いけいけ勇者様78

最上司叉

第1話

あの街の人達との戦が終わって数日後盗人は猫を連れいつもの街近くの丘にきていた。


「…」


「ニャァ?」


「…」


盗人は悩んでいる。


自分は役に立っていないのではないかと。


仲間の魔法使いは凄腕薬師として今や知らない人はいないと言っても過言では無い。


勇者と魔王


魔王の婚約者とドラゴンの女


最近ではチビ勇者もメキメキ力をつけてきている。


戦いにおいて自分だけが遅れをとっている。


自分はこのままここに居て良いのだろうか?


ふとそんなことを考えていると後ろから話しかけられた。


「…力が欲しいか?」


「…?」


盗人は良くない気配を察知してその場を離れようとしたが遅かった。


「ニャアアア!」


盗人は禍々しい光に包まれた。


【バタッ】


盗人はその場で倒れてしまった。


「…」


どれくらい時が経ったのか辺りはすっかり暗くなっていた。


【キョロキョロ】


近くに猫はいなかった。


「…帰ろう」


盗人は勇者達と住む家に帰ることにした。


【ガチャ】


盗人は勇者達と住む家の扉を開けた。


「おかえり遅かったね」


「珍しいな」


『…こ…ろせ…』


「?」


盗人の頭に誰かの声が響く。


盗人はだんだん意識がなくなっていく。


【キィーン!】


「いきなりどういうことだ!?」


「…」


魔王達は心配そうに盗人と勇者を見ている。


【キィーン!】


「…」


「どうやら本気らしいな!」


「…」


勇者は何も答えない盗人が変だと感じながら盗人を気絶させようとした。


【ドスッ】


「…」


「なんだと?!」


勇者の拳は盗人のみぞおちにキレイに入り気絶すると思ったが盗人は立っている。


【キィーン!】


「仕方ない本気を出すしか!」


【ドゴォ】


勇者の攻撃が盗人にキレイに入る。


だが盗人は倒れない。


このままじゃ勇者の体力が削られ盗人に負ける。


盗人を殺すつもりでいくしかない。


「いくぞ!」


【ザシュッ!】


勇者の剣は盗人の腹部に刺さった。


「…ゴハッ!」


盗人はやっと我に返ったのか勇者に話しかけた。


「…あ…りが…と…」


【バタッ】


「早く魔法使いを!」


「呼ばれなくてもいるからね!早くベッドに運んで!」


盗人の治療が始まる。


魔法使いがスポイトで薬を盗人に飲ませる。


「…うゔっ!」


魔王がベッドの横で盗人の手を握っている。


「戻ってきて!」


魔王が盗人に話しかけた。


盗人が何かに操られていたのは誰が見ても明白だ。


「ゴフッ」


「!」


「大丈夫、安定したから」


魔法使いはそう言うとみんなを部屋から出す。


「ここは任せてみんなは休む!」


【パンパンッ】


魔法使いは手を叩きみんなに休むよう促した。


「…」


勇者は自室のベッドに横たわり考えていた。


何故こんなことになったのか。


いくら考えても分かるはずは無いのだが。


盗人に栄養のある食べ物を明日採ってこようと思いながら眠りについた。


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