再会 ニ

沙季は琳加と走っていた。

午後になり、島のカラッとした夕焼けに黒煙が立ち込める。

来た。倫也が乗っているフェリーは遥か遠くに見えた。島の人は久しぶりの引越者に盛り上がって、港に集まっていた。

ああ、あの日と同じだ。倫也が島を出ていくところを思い出す。耳にイアホンをして、薄く、東京事変が流れていた。

あと五分、急ごう。


港についたら。きっとあの言葉を3年越しに言う準備はできている。沙季の気持ちは変わっていなかった。心のなかでは埋まっている筈だった倫也の穴を埋める準備は出来ていた。


港は矢張盛況であり、近付いたフェリーからは低く、黒い音がなっている。沙季の心臓と反対にゆっくり落ち着いていた。

フェリーは港に止まり、倫也の顔が見える。

愛していて良かった。

すこし、いや、とても大人っぽくなった倫也は色気を以て格好良い。


倫也!沙季は踏み出した。

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