を向いている)(顔は正面を向いている)(少し目を見開かせている)(口を開けている)(驚いている)(少し汗をかいている)がアップで映っている。
実ノ丸「な、何で泣いてんだよ?」
実ノ丸「な、何かあったのかよ?」
○同
★木ノ実の上半身(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(目線は下を向いている)(体育座りをしている)(うずくまっている)(震えている)がアップで映っている。
木ノ実「……」
○同
★実ノ丸の上半身(体は正面を向いている)(顔は正面を向いている)(少し目を見開かせている)(大きく口を開けている)(驚いている)(少し汗をかいている)がアップで映っている。
実ノ丸「お、俺は実ノ丸だ!」
実ノ丸「お、お前ぇの名前は?」
○同
★木ノ実の上半身(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(目線は下を向いている)(体育座りをしている)(うずくまっている)(震えている)がアップで映っている。
木ノ実「……」
○同
★実ノ丸の上半身(体は正面を向いている)(顔は正面を向いている)(眉間に皺を寄せている)(片目を細めている)(片目を見開かせている)(歯を食いしばっている)(数箇所に血管が浮き出ている)がアップで映っている。
○同
★実ノ丸の上半身(体は正面を向いている)(顔は正面を向いている)(眉間に皺を寄せている)(片目を細めている)(片目を見開かせている)(大きく口を開けている)(笑っていない)(数箇所に血管が浮き出ている)がアップで映っている。
実ノ丸「話せば楽になるってこともあんだろ!」
実ノ丸「良いから何でも話してみろよ!」
【10ページ目】
○戦争により空襲を受けた東京の町・町中・(夕)
★木ノ実の上半身(体は後ろを向いている)(顔は正面を向いている)(振り返っている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(眉を下げている)(目を開けている)(目に涙を溜めている)(口を閉じている)(泣いている)(体育座りをしている)(震えている)がアップで映っている。
木ノ実「……」
○同
★木ノ実の上半身(体は後ろを向いている)(顔は正面を向いている)(振り返っている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(眉を下げている)(目を閉じている)(目に涙を溜めている)(少し口を開けている)(泣いている)(体育座りをしている)(震えている)がアップで映っている。
木ノ実「……父さんを、戦争で亡くした」
木ノ実「……母さんを、空襲で亡くした」
○同
★実ノ丸の上半身(体は正面を向いている)(顔は正面を向いている)(少し目を見開かせている)(少し口を開けている)(驚いている)がアップで映っている。
実ノ丸「……じゃあ、お前ぇは今までずっと他人(ひと)のために泣いてたってことかよ」
○同
★木ノ実の上半身(体は後ろを向いている)(顔は正面を向いている)(振り返っている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(眉を下げている)(目を開けている)(目に涙を溜めている)(少し口を開けている)(泣いている)(体育座りをしている)(震えている)がアップで映っている。
木ノ実「……そうだよ」
○同
★木ノ実の上半身(体は後ろを向いている)(顔は正面を向いている)(振り返っている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(眉を下げている)(目を開けている)(目に涙を溜めている)(泣いている)(体育座りをしている)(うずくまっている)(震えている)がアップで映っている。
木ノ実「父さんと母さんは、自分にとっての全てだから……」
木ノ実「家族は、自分にとっての全てだから……」
【11ページ目】
○戦争により空襲を受けた東京の町・町中・(夕)
★実ノ丸の上半身(体は正面を向いている)(顔は正面を向いている)(目を見開かせている)(大きく口を開けている)(驚いている)(汗をかいている)がアップで映っている。
実ノ丸「っ!」
○同
★実ノ丸の鼻から腰(体は左を向いている)(顔は左を向いている)(少し歯を食いしばっている)(汗をかいている)(立っている)(両手を握り締めている)がアップで映っている。
実ノ丸M「こいつは、平気で他人(ひと)のために生きれんのか……!?」
実ノ丸M「こいつは、平気で他人(ひと)のために泣けんのか……!?」
○同
★実ノ丸の鼻から腰(体は左を向いている)(顔は左を向いている)(少し口を開けている)(笑っていない)(汗をかいている)(少し後ずさっている)(両手を握り締めている)がアップで映っている。
実ノ丸M「これが、家族の力ってもんなのか……!?」
実ノ丸M「これが、人間の力ってもんなのか……!?」
○同
★木ノ実の上半身(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(目線は下を向いている)(体育座りをしている)(うずくまっている)(震えている)がアップで映っている。
木ノ実「あとは、自分が許せなくて泣いてた……」
【12ページ目】
○戦争により空襲を受けた東京の町・町中・(夕)
★実ノ丸の上半身(体は正面を向いている)(顔は正面を向いている)(少し眉を下げている)(少し目を見開かせている)(口を閉じている)(不思議そうな顔をしている)(首をかしげている)がアップで映っている。
実ノ丸「……?」
○同
★実ノ丸の上半身(体は正面を向いている)(顔は正面を向いている)(少し眉を下げている)(少し目を見開かせている)(口を開けている)(不思議そうな顔をしている)(首をかしげている)がアップで映っている。
実ノ丸「……何でだよ?」
○イメージカット(真っ黒な世界)
★木ノ実の後頭部(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(並んでいる父親と母親を見上げている)が映っている。
木ノ実の父親の上半身(目を閉じている)(口を閉じている)(笑っている)(母親と並んでいる)(荒々しい筆圧で顔にバツ印が付けられている)が映っている。
木ノ実の母親の上半身(目を閉じている)(口を閉じている)(笑っている)(父親と並んでいる)が映っている。
木ノ実「父さんが戦争で亡くなったのは国に尽くしたからだ、って分かってるのに、いつまで経っても喜べないから……」
○同
★木ノ実の後頭部(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(並んでいる父親と母親を見上げている)が映っている。
木ノ実の父親の上半身(目を閉じている)(口を閉じている)(笑っている)(母親と並んでいる)(荒々しい筆圧で顔にバツ印が付けられている)が映っている。
木ノ実の母親の上半身(目を閉じている)(口を閉じている)(笑っている)(父親と並んでいる)(荒々しい筆圧で顔にバツ印が付けられている)が映っている。
木ノ実「母さんが空襲で亡くなったのは戦争中だからだ、って分かってるのに、いつまで経っても腹をくくれないから……」
○戦争により空襲を受けた東京の町・町中・(夕)
★木ノ実の上半身(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(目線は下を向いている)(体育座りをしている)(うずくまっている)(震えている)がアップで映っている。
木ノ実「……それだけじゃない」
【13ページ目】
○イメージカット(戦争により空襲を受けた東京の町・町中・夜)
★木ノ実の鼻から胸(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(目から涙を流している)(歯を食いしばっている)(泣いている)(両手に持っている1つのガラスの破片を自分の胸に突き刺そうとしている)がアップで映っている。
木ノ実「自分が許せないのに、何度も死のうとした……」
木ノ実「何度も死んで楽になろうとしたから……」
○同
★木ノ実の鼻から胸(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(目から涙を流している)(歯を食いしばっている)(泣いている)(自分の胸を突き刺すための1つのガラスの破片を持っていた両手を下ろしている)がアップで映っている。
木ノ実「そして、心残りなんてないのに、何度も死ぬことをやめた……」
木ノ実「怖くて何度も死ぬことをやめたから……」
○戦争により空襲を受けた東京の町・町中・(夕)
★木ノ実の上半身(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(目線は下を向いている)(体育座りをしている)(うずくまっている)(震えている)がアップで映っている。
木ノ実「だから、自分は自分が許せないんだ……」
【14ページ目】
○戦争により空襲を受けた東京の町・町中・(夕)
★木ノ実の上半身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(眉を下げている)(目を開けている)(目に涙を溜めている)(少し口を開けている)(泣いている)(体育座りをしている)(震えている)がアップで映っている。
木ノ実「けど、自分にはもう、生きる意味がない……」
木ノ実「生きる理由もない……」
○同
★木ノ実の上半身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(眉を下げている)(目を閉じている)(目に涙を溜めている)(少し口を開けている)(泣いている)(体育座りをしている)(震えている)がアップで映っている。
木ノ実「だから、また思っちゃうんだ……」
木ノ実「だめだって分かってるのに、また思っちゃうんだ……」
○同
★木ノ実の上半身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は下を向いている)(歯を食いしばっている)(泣いている)(体育座りをしている)(うずくまっている)(震えている)がアップで映っている。
木ノ実「死にたい、って……」
木ノ実「死んで楽になりたい、って……」
【15ページ目】
○戦争により空襲を受けた東京の町・町中・(夕)
★実ノ丸の鼻から腰(体は左を向いている)(顔は左を向いている)(少し口を開けている)(笑っていない)(頬に血管が浮き出ている)(首筋に血管が浮き出ている)(立っている)(両手を握り締めている)がアップで映っている。
実ノ丸「何で、お前ぇは自分を憎むんだよ……!」
○同
★実ノ丸の鼻から腰(体は左を向いている)(顔は左を向いている)(歯を食いしばっている)(頬に血管が浮き出ている)(首筋に血管が浮き出ている)(歩き出している)(片手を握り締めている)(片手で木ノ実の胸ぐらを掴んでいる)がアップで映っている。
木ノ実の鼻から胸(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(歯を食いしばっている)(実ノ丸に胸ぐらを掴まれている)がアップで映っている。
○同
★実ノ丸の顔(体は左斜め下を向いている)(顔は左斜め下を向いている)(木ノ実を見下ろしている)(眉間に皺を寄せている)(目を見開かせている)(大きく口を開けている)(叫んでいる)(額に血管が浮き出ている)(頬に血管が浮き出ている)(首筋に血管が浮き出ている)(片手で木ノ実の胸ぐらを掴んでいる)がアップで映っている。
木ノ実の後頭部(体は右斜め上を向いている)(顔は右斜め上を向いている)(実ノ丸を見上げている)(実ノ丸に胸ぐらを掴まれている)がアップで映っている。
実ノ丸「何でお前ぇは家族を許すんだよぉっ!」
○同
★木ノ実の顔(体は右斜め上を向いている)(顔は右斜め上を向いている)(実ノ丸を見上げている)(目を見開かせている)(少し口を開けている)(驚いている)(実ノ丸に胸ぐらを掴まれている)がアップで映っている。
実ノ丸の後頭部(体は左斜め下を向いている)(顔は左斜め下を向いている)(木ノ実を見下ろしている)(片手で木ノ実の胸ぐらを掴んでいる)がアップで映っている。
実ノ丸「何でお前ぇは自分を残して死んでった家族を許すんだよぉっ!」
○同
★木ノ実の顔(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(乱れた前髪で目が見えなくなっている)(歯を食いしばっている)(少し汗をかいている)(実ノ丸に胸ぐらを掴まれている)がアップで映っている。
実ノ丸の手(数箇所に血管が浮き出ている)(木ノ実の胸ぐらを掴んでいる)がアップで映っている。
○同
★木ノ実の顔(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(乱れた前髪で目が見えなくなっている)(少し口を開けている)(笑っていない)(少し汗をかいている)(片手で実ノ丸の拳を掴んでいる)(実ノ丸に胸ぐらを掴まれている)がアップで映っている。
実ノ丸の手(数箇所に血管が浮き出ている)(木ノ実の胸ぐらを掴んでいる)がアップで映っている。
木ノ実「家族を、どうやって憎めっていうんだ……!」
【16ページ目】
○イメージカット(東京の町にある駅・ホーム・朝)
★木ノ実の全身(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(目線は手を振る出征兵達が乗っている列車を向いている)(立っている)(ばんざいをしている)(片手に旗を持っている)が引きで映っている。
木ノ実の母親の全身(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(目線は手を振る出征兵達が乗っている列車を向いている)(立っている)(ばんざいをしている)(片手に旗を持っている)が引きで映っている。
町の人間達(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(目線は手を振る出征兵達が乗っている列車を向いている)(立っている)(ばんざいをしている)(片手に旗を持っている)が引きで映っている。
木ノ実「戦争に勝てば、日本は強い国になる……」
○イメージカット(東京の町にある駅・ホーム・夜)
★木ノ実の全身(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(目線は手を振る出征兵達が乗っている列車がいなくなった線路を向いている)(立っている)(ばんざいをしている)(片手に旗を持っている)が引きで映っている。
木ノ実の母親の全身(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(目線は手を振る出征兵達が乗っている列車がいなくなった線路を向いている)(立っている)(ばんざいをしている)(片手に旗を持っている)が引きで映っている。
町の人間達(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(目線は手を振る出征兵達が乗っている列車がいなくなった線路を向いている)(立っている)(ばんざいをしている)(片手に旗を持っている)が引きで映っている。
木ノ実「日本が強い国になれば、貧乏から抜け出すことが出来る……」
○イメージカット(東京の町にある軍需工場・窓付きの一室・朝)
★木ノ実の全身(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(母親を見上げている)(立っている)が引きで映っている。
木ノ実の母親の全身(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(目線は下を向いている)(汗をかいている)(働いている)が引きで映っている。
町の人間達の全身(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(目線は下を向いている)(汗をかいている)(働いている)が引きで映っている。
木ノ実「貧乏から抜け出すことが出来れば、家族が幸せになる……」
○イメージカット(東京の町にある軍需工場・窓付きの一室・夜)
★木ノ実の全身(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(母親を見上げている)(立っている)が引きで映っている。
木ノ実の母親の全身(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(目線は下を向いている)(汗をかいている)(働いている)が引きで映っている。
町の人間達の全身(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(目線は下を向いている)(汗をかいている)(働いている)が引きで映っている。
木ノ実「家族が幸せになれば、自分が幸せになる……」
○戦争により空襲を受けた東京の町・町中・(夕)
★木ノ実の顔(体は右斜め上を向いている)(顔は右斜め上を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(眉間に皺を寄せている)(乱れた前髪で目が見えなくなっている)(歯を食いしばっている)(額に血管が浮き出ている)(頬に血管が浮き出ている)(首筋に血管が浮き出ている)(片手で実ノ丸の手首を掴んでいる)がアップで映っている。
木ノ実「そうやって戦った父さんを……!」
木ノ実「そうやって働いてた母さんを……!」
○同
★木ノ実の顔(体は右斜め上を向いている)(顔は右斜め上を向いている)(実ノ丸を見上げている)(眉間に皺を寄せている)(乱れた前髪で片目が見えなくなっている)(歯を食いしばっている)(額に血管が浮き出ている)(頬に血管が浮き出ている)(首筋に血管が浮き出ている)(片手で実ノ丸の手首を掴んでいる)がアップで映っている。
木ノ実「どうやって憎めっていうんだ……!」
【17ページ目】
○戦争により空襲を受けた東京の町・町中・(夕)
★実ノ丸の顔(顔は左を向いている)(目線は前を向いている)(少し目を見開かせている)(少し口を開けている)(驚いている)(少し汗をかいている)がアップで映っている。
実ノ丸「っ……!」
○同
★実ノ丸の顔(顔は左を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(少し眉を下げている)(少し目を細めている)(少し歯を食いしばっている)アップで映っている。
実ノ丸「……」
○同
★実ノ丸の顔(顔は左を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(少し眉を下げている)(少し目を細めている)(少し口を開けている)(笑っていない)がアップで映っている。
実ノ丸「……謝るよ」
○同
★実ノ丸の後頭部(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(木ノ実を見下ろしている)(立っている)がアップで映っている。
木ノ実の上半身(体は正面を向いている)(顔は正面を向いている)(実ノ丸を見上げている)(少し目を見開かせている)(少し口を開けている)(少し驚いている)(座っている)がアップで映っている。
実ノ丸「……お前ぇの家族を悪く言ったことは謝るよ」
○同
★実ノ丸の後頭部(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(木ノ実に頭を下げている)(立っている)がアップで映っている。
木ノ実の上半身(体は正面を向いている)(顔は正面を向いている)(実ノ丸を見上げている)(少し目を見開かせている)(少し口を開けている)(少し驚いている)(座っている)がアップで映っている。
実ノ丸「……ごめん」
【18ページ目】
○戦争により空襲を受けた東京の町・町中・(夕)
★実ノ丸の口元(体は左を向いている)(顔は左を向いている)(大きく口を開けている)(真面目な顔をしている)がアップで映っている。
実ノ丸「けど、だったらお前ぇが憎むべき存在は、戦争なんじゃねぇのかよ」
○同
★実ノ丸の顔(顔は左を向いている)(目を開けている)(大きく口を開けている)(真面目な顔をしている)がアップで映っている。
実ノ丸「憎むべき存在は、戦争だけなんじゃねぇのかよ」
○同
★木ノ実の口元(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(少し口を開けている)(笑っていない)(少し汗をかいている)(震えている)がアップで映っている。
木ノ実「な、何言ってるんだよ……!」
○同
★木ノ実の顔(顔は右を向いている)(眉を下げている)(目を見開かせている)(少し口を開けている)(笑っていない)(少し汗をかいている)(震えている)がアップで映っている。
木ノ実「せ、戦争は……!」
【19ページ目】
○戦争により空襲を受けた東京の町・町中・(夕)
★実ノ丸の顔(体は左斜め下を向いている)(顔は左斜め下を向いている)(木ノ実を見下ろしている)(眉間に皺を寄せている)(目を見開かせている)(大きく口を開けている)(叫んでいる)(額に血管が浮き出ている)(頬に血管が浮き出ている)(首筋に血管が浮き出ている)(両手で木ノ実の肩を掴んでいる)がアップで映っている。
木ノ実の後頭部(体は右斜め上を向いている)(顔は右斜め上を向いている)(実ノ丸を見上げている)(実ノ丸に肩を掴まれている)がアップで映っている。
実ノ丸「家族を消した元凶でしかねぇだろうがぁっ!」
実ノ丸「家族を殺した元凶でしかねぇだろうがぁっ!」
○同
★木ノ実の顔(体は右斜め上を向いている)(顔は右斜め上を向いている)(実ノ丸を見上げている)(眉を下げている)(目を見開かせている)(少し口を開けている)(笑っていない)(少し汗をかいている)(実ノ丸に肩を掴まれている)がアップで映っている。
実ノ丸の後頭部(体は左斜め下を向いている)(顔は左斜め下を向いている)(木ノ実を見下ろしている)(両手で木ノ実の肩を掴んでいる)がアップで映っている。
実ノ丸「お前ぇの悲しみの元凶でしかねぇだろうがぁっ!」
実ノ丸「お前ぇの苦しみの元凶でしかねぇだろうがぁっ!」
○イメージカット(真っ黒な世界)
★木ノ実の全身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(眉が下がっている)(目を閉じている)(目から涙を流している)(歯を食いしばっている)(泣き崩れている)(座っている)(母親を抱き締めている)(母親に抱き締められている)が引きで映っている。
木ノ実の母親の全身(体は左を向いている)(顔は左を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(眉が下がっている)(目を閉じている)(目から涙を流している)(歯を食いしばっている)(泣き崩れている)(座っている)(木ノ実を抱き締めている)(木ノ実に抱き締められている)が引きで映っている。
実ノ丸「お前ぇはぁっ、親を亡くした純粋な悲しみだけで泣きたくねぇのかよぉっ!」
○同
★木ノ実の全身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(眉が下がっている)(目を閉じている)(目から涙を流している)(歯を食いしばっている)(泣き崩れている)(座っている)(自分を抱き締めている)が引きで映っている。
実ノ丸「家族を失った純粋な悲しみだけで泣きたくねぇのかよぉっ!」
○戦争により空襲を受けた東京の町・町中・(夕)
★木ノ実の顔(顔は右を向いている)(眉を下げている)(実ノ丸を見上げている)(目を見開かせている)(目に涙を溜めている)(少し口を開けている)(泣いている)(少し汗をかいている)(震えている)がアップで映っている。
実ノ丸「言っとくけどなぁっ、親への愛ってもんを誰もが知ってるなんて思ったら大間違いなんだからなぁっ!」
実ノ丸「親からの愛ってもんを誰もが知ってるなんて思ったら大間違いなんだからなぁっ!」
木ノ実「っ……!」
【20ページ目】
○イメージカット(真っ黒な世界)
★木ノ実の上半身(体は正面を向いている)(顔は正面を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(眉が下がっている)(目を閉じている)(目から涙を流している)(歯を食いしばっている)(泣き崩れている)(体育座りをしている)がアップで映っている。
木ノ実M「家族を愛するってっ、普通じゃないんだっ……!」
○イメージカット(真っ白な世界)
★木ノ実の上半身(体は正面を向いている)(顔は正面を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(目を見開いている)(目に涙を溜めている)(少し口を開けている)(驚いている)(体育座りをしている)(横から母親に抱き締められている)がアップで映っている。
木ノ実の母親の上半身(体は左を向いている)(顔は正面を向いている)(目を閉じている)(口を閉じている)(笑っている)(横から木ノ実を抱き締めている)がアップで映っている。
木ノ実M「家族に愛されるってっ、普通じゃないんだっ……!」
○同
★木ノ実の上半身(体は正面を向いている)(顔は正面を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(目を閉じている)(目に涙を溜めている)(口を閉じている)(笑っている)(体育座りをしている)(横から母親に抱き締められている)(横から父親に抱き締められている)がアップで映っている。
木ノ実の母親の上半身(体は左を向いている)(顔は正面を向いている)(目を閉じている)(口を閉じている)(笑っている)(横から木ノ実を抱き締めている)がアップで映っている。
木ノ実の父親の上半身(体は右を向いている)(顔は正面を向いている)(目を閉じている)(口を閉じている)(笑っている)(横から木ノ実を抱き締めている)がアップで映っている。
木ノ実M「家族がいるってっ、普通じゃないんだっ……!」
○戦争により空襲を受けた東京の町・町中・(夕)
★木ノ実の顔(顔は右を向いている)(眉を下げている)(目を見開かせている)(目に涙を溜めている)(少し口を開けている)(泣いている)(震えている)がアップで映っている。
木ノ実M「憎んでも良いんだっ、戦争をっ……!」
○同
★木ノ実の顔(顔は右を向いている)(眉を下げている)(目を見開かせている)(目から涙を流している)(少し口を開けている)(泣いている)(震えている)がアップで映っている。
木ノ実M「許しても良いんだっ、自分をっ……!」
【21ページ目】
○戦争により空襲を受けた東京の町・町中・(夕)
★木ノ実の顔(顔は右を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(眉を下げている)(目を細めている)(目から涙を流している)(歯を食いしばっている)(泣いている)(震えている)がアップで映っている。
木ノ実「……泣きっ、たいっ……!」
○同
★木ノ実の顔(顔は右を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(眉を下げている)(目を閉じている)(目から涙を流している)(歯を食いしばっている)(泣いている)(震えている)がアップで映っている。
木ノ実「……純粋な悲しみだけでっ、泣き叫びたいっ……!」
【22ページ目】
○戦争により空襲を受けた東京の町・町中・(夕)
★実ノ丸の上半身(体は左を向いている)(顔は左を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(少し目を開けている)(口を閉じている)(真面目な顔をしている)(地面に片膝をついている)(両手で木ノ実を優しく抱き締めている)がアップで映っている。
木ノ実の上半身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は前を向いている)(目を見開かせている)(目に涙を溜めている)(少し口を開けている)(驚いている)(座っている)(実ノ丸に優しく抱き締められている)がアップで映っている。
○同
★実ノ丸の上半身(体は左を向いている)(顔は左を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(少し目を開けている)(少し口を開けている)(真面目な顔をしている)(地面に片膝をついている)(両手で木ノ実を優しく抱き締めている)がアップで映っている。
木ノ実の上半身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は前を向いている)(目を見開かせている)(目に涙を溜めている)(少し口を開けている)(驚いている)(座っている)(実ノ丸に優しく抱き締められている)がアップで映っている。
実ノ丸「だったら、命捧げられる他人(ひと)がいるのが普通だって考え方を今すぐやめろよ」
実ノ丸「涙捧げられる他人(ひと)がいるのが普通だって考え方もな」
○同
★木ノ実の上半身(体は正面を向いている)(顔は正面を向いている)(目を細めている)(目から涙を流している)(少し口を開けている)(笑っている)(両手で実ノ丸を抱き締め返している)(実ノ丸に優しく抱き締められている)がアップで映っている。
木ノ実「……うん、ありがとう」
○同
★木ノ実の上半身(体は正面を向いている)(顔は正面を向いている)(目を閉じている)(目から涙を流している)(少し口を開けている)(笑っている)(両手で実ノ丸を抱き締め返している)(実ノ丸に優しく抱き締められている)がアップで映っている。
木ノ実「……ありがとう、実ノ丸」
【23ページ目】
○戦争により空襲を受けた東京の町・町中・(夕)
★実ノ丸の顔(顔は正面を向いている)(目線は木ノ実(右下)を向いている)(少し目を見開かせている)(口を閉じている)(笑っていない)(照れている)がアップで映っている。
○同
★実ノ丸の顔(顔は正面を向いている)(目線は木ノ実(右下)を向いている)(少し眉を下げている)(目を開けている)(口を閉じている)(笑っている)(照れている)がアップで映っている。
○同
★実ノ丸の顔(顔は正面を向いている)(目線は木ノ実(右下)を向いている)(少し眉を下げている)(目を開けている)(少し口を開けている)(笑っている)(照れている)がアップで映っている。
実ノ丸「もう、無理に笑うなよ」
○同
★実ノ丸の顔(顔は左を向いている)(目線は上を向いている)(少し目を見開かせている)(口を閉じている)(考えている)がアップで映っている。
実ノ丸M「えっと、名前……」
○同
★実ノ丸の顔(顔は左を向いている)(目線は地面(右下)を向いている)(少し目を見開かせている)(口を閉じている)(考えている)がアップで映っている。
実ノ丸M「名前、何だっけ……」
○戦争により空襲を受けた東京の町・地面・(夕)
★「木ノ実」という名前が手書きで書かれている。
【24ページ目】
○戦争により空襲を受けた東京の町・町中・(夕)
★実ノ丸の顔(顔は左を向いている)(目線は木ノ実(右下)を向いている)(目を開けている)(口を閉じている)(笑っている)がアップで映っている。
○同
★実ノ丸の顔(顔は左を向いている)(目線は木ノ実(右下)を向いている)(目を開けている)(少し口を開けている)(笑っている)がアップで映っている。
実ノ丸「思う存分泣け」
○同
★実ノ丸の顔(顔は左を向いている)(目線は前を向いている)(少し眉を下げている)(目を閉じている)(少し口を開けている)(笑っている)がアップで映っている。
実ノ丸「思う存分泣き叫べ、木ノ実」
○同
★実ノ丸の全身(体は左を向いている)(顔は左を向いている)(目を閉じている)(口を閉じている)(笑っている)(地面に片膝をついている)(木ノ実を抱き締めている)が引きで映っている。
木ノ実の全身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(眉を下げている)(目を閉じている)(目から涙を流している)(大きく口を開けている)(泣き叫んでいる)(座っている)(実ノ丸を抱き締めている)が引きで映っている。
○戦争により空襲を受けた東京の町・町中・(夜)
★実ノ丸の全身(体は左を向いている)(顔は左を向いている)(目を閉じている)(口を閉じている)(笑っている)(地面に片膝をついている)(木ノ実を抱き締めている)が引きで映っている。
木ノ実の全身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(眉を下げている)(目を閉じている)(目から涙を流している)(大きく口を開けている)(泣き叫んでいる)(座っている)(実ノ丸を抱き締めている)が引きで映っている。
【25ページ目】
○戦争により空襲を受けた東京の町・全景・(昼)
★
N「こうして、木ノ実という人間に出会い、人間という存在への無知さを痛感した実ノ丸は、人間という存在を悪と見なさないようになっていった」
○東京の町にある駅(瓦礫と化している)・外観・(昼)
★実ノ丸の全身(体は左を向いている)(顔は左を向いている)(目線は木ノ実(右)を向いている)(目を開けている)(口を大きく開けている)(笑っている)(木ノ実と話している)(木ノ実と並んでいる)(歩いている)が引きで映っている。
木ノ実の全身(体は左を向いている)(顔は左を向いている)(目線は実ノ丸(左)を向いている)(目を開けている)(口を開けている)(笑っている)(実ノ丸と話している)(実ノ丸と並んでいる)(歩いている)が引きで映っている。
N「また、木ノ実を消し去って復讐を果たすという本来の目的を忘れて、木ノ実と孤独を癒し合い、木ノ実と孤独を救い合った」
○東京の町にある軍需工場(瓦礫と化している)・外観・(昼)
★実ノ丸の全身(体は左を向いている)(顔は左を向いている)(目線は前を向いている)(目を閉じている)(口を大きく開けている)(笑っている)(木ノ実と話している)(木ノ実と並んでいる)(歩いている)が引きで映っている。
木ノ実の全身(体は左を向いている)(顔は左を向いている)(目線は前を向いている)(目を閉じている)(口を開けている)(笑っている)(実ノ丸と話している)(実ノ丸と並んでいる)(歩いている)が引きで映っている。
N「木ノ実を食い殺して空腹を満たすという本来の目的も忘れて、木ノ実と孤独を癒し合い、木ノ実と孤独を救い合った」
○東京の町にある闇市(みすぼらしい)・外観・(昼)
★実ノ丸の全身(体は左を向いている)(顔は左を向いている)(目線は前を向いている)(目を閉じている)(口を閉じている)(咀嚼している)(木ノ実と話している)(木ノ実と並んでいる)(歩いている)(片手に小さなおにぎりを持っている)が引きで映っている。
木ノ実の全身(体は左を向いている)(顔は左を向いている)(目線は前を向いている)(目を閉じている)(口を閉じている)(咀嚼している)(実ノ丸と話している)(実ノ丸と並んでいる)(歩いている)(片手に小さなおにぎりを持っている)が引きで映っている。
N「それは、木ノ実という人間を見定めることで人間という存在を見定めることも出来る、というように考えていたからだった」
【26ページ目】
○東京の町にある駅(瓦礫と化している)・外観・(昼)
★実ノ丸の全身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(目を閉じている)(歯を食いしばっている)(傷だらけになっている)(血まみれになっている)(木ノ実と並んでいる)(立っている)(町の人間達に顔や体を殴られている)(町の人間達に体をガラスの破片で突き刺されている)(町の人間達に殺されそうになっている)が引きで映っている。
木ノ実の全身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(目を閉じている)(歯を食いしばっている)(傷だらけになっている)(血まみれになっている)(木ノ実と並んでいる)(立っている)(町の人間達に顔や体を殴られている)(町の人間達に体をガラスの破片で突き刺されている)(町の人間達に殺されそうになっている)が引きで映っている。
町の人間達の全身(体は左を向いている)(顔は左を向いている)(目線は前を向いている)(目を見開かせている)(歯を食いしばっている)(必死な顔をしている)(実ノ丸と木ノ実の顔や体を殴っている)(実ノ丸と木ノ実の体をガラスの破片で突き刺している)(実ノ丸と木ノ実を殺そうとしている)が引きで映っている。
町の人間達の全身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は前を向いている)(目を見開かせている)(歯を食いしばっている)(必死な顔をしている)(実ノ丸と木ノ実の顔や体を殴っている)(実ノ丸と木ノ実の体をガラスの破片で突き刺している)(実ノ丸と木ノ実を殺そうとしている)が引きで映っている。
N「しかし、その考えがいかに甘いものであるかを痛感することも少なくなかった」
○東京の町にある軍需工場(瓦礫と化している)・外観・(昼)
★実ノ丸の全身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は前を向いている)(目を見開かせている)(大きく口を開けている)(叫んでいる)(必死な顔をしている)(傷だらけになっている)(血まみれになっている)(木ノ実と並んでいる)(立っている)(片手を前に伸ばしている)が引きで映っている。
木ノ実の全身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は前を向いている)(目を見開かせている)(口を開けている)(叫んでいる)(必死な顔をしている)(傷だらけになっている)(血まみれになっている)(実ノ丸と並んでいる)(立っている)(片手を前に伸ばしている)が引きで映っている。
町の人間達の全身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は前を向いている)(目を見開かせている)(歯を食いしばっている)(必死な顔をしている)(走っている)(実ノ丸と木ノ実から逃げている)(片手に金を握り締めている)が引きで映っている。
N「そして、その考えの甘さを痛感する度に、人間という存在は消し去るべき存在である、という考えになることが多くなっていった」
○東京の町にある闇市(みすぼらしい)・外観・(昼)
★実ノ丸の全身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は前を向いている)(目を見開かせている)(大きく口を開けている)(叫んでいる)(必死な顔をしている)(傷だらけになっている)(血まみれになっている)(木ノ実と並んでいる)(走っている)(片手を前に伸ばしている)が引きで映っている。
木ノ実の全身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は前を向いている)(目を見開かせている)(口を開けている)(叫んでいる)(必死な顔をしている)(傷だらけになっている)(血まみれになっている)(実ノ丸と並んでいる)(走っている)(片手を前に伸ばしている)が引きで映っている。
町の人間達の全身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は前を向いている)(目を見開かせている)(歯を食いしばっている)(必死な顔をしている)(走っている)(実ノ丸と木ノ実から逃げている)(片手に小さなおにぎりを握り締めている)が引きで映っている。
N「人間という存在は食い殺すべき存在である、という考えになることも多くなっていった」
○イメージカット(真っ黒な世界)
★実ノ丸の全身(体は正面を向いている)(顔は下を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(立っている)(震えている)が引きで映っている。
N「そのため、実ノ丸は、木ノ実という人間に対する真っ白な感情と木ノ実以外の人間達に対する真っ黒な感情の間(はざま)に立ち尽くすことしか出来なくなっていった」
○同
★実ノ丸の全身(体は正面を向いている)(顔は下を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(体育座りをしている)(うずくまっている)(震えている)が引きで映っている。
N「木ノ実という人間に対する真っ白な感情と木ノ実以外の人間達に対する真っ黒な感情の間(はざま)でもがき苦しむことしか出来なくなっていった」
【27ページ目】
○イメージカット(真っ白な世界)
★実ノ丸の上半身(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(目線は前を向いている)(木ノ実と並んでいる)が映っている。
木ノ実の上半身(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(目線は前を向いている)(実ノ丸と並んでいる)が映っている。
N「だが、実ノ丸の苦しみは心のみに留まることを知らなかった」
○イメージカット(真っ白な世界に黒い闇が絵の具のように上から垂れており上だけが真っ黒になっている)
★実ノ丸の上半身(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(目線は前を向いている)(木ノ実と並んでいる)が映っている。
木ノ実の上半身(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(目線は前を向いている)(実ノ丸と並んでいる)(実ノ丸よりも少し前に出ている)が映っている。
N「なぜなら、人間の世界に来たことでさらに体が飢えに飢え、人間という存在を目にする度に本能を理性で抑止することが出来なくなっていったからだった」
○イメージカット(真っ白な世界に黒い闇が絵の具のように上から垂れており上から真ん中までが真っ黒になっている)
★実ノ丸の上半身(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(目線は前を向いている)(木ノ実と並んでいる)が映っている。
木ノ実の上半身(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(目線は前を向いている)(実ノ丸と並んでいる)(実ノ丸よりもだいぶ前に出ている)が映っている。
N「また、木ノ実という人間を目にする度に本能を理性で抑止することが出来なくなっていったからだった」
○イメージカット(真っ白な世界に黒い闇が絵の具のように上から垂れており上から下までが真っ黒になっている)
★実ノ丸の上半身(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(目線は前を向いている)(木ノ実と並んでいる)が映っている。
木ノ実の上半身(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(目線は前を向いている)(実ノ丸と並んでいる)(実ノ丸よりもだいぶ前に出て見えなくなりかけている)が映っている。
N「それにより、実ノ丸は、木ノ実のとなりで話すこと、木ノ実のとなりで笑うこと、木ノ実のとなりに立つことに辛さと怖さを感じるようになっていった」
○イメージカット(真っ黒な世界)
★実ノ丸の上半身(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(目線は前を向いている)が映っている。
N「そして、木ノ実の姿を目にすること、木ノ実の声を耳にすることにすらも辛さと怖さを感じるようになっていった」
【28ページ目】
○戦争により空襲を受けた東京の町・町中・(夜)
★実ノ丸の上半身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は前を向いている)(眉をひそめている)(まっすぐ一点を睨み付けている)(口を閉じている)(笑っていない)(木ノ実と並んでいる)(体育座りをしている)(布切れにくるまっている)(布切れを握り締めている)がアップで映っている。
木ノ実の上半身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(目を閉じている)(口を閉じている)(寝ている)(実ノ丸と並んでいる)(体育座りをしている)(布切れにくるまっている)がアップで映っている。
N「そのため、ある日の夜に実ノ丸は、木ノ実と同じ人間という種族を消し去らない誓いを、生きて木ノ実を孤独から癒し続けるために破ろうとした……」
○同
★実ノ丸の上半身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は前を向いている)(眉をひそめている)(まっすぐ一点を睨み付けている)(歯を食いしばっている)(木ノ実と並んでいる)(体育座りをしている)(布切れにくるまっている)(布切れを握り締めている)がアップで映っている。
木ノ実の上半身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(目を閉じている)(口を閉じている)(寝ている)(実ノ丸と並んでいる)(体育座りをしている)(布切れにくるまっている)がアップで映っている。
N「また、木ノ実と同じ人間という種族を食い殺さない誓いを、生きて木ノ実を孤独から救い続けるために破ろうとした……」
○同
★実ノ丸の上半身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は前を向いている)(眉をひそめている)(まっすぐ一点を睨み付けている)(歯を食いしばっている)(木ノ実と並んでいる)(体育座りをしている)(布切れにくるまっている)(自分を抱き締めている)がアップで映っている。
木ノ実の上半身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(目を閉じている)(口を閉じている)(寝ている)(実ノ丸と並んでいる)(体育座りをしている)(布切れにくるまっている)がアップで映っている。
N「しかし、どれだけ木ノ実以外の人間達が消し去るに値する存在であることを決定付けた瞬間を脳内に再生しても、実ノ丸は無意識に本能を理性で抑止していた」
N「どれだけ木ノ実以外の人間達が食い殺すに値する存在であることを決定付けた瞬間を脳内に再生しても、実ノ丸は無意識に本能を理性で抑止してしまっていた」
○同
★実ノ丸の上半身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は前を向いている)(眉をひそめている)(まっすぐ一点を睨み付けている)(目に涙を溜めている)(歯を食いしばっている)(木ノ実と並んでいる)(体育座りをしている)(布切れにくるまっている)(自分を抱き締めている)(震えている)がアップで映っている。
木ノ実の上半身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(目を閉じている)(口を閉じている)(寝ている)(実ノ丸と並んでいる)(体育座りをしている)(布切れにくるまっている)がアップで映っている。
N「なぜなら、消し去るに値する存在であると思っている木ノ実以外の人間達が大切な者のために生きようとする思いから非人道的な言動や行動を取っている、ということが分かった瞬間が脳内に再生されていたからだった」
N「そして、食い殺すに値する存在であると思っている木ノ実以外の人間達が大切な者を生かそうとする思いから非人道的な言動や行動を取っている、ということが分かった瞬間も脳内に再生されていたからだった」
○同
★実ノ丸の上半身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(眉をひそめている)(目を閉じている)(歯を食いしばっている)(木ノ実と並んでいる)(体育座りをしている)(布切れにくるまっている)(自分を抱き締めている)(震えている)がアップで映っている。
木ノ実の上半身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(目を閉じている)(口を閉じている)(寝ている)(実ノ丸と並んでいる)(体育座りをしている)(布切れにくるまっている)がアップで映っている。
N「そのため、実ノ丸は実感した……」
N「愛する者の幸せを自分の幸せとしている人間という存在は、時に美しく、時に残
酷だ、と……」
N「愛する者を自分の生きがいとしている人間という存在は、時に美しく、時に残
酷だ、と……」
○同
★実ノ丸の上半身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(歯を食いしばっている)(木ノ実と並んでいる)(体育座りをしている)(うずくまっている)(布切れにくるまっている)(自分を抱き締めている)(震えている)がアップで映っている。
木ノ実の上半身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(目を閉じている)(口を閉じている)(寝ている)(実ノ丸と並んでいる)(体育座りをしている)(布切れにくるまっている)がアップで映っている。
N「そして、実ノ丸は痛感した……」
N「これ以上木ノ実の孤独を癒し続けることは出来ない、と……」
N「これ以上木ノ実の孤独を救い続けることは出来ない、と……」
N「これ以上木ノ実のそばにい続けることは出来ない、と……」
【29ページ目】
○戦争により空襲を受けた東京の町・町中・(夜)
★実ノ丸の上半身(体は正面を向いている)(顔は正面を向いている)(目線は木ノ実(左)を向いている)(眉を下げている)(少し目を開けている)(口を閉じている)(笑っていない)(木ノ実と並んでいる)(体育座りをしている)(うずくまっている)(布切れにくるまっている)(自分を抱き締めている)がアップで映っている。
木ノ実の上半身(体は正面を向いている)(顔は正面を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(目を閉じている)(口を閉じている)(寝ている)(実ノ丸と並んでいる)(体育座りをしている)(布切れにくるまっている)がアップで映っている。
実ノ丸M「だったら、俺に残された出来ることは……」
○同
★実ノ丸の上半身(体は正面を向いている)(顔は正面を向いている)(目線は木ノ実(左)を向いている)(眉を下げている)(少し目を開けている)(口を閉じている)(笑っていない)(木ノ実と並んでいる)(体育座りをしている)(布切れにくるまっている)(木ノ実に両手を伸ばしている)(木ノ実を抱き締めようとしている)がアップで映っている。
木ノ実の上半身(体は正面を向いている)(顔は正面を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(目を閉じている)(口を閉じている)(寝ている)(実ノ丸と並んでいる)(体育座りをしている)(布切れにくるまっている)がアップで映っている。
実ノ丸M「木ノ実の前から消えることだけだ……」
○同
★実ノ丸の上半身(体は正面を向いている)(顔は正面を向いている)(目線は木ノ実(左)を向いている)(眉を下げている)(目を閉じている)(口を閉じている)(笑っていない)(木ノ実と並んでいる)(体育座りをしている)(布切れにくるまっている)(木ノ実に両手を伸ばしている)(木ノ実を抱き締めている)がアップで映っている。
木ノ実の上半身(体は正面を向いている)(顔は正面を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(目を閉じている)(口を閉じている)(寝ている)(実ノ丸と並んでいる)(体育座りをしている)(布切れにくるまっている)がアップで映っている。
実ノ丸M「木ノ実に嫌われることだけだ……」
○同
★実ノ丸の上半身(体は正面を向いている)(顔は正面を向いている)(目線は木ノ実(左)を向いている)(眉を下げている)(少し目を開けている)(口を閉じている)(笑っていない)(木ノ実と並んでいる)(体育座りをしている)(布切れにくるまっている)(木ノ実から両手を少し離している)がアップで映っている。
木ノ実の上半身(体は正面を向いている)(顔は正面を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(目を閉じている)(口を閉じている)(寝ている)(実ノ丸と並んでいる)(体育座りをしている)(布切れにくるまっている)がアップで映っている。
実ノ丸M「木ノ実に忘れられることだけだ……」
○同
★実ノ丸の上半身(体は正面を向いている)(顔は正面を向いている)(目線は木ノ実(左)を向いている)(眉を下げている)(少し目を開けている)(口を閉じている)(笑っていない)(木ノ実と並んでいる)(体育座りをしている)(布切れにくるまっている)(木ノ実から両手を離している)がアップで映っている。
木ノ実の上半身(体は正面を向いている)(顔は正面を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(目を閉じている)(口を閉じている)(寝ている)(実ノ丸と並んでいる)(体育座りをしている)(布切れにくるまっている)がアップで映っている。
実ノ丸M「木ノ実を生かすことだけだ……」
○同
★木ノ実の上半身(体は正面を向いている)(顔は正面を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(目を閉じている)(口を閉じている)(寝ている)(実ノ丸と並んでいる)(体育座りをしている)(布切れにくるまっている)がアップで映っている。
木ノ実「ん……?」
○同
★木ノ実の上半身(体は正面を向いている)(顔は正面を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(少し目を開けている)(少し口を開けている)(笑っていない)(実ノ丸と並んでいる)(体育座りをしている)(布切れにくるまっている)がアップで映っている。
木ノ実「実ノ丸……?」
【30ページ目】
○戦争により空襲を受けた東京の町・町中・(夜)
★実ノ丸の上半身(体は後ろを向いている)(顔は後ろを向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(背中を丸め込んでいる)(両手を握り締めている)(黒い闇を体にまとっている)がアップで映っている。
実ノ丸「人間共の肉がぁっ……! もっと食いてぇっ……!」
実ノ丸「人間共の血がぁっ……! もっと飲みてぇっ……!」
○同
★木ノ実の上半身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は前を向いている)(眉を下げている)(目を開けている)(少し口を開けている)(笑っていない)(体育座りをしている)(片手を前に伸ばそうとしている)(布切れを取っている)がアップで映っている。
木ノ実「えっ……?」
○同
★木ノ実の上半身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は前を向いている)(眉を下げている)(目を開けている)(少し口を開けている)(笑っていない)(体育座りをしている)(片手を前に伸ばしている)(布切れを取っている)がアップで映っている。
木ノ実「実っ、ノっ、丸っ……?」
○同
★実ノ丸の上半身(体は後ろを向いている)(顔は正面を向いている)(振り返っている)(目を見開かせている)(目が血走っている)(歯を食いしばっている)(歯ぎしりをしている)(背中を丸め込んでいる)(両手を握り締めている)(黒い闇を体にまとっている)がアップで映っている。
○同
★木ノ実の顔(顔は正面を向いている)(眉を下げている)(目を見開かせている)(少し口を開けている)(驚いている)(汗をかいている)がアップで映っている。
木ノ実「っ……!?」
【31ページ目】
○戦争により空襲を受けた東京の町・町中・(夜)
★実ノ丸の上半身(体は後ろを向いている)(顔は正面を向いている)(目線は前を向いている)(振り返っている)(眉をひそめている)(睨み付けている)(少し口を開けている)(笑っていない)(背中を丸め込んでいる)(両手を握り締めている)(黒い闇を体にまとっている)がアップで映っている。
実ノ丸「ったく……!」
実ノ丸「せっかく今からお前ぇを食い殺して腹満たそうとしてたとこだったのによぉ……!」
○同
★木ノ実の上半身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は前を向いている)(眉を下げている)(目を開けている)(少し口を開けている)(笑っていない)(地面に片膝をついている)(片手を前に伸ばそうとしている)(震えている)がアップで映っている。
木ノ実「何、言ってるの……?」
○同
★木ノ実の上半身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は前を向いている)(眉を下げている)(目を開けている)(少し口を開けている)(笑っていない)(地面に片膝をついている)(片手を前に伸ばしている)(震えている)がアップで映っている。
木ノ実「何、言ってるのさ、実ノ丸……?」
○同
★実ノ丸の上半身(体は後ろを向いている)(顔は正面を向いている)(目線は前を向いている)(振り返っている)(目を見開かせている)(目が血走っている)(大きく口を開けている)(叫んでいる)(背中を丸め込んでいる)(両手を握り締めている)(黒い闇を体にまとっている)がアップで映っている。
実ノ丸「だからぁっ、俺は人間共を食い殺して腹を満たすためにこっちの世界にやって来た妖怪だっつってんだろうがぁっ!」
○同
★木ノ実の上半身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は前を向いている)(眉を下げている)(目を見開かせている)(少し口を開けている)(驚いている)(汗をかいている)(しりもちをついている)(震えている)がアップで映っている。
木ノ実「っ……!?」
○同
★木ノ実の顔(正面を向いている)(眉を下げている)(目を閉じている)(少し歯を食いしばっている)(驚いている)(汗をかいている)(震えている)がアップで映っている。
木ノ実「実ノ丸がっ、人間をっ、食い殺すっ……!?」
木ノ実「実ノ丸がっ、自分をっ、食い殺すっ……!?」
○同
★木ノ実の顔(正面を向いている)(眉を下げている)(目を見開かせている)(少し口を開けている)(驚いている)(汗をかいている)(震えている)がアップで映っている。
木ノ実「実ノ丸がっ、妖怪っ……!?」
【32ページ目】
○戦争により空襲を受けた東京の町・町中・(夜)
★実ノ丸の上半身(体は後ろを向いている)(顔は左を向いている)(空を見上げている)(目を見開かせている)(目が血走っている)(大きく口を開けている)(笑っている)(両手を握り締めている)(黒い闇を体にまとっている)がアップで映っている。
実ノ丸「あぁっ!」
実ノ丸「こっちの世界に来てからぁっ、俺は妖怪として現れては多くの人間共を食い殺して腹を満たしてきたぁっ!」
○同
★実ノ丸の上半身(体は後ろを向いている)(顔は左を向いている)(空を見上げている)(目を見開かせている)(目が血走っている)(大きく歯を出している)(笑っている)(両手を握り締めている)(黒い闇を体にまとっている)がアップで映っている。
実ノ丸「だからぁっ、今度は人間のふりをして目ぇ付けた人間と友達になるふりをすることにしたぁっ!」
実ノ丸「そんでぇっ、しばらくその人間で遊んでから食い殺すことにしたぁっ!」
○同
★木ノ実の全身(体は正面を向いている)(顔は下を向いている)(目線は下を向いている)(うなだれている)(膝から崩れ落ちている)(地面に両手をついている)がアップで映っている。
実ノ丸「一人でいる同年代そうなガキでぇっ、何のためらいもなく俺に気を許してくれそうな人間がぁっ、友達になったと思ってた俺に遊ばれてぇっ!」
実ノ丸「友達だと思ってた俺にあっけなく食い殺されるっ!」
○同
★木ノ実の全身(体は正面を向いている)(顔は下を向いている)(目線は下を向いている)(うなだれている)(膝から崩れ落ちている)(地面に両肘をついている)がアップで映っている。
実ノ丸「そんなザマがどんなもんかぁっ、気になって気になってしょうがなかったからなぁっ!」
実ノ丸「そんな遊びがどんなもんかぁっ、気になって気になってしょうがなかったからなぁっ!」
【33ページ目】
○戦争により空襲を受けた東京の町・町中・(夜)
★木ノ実の全身(体は正面を向いている)(顔は下を向いている)(目線は下を向いている)(うなだれている)(膝から崩れ落ちている)(地面に両肘をついている)がアップで映っている。
木ノ実「全部っ、嘘っ、だったのっ……?」
○同
★木ノ実の全身(体は正面を向いている)(顔は下を向いている)(目線は下を向いている)(うなだれている)(膝から崩れ落ちている)(地面に両手をついている)がアップで映っている。
木ノ実「全部っ、遊びっ、だったのっ……?」
○同
★木ノ実の顔(顔は右斜め上を向いている)(目線は前を向いている)(眉を下げている)(目を細めている)(目に涙を溜めている)(口を開けている)(叫んでいる)がアップで映っている。
木ノ実「今まで自分に向けてくれた笑顔は全部っ、嘘だったのっ!?」
○同
★木ノ実の顔(顔は右斜め上を向いている)(目線は前を向いている)(眉を下げている)(目を細めている)(目に涙を溜めている)(歯を食いしばっている)がアップで映っている。
木ノ実「今まで自分にかけてくれた言葉は全部っ、嘘だったのっ!?」
○同
★木ノ実の顔(顔は右斜め上を向いている)(目線は前を向いている)(眉を下げている)(目を閉じている)(目から涙を流している)(歯を食いしばっている)がアップで映っている。
木ノ実「今まで自分のそばにいてくれた時間は全部っ、遊びだったのっ!?」
【34ページ目】
○戦争により空襲を受けた東京の町・町中・(夜)
★実ノ丸の上半身(体は左を向いている)(顔は左を向いている)(目線は下を向いている)(目を見開かせている)(目が血走っている)(口を開けている)(笑っている)(歩いている)がアップで映っている。
実ノ丸「あぁっ……!」
実ノ丸「全部っ、嘘だぁっ……!」
実ノ丸「全部っ、遊びだぁっ……!」
○同
★実ノ丸の上半身(体は左を向いている)(顔は左を向いている)(目線は下を向いている)(目を見開かせている)(目が血走っている)(口を閉じている)(笑っていない)(歩いている)がアップで映っている。
実ノ丸「けど、やっぱりお前ぇは食わねぇことにした」
実ノ丸「っていうより、食う気がしなくなった」
○同
★実ノ丸の全身(体は左を向いている)(顔は左を向いている)(木ノ実を見下ろしている)(冷たい目をしている)(少し口を開けている)(笑っていない)(立っている)(両手をポケットに入れている)が映っている。
木ノ実の全身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(実ノ丸を見上げている)(乱れた前髪で目が見えなくなっている)(目から涙を流している)(歯を食いしばっている)(座り込んでいる)(地面に両手をついている)が映っている。
実ノ丸「肉も血も大してなさそうなガリガリでヒョロヒョロのお前ぇを見てても、一向に美味そうだって感情が生まれてこねぇからな」
○同
★実ノ丸の全身(体は左を向いている)(顔は左を向いている)(木ノ実を見下ろしている)(冷たい目をしている)(少し口を開けている)(笑っていない)(立っている)(片手をポケットに入れている)(片手で木ノ実の首を掴んでいる)が映っている。
木ノ実の全身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(実ノ丸を見上げている)(乱れた前髪で目が見えなくなっている)(目から涙を流している)(歯を食いしばっている)(座り込んでいる)(地面に両手をついている)(実ノ丸に首を掴まれている)が映っている。
実ノ丸「だから、お前ぇを生かす」
実ノ丸「お前ぇを生かしてやる」
○同
★実ノ丸の全身(体は左を向いている)(顔は左を向いている)(木ノ実を見上げている)(冷たい目をしている)(少し口を開けている)(笑っていない)(立っている)(片手をポケットに入れている)(片手で木ノ実の首を掴んで持ち上げている)が映っている。
木ノ実の全身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(実ノ丸を見下している)(乱れた前髪で目が見えなくなっている)(目から涙を流している)(歯を食いしばっている)(実ノ丸に首を掴んで持ち上げられている)が映っている。
実ノ丸「そんで、お前ぇより食いごたえのありそうなマシな人間がいねぇか見定めに行く」
○同
★実ノ丸の全身(体は左を向いている)(顔は左を向いている)(木ノ実を見下ろしている)(冷たい目をしている)(少し口を開けている)(笑っていない)(立っている)(片手をポケットに入れている)(木ノ実の首を掴んで持ち上げていた片手を離している)が映っている。
木ノ実の全身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(実ノ丸を見上げている)(乱れた前髪で目が見えなくなっている)(目から涙を流している)(歯を食いしばっている)(地面に倒れている)が映っている。
実ノ丸「けど、今度会った時にはお前ぇを食い殺す」
実ノ丸「見かけた時にもお前ぇを食い殺す」
【35ページ目】
○戦争により空襲を受けた東京の町・町中・(夜)
★実ノ丸の上半身(体は正面を向いている)(顔は下を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(目を閉じている)(少し口を開けている)(笑っている)(片手をポケットに入れている)(片手を上げようとしている)が映っている。
木ノ実の全身(体は正面を向いている)(顔は正面を向いている)(目線は下を向いている)(うなだれている)(乱れた前髪で目が見えなくなっている)(目から涙を流している)(歯を食いしばっている)(地面に倒れている)が映っている。
実ノ丸「だから、俺に生かされたその命使って、死ぬ気でこの世界を生き抜くんだな」
実ノ丸「そんで、死ぬ気でこの時代を生き抜くんだな」
○同
★実ノ丸の上半身(体は正面を向いている)(顔は下を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(目を閉じている)(少し口を開けている)(笑っている)(片手をポケットに入れている)(片手を上げている)が映っている。
木ノ実の全身(体は正面を向いている)(顔は正面を向いている)(目線は下を向いている)(うなだれている)(乱れた前髪で目が見えなくなっている)(目から涙を流している)(歯を食いしばっている)(地面に倒れている)が映っている。
実ノ丸「どんだけ孤独が辛くても」
実ノ丸「どんだけ孤独が苦しくても」
○同
★木ノ実の顔(顔は正面を向いている)(目線は前を向いている)(眉が下がっている)(乱れた前髪で片目が見えなくなっている)(片目を細めている)(目から大粒の涙を落としている)(歯を食いしばっている)がアップで映っている。
実ノ丸「父さんの分も」
○同
★木ノ実の顔(顔は正面を向いている)(目線は前を向いている)(眉が下がっている)(乱れた前髪で片目が見えなくなっている)(片目を閉じている)(目から大粒の涙を落としている)(口を開けている)(泣き叫んでいる)がアップで映っている。
実ノ丸「母さんの分もな」
【36ページ目】
○戦争により空襲を受けた東京の町・全景・(夜)
★
N「こうして、実ノ丸は木ノ実の前から消えた……」
○東京の町にある駅(瓦礫と化している)・外観・(夜)
★
N「自分が人間の負の感情から生まれた妖怪である、ということを言わずに……」
N「自分が人間達を消し去って復讐を果たすために妖怪の世界からやってきた、ということを言わずに……」
○東京の町にある軍需工場(瓦礫と化している)・外観・(夜)
★
N「13年間孤独に苛まれてきた、ということを言わずに……」
N「13年間空腹に苛まれてきた、ということを言わずに……」
○東京の町にある闇市(みすぼらしい)・外観・(夜)
★
N「全ては、木ノ実に妖怪という存在への罪悪感を向けさせないようにするため、底なしの嫌悪感のみを向けさせるためだった……」
N「また、木ノ実に自分という妖怪への罪悪感を向けさせないようにするため、底なしの嫌悪感のみを向けさせるためだった……」
○戦争により空襲を受けた東京の町・町中・(夜)
★実ノ丸の鼻から腰(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(顔は下を向いている)(うつむいている)(目から大粒の涙を落としている)(歯を食いしばっている)(歩いている)(両手をポケットに入れている)がアップで映っている。
N「しかし、木ノ実の前から消え、木ノ実に嫌われることが出来たにも関わらず、実ノ丸はその日、悔し涙を流し続けた……」
N「木ノ実から忘れられ、木ノ実を生かすことが出来たにも関わらず、悲し涙を流し続けた……」
○同
★実ノ丸の鼻から腰(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(顔は下を向いている)(うつむいている)(目から大粒の涙を落としている)(歯を食いしばっている)(歩いている)(片手をポケットに入れている)(片手で目をこすっている)がアップで映っている。
N「本能ゆえに木ノ実を友達と捉えることが出来なくなってしまっていたことへの悔しさから、悔し涙を流し続けた……」
N「本能ゆえに木ノ実を主食と捉えてしまっていたことへの悲しみから、悲し涙を流し続けた……」
【37ページ目】
○戦争により空襲を受けた東京の町(雨が降っている)・地面・(夜)
★実ノ丸の全身(体は左を向いている)(顔は左を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(眉を下げている)(目を閉じている)(目に涙を溜めている)(口を閉じている)(少し笑っている)(傷だらけになっている)(血まみれになっている)(身を丸めている)(うずくまっている)がアップで映っている。
N「その後、木ノ実と同じ人間という種族を消し去らない、木ノ実と同じ人間という種族を食い殺さない、という誓いを守り抜いた実ノ丸は、誰にも看取られることのないままあっさりと餓死した」
N「誰にも看取られることのないままあっけなく餓死した」
○同
★実ノ丸の顔(顔は左を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(眉を下げている)(目を閉じている)(目に涙を溜めている)(口を閉じている)(少し笑っている)(傷だらけになっている)(血まみれになっている)がアップで映っている。
N「しかし、実ノ丸は笑って死んだ」
N「悲しそうに笑って死んだ」
○同
★実ノ丸の左手(傷だらけになっている)(血まみれになっている)(少し握り締めている)がアップで映っている。
N「それは、人間の世界に来たことで、自分という妖怪は戦や戦争による人間達の負の感情から生まれた、自分という妖怪は生まれるべくして生まれた、ということを体感出来たからだった」
N「木ノ実という人間に出会ったことで、自分という妖怪は戦や戦争による人間達の負の感情から生まれた、自分という妖怪は生まれるべくして生まれた、ということを体感出来たからだった」
○同
★実ノ丸の左手(傷だらけになっている)(血まみれになっている)(握り締めている)がアップで映っている。
N「だが、悲しそうに笑って死んだのは、人間の世界に来たことで、自分という妖怪は本来生まれるべき存在ではない、自分という妖怪は本来生まれるべき命ではない、ということを体感したからだった」
N「木ノ実という人間に出会ったことで、自分という妖怪は本来生まれるべき存在ではない、自分という妖怪は本来生まれるべき命ではない、ということを体感したからだった」
N「さらに、種族の違いで妖怪と人間が共存出来ないことへのやるせなさ、種族の違いで自分と木ノ実が共存出来ないことへのやるせなさも体感したからだった」
【38ページ目】
○イメージカット(真っ黒な世界)
★実ノ丸の左手(少し握り締めている)がアップで映っている。
N「しかし、人間の世界に来たことへの後悔は全くなかった」
N「木ノ実という人間に出会ったことへの後悔も全くなかった」
○イメージカット(真っ白な世界)
★実ノ丸の左手(木ノ実と手を握っている)がアップで映っている。
木ノ実の右手(実ノ丸と手を握っている)がアップで映っている。
N「なぜなら、木ノ実という人間を通じて、人間という存在を悪と見なさない考えになることが出来たからだった」
N「また、木ノ実という人間を通じて、親や兄弟という大切な存在がいる自分になることが出来た気がしたからだった」
N「そして、木ノ実という人間を通じて、友達という大切な存在がいる自分になることが出来たからだった」
○戦争により空襲を受けた東京の町(雨が降っている)・町中・(夜)
★木ノ実の鼻から腰(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は前を向いている)(目から大粒の涙を落としている)(少し口を開けてる)(泣いている)(息を上げている)(傷だらけになっている)(血まみれになっている)(歩いている)(片手を前に伸ばしている)がアップで映っている。
N「だが、知っておく方が幸せか、知らないでおく方が幸せか分からないことが、実ノ丸には一つだけあった」
○同
★木ノ実の鼻から腰(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は前を向いている)(目から大粒の涙を落としている)(少し口を開けてる)(泣いている)(息を上げている)(傷だらけになっている)(血まみれになっている)(歩いている)(地面に倒れかかっている)(片手を前に伸ばしている)がアップで映っている。
N「そう、一つだけあった」
○戦争により空襲を受けた東京の町(雨が降っている)・地面・(夜)
★木ノ実の顔(顔は右を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(眉を下げている)(目を閉じている)(目に涙を溜めている)(口を閉じている)(笑っていない)(傷だらけになっている)(血まみれになっている)がアップで映っている。
N「それは、木ノ実が消えた自分に再会しようとしていたことであった」
○同
★木ノ実の全身(体は右を向いている)(顔は右を向いている)(目線は下を向いている)(うつむいている)(眉を下げている)(目を閉じている)(目に涙を溜めている)(口を閉じている)(笑っていない)(傷だらけになっている)(血まみれになっている)(身を丸めている)(うずくまっている)がアップで映っている。
N「今まで嘘をつかれていたと分かっても、実ノ丸とはずっと友達だ、という思いを伝えるために自分に再会しようとしていたことであった」
N「今まで遊ばれていたと分かっても、実ノ丸とはずっと友達でいたいんだ、という思いを伝えるために自分に再会しようとしていたことであった」
○戦争により空襲を受けた東京の町(雨が降っている)・全景・(夜)
N「そして、木ノ実が自分に再会することも出来ずに、誰にも看取られることのないままあっさりと餓死したことであった」
N「誰にも看取られることのないままあっけなく餓死したことであった」
そんなはずじゃなかったのに @kamiyanogawa
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