第6話
口の中にまだ吐き出したポテトのかけらが引っかかっていたけど、家に帰るなり化粧を落とすのも歯磨きもナシに靴下だけ放り投げてベットに潜り込む。スマホを握りしめて、いつもみたいにSNSを順繰りに見て回る。コンタクトしっぱなしの目が乾く。少しずつ少しずつ、感情の揺れが消去されていく。
私の生活にはリズムなんてない。
そんな跳ね回る愉しさはない。
お茶碗の底に貼りついた米が乾いていくみたいにして生にぶら下がっているだけだ。
こそぎ落とせなくなるギリギリで重い腰を上げて最低限を乗り越え、また狭い狭い生活空間にもぐりこむだけ。
涙はほおをつたう間、勢いよく落ちてゆくが、仰向けていると何処かでとどまる一点があって、液体の感触は残しながら、徐々に存在感を失してゆく。
呑まれる 永里茜 @nagomiblue
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