諸行無常と言う言葉を、何だか重たい言葉として受け止めるようなったのは、いつからだろう。古文の授業中、居眠りばかりしていた頃の私には、なかった感覚だ。この小説は、その諸行無常を、さり気なく表現している。静謐で切なく、美しい作品だと思った。
動物と暮らす些細な日々。どこかでかすかな“平穏”終わりの予感を漂わせながら、咲いた散ったの桜の花びらの光景と併せて、しっとりと読ませてくれます。この子とこうしていられる幸運を噛みしめて。今日も明日も続く命の瞬きを、追いかけていたいと思わせる作品でした。