魅力的なものが溢れてる

まず舞台設定がすごく凝っていて、文章表現による雰囲気の作り込み、同じように法律に逆らうのに全く違う意識を持った二人。魅力的なものが溢れています。

ここから申し訳ないのですがクソ生意気なことを書きます。

ただ溢れすぎていてもったいないと感じました。おそらく舞台は近未来の日本であり冒頭の酷い牢獄のシーンから「どうしてこうなったのだろう?」と感心が湧きます。推測すると少子化によって立ち行かなくなって人権を尊重している状況じゃないからこういった法律が出来たのかなーとか読みながら自然と考えてました。

私の他にもこの世界観に魅力を感じた人が多いと思うのですが、でも物語のテーマには直接からんでこなかったのでよく練った設定がかえってテーマを弱めてしまっていて非常にもったいないと感じました。

テーマとしては「異性への執着」だけど、どうしてもこの舞台設定を読んでると政治とか人権とか自由とかが絡んで話が膨らんでいくのかなと、社会の在り方や個人の権利的な方向を想像してわくわくしちゃいます。それに「異性への執着」は現代日本で描かれた方が身近な怖さ、えぐみがあってよかったのかも?

作者さんの想像力をフル活用して書かれた熱量ある作品だと読んでいて感じます。すべてに全力で書かれたのだと。だからこそテーマと舞台設定がぶつかっていて整理すべきなのかも。作者さんは筆致も描写もめっちゃ凝ったものを書いているので舞台設定が平坦でも十分面白いと思います。反対にこの熱のある舞台設定に任せてしまって「この設定に合うテーマは?」みたいに考えてもいいのでは?

どこの馬の骨とも知れない者の意見なので大変恐縮ですが、作者さんの熱量なら落ち着いて整理すればもっと面白いものが書けると感じました。失礼なこと言ってしまっているのでぜんぜん無視して頂いても大丈夫です!ですがもしよろしけばご一考ください。