蔵人の唄

ゆげ

Songs from the Brewery

辛口の新酒キリっと新ラベル

秋晴れを埋め尽くさんと布白し

鉢植えの青々として杜氏とうじ来る

冬めいて聞くやもろみの囁くを

 

大梁の滑車見守る寒造り

凍風に負けじ米蒸す湯気の立つ

清酒すみざけの底の濁れる聖夜かな

温もりを醸す麹と氷晶と

 

名残空三年越しのシェリーの香

元旦も働け働け乳酸菌

酒粕の鍋や今夜の酒造メシ

朝日待つ杉玉越しに氷柱かな

 

春光や気泡のきらめき瓶に詰め

味わひの日に日に深し初桜

利酒にまだほろ酔ひの朧月

風光る蔵に響くは洋ロック

 

皆造かいぞうを祝ふ早夏のBBQ

青田波ニンジャの駆くるが如くなり

夏草を避けて目の合ふ鬼瓦

土壁に漆喰塗りて夏休み

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

蔵人の唄 ゆげ @-75mtk

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画