再会 一

まだ6月だというのにこの島-小御島おみしまには夏の暑さが照りつけていた。人口は6000人でこの島の人は温かい。普段と変わらない日常。空は青く遠く澄んでいた。

沙季。こっち来て。小学校の頃からの同級生で倫也が島を出ていくときも一緒にいた、幼馴染の琳加が呼ぶ。何故か焦っている表情を呈し、息を切らしながら話す。

「沙季、聴いた?倫也くんが島に帰ってくるんだって。」

「え?」沙季は大目玉を食らった。「それ、ほんとう?」「うん、親がこの島がやっぱり良いって言ったらしい。ちょうど赤ちゃん、倫也の弟も生まれるらしいからこの環境がいいんだろうね。」沙季の心拍数は上がるが、琳加は落ち着いている。

倫也は、親の仕事の影響で都会に出た。連絡はしてなかったし、なんせお互いにとって微妙な別れだった。あのことは今でもイジられるし、笑って返していた。もう私には関係ない過去のことだ。と、上手く自分を欺いて忘れたところだった。

「明日の5時半到着だって。取り敢えず学校に行って、放課後には黒板に歓迎メッセージでも書く?」

琳加はノリノリだ。

「あ、うん。そうしよっか。」

沙季の頭は真白になり体は熱く火照っていた。

首筋を汗が伝う。

「沙季ちゃん。おはよう。」

本基もときだ。クラスメイトの男子。その甘いマスクで女子を虜にしてきた。何を隠そう、琳加の彼氏にあたる人だ。

「あ、橘くんおはよう。」

やけに馴れ馴れしい笑顔に猜疑心を感じつつ、友達の彼氏なんて、こんなものかと思う。

「沙季ちゃん。今日はなんか不機嫌だね、いつもかわいいのに。」はにかみながら元基が云う。

「…っ」沙季は驚いた。顔が真っ赤になり、恥ずかしさが身体を迸る。

「はあ?何言ってんの?別に大丈夫ですけど?あんたは琳加のこと気ぃ使ってあげたら?じゃあ、私、先、行くから…」途中からアニメみたいな怒り方をしている自分を冷静になって俯瞰してみると、また恥ずかしさで尻すぼみな台詞になってしまった。

「そんな言うことないじゃん!」

二人は校門まで駆けた。3階からは琳加が見ていた。

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