再会 三
人混みをかき分け、沙希は倫也の横顔しか見ていなかった。
倫也は家族と話していて、お母さんの近くにはベビーカーがあった。
あれが倫也の弟か、と思いながら静かに話しかける。
「倫也、久しぶり!」元気に振る舞っていたが声が震えていた。なぜだろう。涙が溢れそうだった。
「おう、沙希!久しぶり!」
ああ、なんで私はこんなに倫也が好きなんだろう。
「時間ある?今から学校行こう!」
強引に手を引っ張って倫也を中学校に連れる。
「え?今からかよ! まあいいよ、行こうぜ!」
倫也の手は昔と違い強く大きくなっていた。待っていた琳加から「おっ、早速ラブラブじゃん。」と言われて「違うし!」と顔を紅潮させる。恥ずかしい。
これから倫也と始まる新たな生活に心を弾ませていた、筈だった。あの日までは。
歓迎会も終わり、小御島の生活に慣れてきた頃それは起こった。琳加は、倫也のことが好きらしいという情報だ。
最初は耳を疑った。だって、私が好きって知ってるじゃん。陰で好きだったの?でも琳加には元基が、と思考を巡らせているうちに、もうこれは本人に聞くしかないと思った。
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