読書が苦手な僕が、引き込まれ二日で読み切りました。
大変なことです。
何回でなく幼稚でもない、日常から離れない慣れ親しんだ言葉を、それでもこんなに豊かに情景を表現される腕は、さすが、お見事という言葉しかありません。
事件の解を求めたい、沈んだものを浮かばせたいと追及する蒼雪くん。
彼が浮かび上がらせる、人の醜さと、美しさに魅了されました。
作中登場する能も文学も僕はこれまで触れてきていないので、
これらに触れたらまた感じるところが変わるのだろうか、と、挑戦したい気持ちにもさせてくださいました。
ともしれば暗いとも言える話なのに、こんなにも心躍らせてもらえて大変に感謝です。
読んでよかった!
拝読いたしました。
Web小説としては、完成された文学としての域にあり、今作を読みながら、知的刺激を多く受けました。
一見なんの変哲もないような日常も、丁寧に、より強い想いを馳せることで、情緒あふれる描きかたを作者さまは成功されております。
本筋の謎解きの鮮やかさもさることながら、その世界に住む人たちの姿、心、在業や迷いなどを実体のある人物のように描かれる……その内面の奥の奥まで……それは見事というほかありません。
万人に、オススメしたい作品なので、ぜひとも読まれてください。
なお、今作には、夏目漱石の「こころ」が登場します。
漱石文学に親しまれた方のみならず、今作を読んで、「こころ」を読まれるのもまた、より深い洞察を得る助けになるでしょう。
漱石にも、今作にも共通して描かれているのは、人間の愚かさとそこから抜け出すことのできない悲しみですが、読者さまはそれだけなく、灯りのような希望を見出していただくことを願ってやみません。
素晴らしい作品と出会えたことを、神に感謝いたします!