第5話 【it's楽学園】オカルト記者・坂町 マリモ

ラララ・コッペパンの流れるカフェにお邪魔した

…つもりでいた。


入って直ぐに視界に入った黒板に

”It's楽学園へようこそ!!”と書かれていた。

入ってから気づいたが、

ここは…学校の教室だった。


「…ん?君が例の転校生かな?」


「なんのことやら。」


「いや、君は

妖精王 ほし めぐま合ってるよね? 」


若草色のボブショートカットの少女が

自分のメガネを掛け直しながら、

僕の名前と役職を的確に当てる。


「…。」


…珍しく何が何だか分からない。確か僕は、

ちょっと息抜きしょうとカフェに寄っただけだ。

僕の思考する頭を無視するように

裏腹に間の抜けたラララ・コッペパンが流れる。


「it's楽学園にいらっしゃ〜い!!!」


「it's楽学園?」


ラララ・コッペパンのBGMと同じぐらい

優しい雰囲気で少女はパァ〜っと

明るい笑顔を浮かべ続ける。


「it's楽学園はカフェやら…バルやら…の様々な

お店の入口と繋がってましてね。」


「はぁ。そうですか。」


「学園が生徒や関係者を選んで、

場所に此処を繋げて人物を招くんですよ。」


「自己紹介が遅れましたね。

it's楽学園 オカルト記者

坂町 マリモです。」


「これも何かの縁。現状を受けいれましょう。」


「ところでお茶はあるかい?」


「ここは歓迎も兼ねて、

一緒にお茶にしますか。」


マリモちゃんがお茶を入れようと

席を立った瞬間、マリモちゃんに

肉まんが窓を突破って飛んできた。


冷静にキャッチして肉まんを食べるマリモちゃんを私はびっくりしたまま見つめた。


「びっくりさせちゃいましたね。」


「ここではこういう生徒同士のサプライズが

よくあるんですよ。そのうち慣れますから。」


その後、何事もなくマリモちゃんとお茶をした。

さて、この学園に慣れるまで、

実際どれぐらい僕が掛かったか

それはまた別の話に書き記そうと僕は思う。

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IRIAM歩行録 ほし めぐま @wataamedokusen

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