「ふりかえる」二十首連作
めいき~
二十首連作
しんしんと 黒い空から 牡丹雪 寄せる寒波と 寄り添う親子
つくしの日 河原であつめ たまごやき 弁当自慢 ほころぶ笑顔
縁側で 丸い木桶で 水をいれ 姉妹は涼み 親は汗だく
紅葉狩り 紅や黄色の 水彩画 落ちゆく夕日 昇る星空
パチパチと あたる焚火に 紫を 転がし焦がし 甘い誘惑
陽だまりを 泳ぐアヒルに エサ一つ 投げては笑う 公園の池
川へ行き スイカを一つ 冷やし待つ 蝉は煩く 日差しはきつく
鈴の音を 聴いては涼む 羽重ね 虫かごのぞく 顔もかさなる
白い詩 ワンパク歌う 遠き日の 玄関塞ぐ ソリといぬ達
まだ来ない 寒さに震え 暖房に 足をかざして 猫はまるまる
噴水の 水さえ止まる 水不足 そっとさしだす 水筒一つ
ラジオ塔 見上げて尋ね 石造り 立札見ては 懐かしの音
石畳 並んで走る 公園で 手を振る姿 今は杖つく
鍋囲み つついて香る 海の幸 後の雑煮を 親子ですくう
ウキ一つ 垂らして覗く 人の竿 全員オケラ 帰りはお寿司
あの頃は どこへ行くにも 笑顔ふる 今は遺影の 時は老け逝く
影映り 黒い雪舞う 轟音の 警報響く 意味はなく
鬼灯を 添えては祈る 墓石よ 返事もなくて ただむせび泣く
季節さえ 虚ろに消えて 懐かしや 童心かえり 猫の背をなで
朧月 それをながめて 思い出す 盃一つ 季節を数え
「ふりかえる」二十首連作 めいき~ @meikjy
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