第20話 俺のパイルバンカーの活躍はこれからだ

Side:スルース


 さあ、金も十分貯まったし、マネーパイルバンカーをするぞ。

 リリアンヌが集めた情報によると、冒険者の狩場が移って、実家のエクスカベイト家は金に困って、ミスリル相場に手を出したらしい。

 値下がりを見越して空売りしたのなら良いが実際は逆。

 買い込んだ。

 リリアンヌにミスリルを放出するように言って、ミスリルの値段を下げさせた。

 実家はしばらく耐えていたがたまらずミスリルを売った。

 売ったところを俺が大量に買い込む。

 リリアンヌの家はミスリルの放出をやめる。

 ミスリルの値段が上がる。


 実家は、損を取り戻そうと買いに掛かる。

 俺は買った分を、リリアンヌの家は鉱山からミスリルを放出。

 ミスリルの値段は下がり実家はまたもや大損。

 インサイダー取引がない異世界がとっても良い。


 借金を始めた。

 俺はその債権を少し高い値で買いまくる。

 さあ、マネーパイルバンカーだ。


「当主に取り次いでもらいたい」


 俺はエクスカベイト邸で門番にそう言った。


「約束のない方はお取次ぎできません」

「紹介状ならある」


 リリアンヌに書いて貰った紹介状を出した


「しばらくお待ちを」


 門番が確認に行く。

 しばらく経って。


「お会いになるそうです」

「そうか」

「勝手に入られては困ります。ご案内します」

「案内など要らない。家の間取りは覚えている。玄関を入って、廊下を真っ直ぐ進み。右手の2番目の扉が執務室だな。そこにいるんだな」

「なぜそれを」

「決まっている。前に来たことがあるからだ」


 ずんずんと進み、ノックもなしに扉を開けた。


「久しぶりだな」

「誰だお前は?」


 親父はいぶかし気に俺を見る。

 息子の顔を忘れたか。


「俺はスルースだよ、糞親父」

「お前、生きていたのか?」

「死なないよ、最強のパイルバンカーがついているからな」

「なんの用だ?」

「勘当を取り消せ」


「できるわけなかろう」

「これを見ても言えるかな」


 俺は債権を見せた。

 マネーパイルバンカー炸裂。

 どうだ経済的に貫かれただろう。


「これは我が家の債権。お前が買ったのか?」


 親父の顔色が変わった。


「ああ、買ったさ。そうだ、糞親父。隠居しろ。後は俺が継いでやる」

「何だって」

「驚くほどのことじゃないだろう。当主は一番強い奴がなる」

「そんな理屈はない」


「そうか、借金の返済時期が楽しみだな。言っておくがミスリル相場では儲けられないぞ。うちはミスリル鉱山を所有している。価格操作などお手の物だ」

「嵌めたのか?」

「ああ、強化パーツを手に入れるために、必要だったからな」

「強化パーツ?」

「リリアンヌ嬢だ。婚約してスキルを俺が自由に使わせてもらう。パイルバンカーの更なる発展のためにな」

「言っていることが分からん」

「分からなくても良い。隠居しろ」

「エングレイ家がバックについているのだな。仕方ない。わしももうろくしたようだ。これも時の流れか」


 よし、勘当も解けたし貴族になれた。

 これでリリアンヌを強化パーツとして使うのに何も問題ない。

 そして。


「ギャオオオ!」

「うるさいトカゲだな」

「どこまでもお供致します」

「よし、やってくれ」

「はい、魔法増幅ですわ」


「【バリヤー、エクスプロージョン】、ローラーダッシュ。【アラーム、シャープエッジ、バインド、バリヤー、ロール、エクスプロージョン、クールウォーター、パヒューム】。ふん、ドラゴンなどパイルバンカーの前では柔らかいトカゲ」


 音速は出ているかと思うほど早くドラゴンの懐に入った。

 体に身に着けいてるのはクッションスーツ。

 これでドラゴンへの体当たりの衝撃を吸収。

 金貨100枚掛けて作らせた一品だ。

 実に良い品だ。


 無詠唱では行かない。

 威力が落ちるからだ。

 ここ一番ではさすがに詠唱する。


 ジャキンといういつもの音が大音量で響き渡り、俺が単独でやった時の10倍の爆発が起こる。

 ドラゴンの硬いというウロコも形無しだ。

 ドラゴンのどてっばらに風穴が開く。

 そして、大量の水蒸気とプシュー音。

 立ち込める火薬の匂い。


 うん良いね。

 良いパイルバンカーだ。


 リリアンヌは実に良い買い物だった。

 こんな強化パーツは他にはない。


「流石ですわ。ドラゴンが一撃。これでスルース様はドラゴンスレイヤーですね」

「そんな称号は別に要らない。要るのはパイルバンカー最強だけだ」


 俺のパイルバンカーの活躍はまだまだこれからだ。


――――――――――――――――――――――――

 コンテストはそろそろ終りなんで、これで終りです。

 続きを書くとしたら全面改訂ですね。

 ただ、改訂の方向性が見えてません。


 パイルバンカーというのが、ロボット物の一分野です。

 マイナーと言ってもいいかも知れません。

 大勢に刺さる題材ではないようです。


 ただ書いてて楽しかったのは事実。

 ちょっと惜しいなと思わせる作品でした。

 いま少し読まれていたら続きを書いていたでしょう。

 改訂のアイデアが出たら再チャレンジしてみたいです。

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一撃必殺!パイルバンカー!~スキルがなくて追放された俺はパイルバンカーで天下を取ってざまぁする~ 喰寝丸太 @455834

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