想いの欠片

トム

想いの欠片。



 我儘だって分かってる。


 だけど。


 この苦しさはどうすれば消える? 悔しさは? 哀しみは?! ……絶望は?


 失うと言う事が、どれだけ辛くて哀しいか、奪われた者にしか分からない。



 ――逢いたい。



 唯、一目で良い。言葉すら交わせなくとも、君が生きて、笑ってさえ居るなら……。


 

 別離は唐突で、前触れすら見せることもなく。ただ振り返ったその場に、君はもう居なかった。


 何時でも僕の歩幅に追いつかず、それでも頑張って付いて来てくれていた君。ホントは歩調を合わせ、ゆっくり一緒に歩きたかったのに、照れが先走って一歩早く進んでしまっていた。



 ――逢いたいよ。



 ずっとずっと愛してる、今この瞬間も。……ただ気恥ずかしくて、うまく伝えられなかったけれど。


 涙は堪えても止まらず、嗚咽は続き、喉は切れたのか痛みとともに血が混じる。立っていることも出来ず、その場に膝をつき、項垂れてボタボタと雫を地に落とし続ける。



 胸が締め付けられ、目は見えず。声にならない声をあげ、只々動けずに。頭の中は君との思い出が一杯で、天と地がわからないほどに。僕はその場で泣き続けた。



 ――君に逢いたいよ。




 

~fin~

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想いの欠片 トム @tompsun50

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