第16話
「お母さん、行ってきます」
両手を合わせてスミノ街に向けて頭を下げる。
お母さん、貴方の話を信じなかった事を許して下さい。
「ゴホッ、ゴホッ!」
「お母さん!大丈夫⁉︎」
記憶にある幼い頃の自分。
大病を患ってしまった母に、何もする事が出来なかった無力な自分だ。
「ごめんね、ダイス。すぐご飯作るからね」
「いいよっ!大丈夫だよっ、自分で作るからっ!お母さんはゆっくり休んでて」
「ありがとね、ダイス。こんなに良い子に成長してくれて」
ベッドに横たわる母の顔は、痩せこけていた。
それでも母の笑顔を見ると嬉しくなるし、温かい手で優しく撫でてくれる手は、僕に幸せな時間をくれた。
そして、母はいつも決まってこう言う。
「ダイス。ダイスはね、近い将来、運命の人に出逢うの。男性か女性かはわからないけど、必ず貴方を現状から救ってくれる。その出逢いを大切にしてね」
お母さんが一緒にいてくれるなら、そんなのはいらない!とよく反抗していた。
そして、10歳ぼ時に最愛の母は亡くなってしまった。
正直、何回も自殺を考えた事があった。
生きる理由が見つからなかった。
でも、いざ死のうとするとと母の言葉が頭をよぎる。
思いとどまってしまう。
それの繰り返しだった。
それから何も考えずに、ただ機械の様に同じ毎日を過ごす毎日だった。
でも、お母さんの言っていた事は本当だった!
今、僕の隣には、窮地を救ってくれた恩人がいる。
その人の名前は、アブルさん。
お母さんと同じ、優しく温かい手を持っている人です。
僕はもう大丈夫です。
だから、お母さんも安心してそちらで過ごしてください。
2人は振り返る事なく歩き続けた。
その後ろには、とても美しい白髪の女性が2人の旅立ちを祝福する様に、優しい微笑みを浮かべていた。
これはこの世界のダイスの物語。
本来の百合ゲーでも、ダイスは登場する。
元人間の魔王軍幹部として。
大まかな流れは一緒で、忌み子として迫害されている。
限界が来たダイスは、魔族の力を覚醒させる。
クリフ達を殺し、スミノ街の冒険者に化けていた女魔族に魔王軍に招待される。
そこで更に力を付けて、魔王軍幹部へと成り上がる。
ルチナとの一騎打ちに敗れるが、そこでルチナは忌み子という存在を知り、心に影を落とす。
という流れだった。
知らずのうちにアブルは、一つのフラグをへし折っていた。
◼️
剣と拳がぶつかり合う。
ここは、ミラー王国の王宮内にある訓練場。
勇者に選ばれた者達が、至る所で訓練に励んでいた。
「よし、ルチナよ。一旦、休憩にしよう」
「はい!わかりました、師匠!」
ロウ師匠の身体強化のオーラが消え、タオルで汗を拭いている。
私も全身が汗まみれだ。
今すぐにでもお風呂に入りたい。
「お疲れ様です、ルチナ。お水とタオルです。ロウ様もお水をどうぞ」
「いつもありがとう、ソフィアちゃん」
「これはこれは、ありがとうございます。ソフィア様」
師匠に水を渡し、天使の様な微笑みを浮かべるソフィアちゃん。
この国の第一王女ソフィア・ミラー様だ。
薄いピンク色の髪はサラサラで腰の辺りまであり、大きい瞳に小さい顔。
身長は140ぐらいでとても小柄。
王族らしい佇まいでいつもピッシリとしているが、意外とお喋り好きで可愛い一面もある。
初めて出会った時は、妖精かな?と思ったほど、完璧な容姿だった。
因みに、私と同じ15歳。
「別に無理に来なくてもいいんだよ?ソフィアちゃん。王女様としてのお仕事とかもあるし…」
「気にしないでください、ルチナ。私が好きでやっています。私の力は主に回復です、戦闘では役の立てません。あと、ここにいる皆様は、私と対等の話してくださいます。それが私はとても嬉しいのです!なので、ここに来るのが、楽しみでもあるのです」
「そ、そうなんだ。私もお喋り出来て嬉しいよ。あはは…」
キラっキラに目を輝かせるソフィアちゃん。
私から出てきたのは、苦笑いだけだ。
正直、それが一番大変だったんだけどっ!とは、ツッコメない。
考えても見てほしい。
辺境の村の少女が、いきなり王族と同等の扱いをされて、聖女でもあり王女でもある人物にいきなり友達みたいに話して良いよ!と言われるのだ。
出来ないよっ!そんな事っ!!しかもソフィア様は敬語のままじゃんっ!!
あまりにも恐れ多すぎて、敬語で話していたのだ。
最初の頃は、まだ良かった。
ソフィアちゃんは何も言わなかった。
ある日から突然、シュンとした寂しい表情になり、
「…敬語のままなんですね」
と言ってくる様になったのだ。
天然なのか策士なのかわからないが、彼女の寂しそうな顔は、とても心に来るものがあった。
周りの騎士達の視線も凄かった。
最近はもう慣れてしまったけど、あの頃はよく胃痛がしていた。
「何の話をしていたのだ?」
「あら?皆んなでお喋り?楽しそうね」
「レイもエマもお疲れ様です。こちらをどうぞ」
レイさんとエマが合流してくる。
レイさんの相手をしていた騎士団長のカイルは、ロウ師匠と談笑している。
見目麗しい2人が追加され4人になり、空気の華やかさがさらに増す。
男勝りに口調の人がレイ・エドワーズさん。
ミラー王国の騎士団長を務めるカイルさんの1人娘。
年齢は17歳。
王女のソフィアちゃんとは、赤ちゃんの頃からの付き合いで専属の騎士でもあり、妹みたいな存在だとレイさんは語っていた。
髪型はポニーテールで綺麗な青髪。
切れ長な瞳も青く、宝石のサファイアみたいだ。
身長も160以上あり、とてもスタイルが良い。
実は、そのカッコ良さから女性から良く告白される事もあるそうだ。本人はそれが悩みだと言っていたが…。
光属性の持ち主で、武器は私と同じ剣。
小さい頃から、カイルさんから鍛えられており、とても頼りになる仲間の1人だ。
残る1人は、エマ。
本名は、エマ・スペード。
魔法都市ファジアス出身の魔法使い。
実は、彼女は光属性を持っていない。
でも、ファジアスにあるとても有名な魔法学校の卒業生であり、光・闇属性以外の全ての魔法を扱えるという天才魔法師。
この世界の歴史上初の5属性持ちとの事で、国王直々に彼女を招集したらしい。
年齢は内緒だと言っていたが、とても優しく皆んなのお姉さんだ。
真紅に染まる長い髪はウェーブがかっており、妖艶な紅い瞳を持つ。
レイさんと変わらないぐらいの身長だが、暴力的なスタイルをしている。
黒い胸元が空いたドレスからは、豊満な谷間が強調されている。
王都ですれ違う男性が全員振り向くほどの、妖艶さと美貌を持った人だ。
この3人と私を合わせたのが、現状の勇者パーティーだ。
こんなに凄い人達が集まっているのに、何故か私が聖剣に選ばれてしまった。
勇者という立場の責任が重くのしかかっている。
でも、この国の…、人類の未来のためにも、私がやらなくてはいけない。
そういう気持ちで、今日も訓練に取り組んでいた。
「そういえば、ルチナが王国に来てもうどれくらいかしら?」
「え?うーんと、もう7年くらいかな。それがどうかしたの?」
ふいにエマから聞かれ答える。
私の頭をふわりと優しくエマ撫でてくる。
「そっか、そっかぁ。もう7年かぁ。出会った頃も辺境の子には見えないくらい可愛かったけど、こっちに来てさらに磨きがかかったわね。これは、世の中の男共はほっとかないわ。私がほしいくらいだもの」
「えっ!、いきなり何っ⁉︎」
「たしかにそうだな。最初はずっとビクビクしてて本当に大丈夫なのか?と心配になったが、今はもう心配はしていない。強くなったし、美しくもなった!」
「ダメですよ、エマ。ルチナは私の婿です♪…と言いたいところですが、思い人がいるんですよね。その想い人に振り向いてほしくて言葉使いを変えていたと知った時は、可愛すぎて絶句したのを覚えています」
「ちょっ!…ホントに、…やめてぇ…」
ソフィアちゃんにそれを掘り返されるとは思っていなかった。
顔が熱い。恥ずかしすぎて叫んでしまいそうだ。
私の好きな人は、アブルお兄ちゃん。
いや、正確にはお義兄ちゃんだ。ここが重要!
何で好きになったの?と聞かれたら、答えづらい。
いつの間にか、好きになっていたのだ。
いついかなる時でも、離れたくなかった。
兄の声が、顔が、全てが、何をしていてもそこに兄がいてくれたら、とても幸せな気持ちになった。
自分で言うのもあれだが、私は幼い頃から賢い子供だったと思う。
辺境の小さな村で、農家の娘として健やかに育った。
だが両親と兄の髪の色は茶色だが、なぜ私だけ金髪なのかがずっと気になっていた。
まだお兄ちゃんが修行をしていると知らない頃、遊び相手のお兄ちゃんがいないので何となく両親に髪の事を聞いてみたのだ。
すると、予想もしない返答が返ってきた。
私は、捨て子だった。
赤ちゃんだった私の泣き声を、農家の両親が気づいて拾って育ててくれていた。
ルチナという名前は、ベビー服にそう書かれていたとの事。
両親が、「それでも貴方は私達の子供よ」と言ってくれたのは、本当に嬉しかった。
私自身、今もあの2人の事を両親だと思っているし、愛している。
だが、それよりも嬉しい事があった。
血が繋がっていないなら、大好きな兄と結婚できるじゃないか!と。
私は歓喜した。
私を産んでくれた本当の両親と神に感謝した。
捨ててくれてありがとう!この人に出逢わせてくれてありがとう!と。
この村は住人同士で結婚をするのが殆どだ。
拾ってくれた両親もそうだと聞いていた。
勝った!私の勝ちだ!これはお義兄ちゃんとの結婚コース確定だ!!
そう思っていたのに…。
いつの間にか、兄が老人と修行をしていたのだ。
強くなるために。
意味がわからなかった。何で急に?とも思った。
毎日、ボロボロになりながらも必死に努力するお兄ちゃんは、とてもカッコよかった♡
って、違う違う!脱線するところだった。
私は焦った。
もしかしたら、兄はこの村から出て行くつもりなのでは?と。
私と違う女と結婚するつもりなのでは?と。
どうにかして、兄を振り向かせないといけない!
そうして思いついたのが、淑女の様な言葉使いだった。
結果は、…何とも言えなかったけど…。
そして、運命の日がやって来た。
私が8歳の時に、王国騎士団がこの村にやって来た。
私は、瞬時に理解してしまった。
あぁ、お兄ちゃんが王国に連れ去られてしまう…。
嫌だよ、寂しいよ、断ってよ。
悲痛な気持ちでいっぱいだった。
だけど、事件が起きてしまった。
選ばれたのは兄ではなく、私だった。
私は呆然としていた。
兄も目が飛び出てしまうのではないかというくらい驚いていた。
意味がわからなかった。
あれよあれよと王国行きが決まり、大好きな兄と離れ離れになってしまう。
私はお兄ちゃんにしがみついていた。
絶対に離れたくないから。
兄が一緒に王国に来てくれるなら一緒に行く!と泣き喚いていた。
だが、兄はついて来て来れなかった。
初めて見る表情だった。
茫然自失。兄の瞳には、光がなかった。
私のせいで兄がこうなってしまった…。
ここで私が我儘を言ったら、また兄を傷つけてしまうのではないかと怖くなった。
本当は嫌だった。
でも兄から離れる事を決意した私は、王国へ旅立った。
そして、今に至る。
あの日以来、お兄ちゃんには会っていない。
どこで何をしているかもわからない。
きっと、凄くカッコ良くなっているんだろうなと思う。
そして、出来れば、結婚はしないで!と強く願う。
全てが終わったら、必ず会いに行く。
そしてこの想い絶対に伝えるんだ!
突然、強いノックでドアが叩かれる。
「騎士団長!ゴドウィンです。至急、お伝えしたい事があります!!今、お時間よろしいでしょうか?」
ドア越しから騎士団のゴドウィンさんの声が聞こえる。
とても焦っている様な声だ。
「入れ」
「失礼します。っ、勇者の皆様!それにロウ老師も!ちょうど良かった!皆様にも関係がある事なのです」
「え、私達も?」
「何かしら?面倒な事じゃなきゃいいけど」
「ワシもかの」
私達にも話があるという事はとても大事な事だ。
訓練場に緊張が走る。
「たった今、スミノ街の冒険者ギルドから連絡があり、魔笛を無断利用した冒険者を捕らえたとの事です!そして、この事件には冒険者に変装した魔族の仕業だと連絡が来ました!」
「なっ、魔族じゃとっ⁉︎」
「くそっ!魔笛を利用されたかっ!!スミノの魔物は状況はどうなっている⁉︎今すぐ動ける騎士達を招集しろっ。すぐに向かうぞっ!!」
魔族っ!
私とお兄ちゃんの仲を引き裂いた元凶。
聖剣を握る力が自然とつよまる。
「エマっ!転移魔法をお願いっ!!」
「はいはい。スミノは遠いから、ケッコー魔力をもっていかれるのよね。私はあんまり手伝えないわよ?」
「わかった。ありがとう、エマ!私が何とかしてみせる」
天才のエマは、転移魔法を使える。
しかし、一つ条件があり、エマ自身が訪れた事がない場所には転移出来ないらしい。
スミノには、行った事があるみたいで良かった。
「私がじゃなく、私達が!だろ。ルチナは何でも1人でやろうとし過ぎだ」
「レイの言う通りです。もっと私達を頼りにください。仲間なんですから」
戦闘準備が整った2人に少し怒られてしまった。
今すぐにでも魔王を討伐して、お兄ちゃんに会いたいという気持ちが先走ってしまう。
これが私のいつもの癖だった。
いけないいけない。
「うん、ごめん。2人とも。皆んなで魔族を討伐しに行こう!」
私達のやる気は最高潮に達していた。
それに水を差すかの様に、ゴドウィンさんがゆっくり口を開く。
「あのー、申し訳ないんですが…、魔物及び魔族の討伐は完了したと報告もありました…。…はい、すみません…」
「「「「え?」」」」
私達の声が綺麗に重なった。
カイルさんがゴドウィンさんに向かって歩く。
「それを先に言わんか!馬鹿者っ!!…それで被害状況は?」
頭をペシっと叩かれ、必死に謝っていた。
「はい。被害者は、クリフという銀等級冒険者のパーティーにいたグレースという女性だけです。魔族は彼女を殺害し、変装してクリフを洗脳して魔笛を使わせたとの事です」
「っ、そうか…。それで、誰がその魔族を倒したんだ?名のある冒険者がちょうど街にいたのか?」
「それが、その…、にわかには信じがたいのですが、魔族を倒したのは、鉄等級の冒険者だと言うのです」
「いや、待て!それは嘘だ!鉄等級の新人冒険者が魔族相手に戦えるわけがないっ。ましてや、討伐するなんて…、これはありえないことだっ!」
レイさんがゴドウィンさんに突っかかる。
だが、レイさんの気持ちはわかる。
私も何度か討伐した事があるが、光属性という有効な技を持っていても強かった。
スミノのギルドがわざわざ嘘を吐くとは、思えないけど…、あまり信憑性はないかな。
「それで、何という冒険者が討伐したんじゃ?早く教えておくれい」
「あ、はい!ロウ老師。その者の名は、アブル。鉄等級冒険者のアブルです!」
瞬間、心臓がドクンと跳ね上がった。
「だぁーはっはっは!何じゃっ!アイツっ!やっと、冒険者になりおったか!遅すぎるわっ!だぁーはっはっは」
ロウ師匠はとても嬉しそうに大笑いをしている。
皆んなは、その姿を見てビックリしていた。
「ロウ師範。アブルという者を知っているんですか?」
「何じゃ、カイル。忘れたのか?テスタ村に生意気そうな小僧が1人おったじゃろ?アイツじゃ、アイツ」
「あぁっ!あの少年ですかっ!それなら納得がいきます。あの歳で彼は強者の雰囲気を纏っていた。とても懐かしいです」
カイルさんもあの時の出来事を思い出したみたいだ。
「ち、父上!父上もお知り合いなのですか⁉︎そのアブルという冒険者と」
「あぁ。一度だけだが彼に会った事がある。彼は騎士団に欲しい人材だった。…ん?今からでも遅くはないか?」
頑張って!カイルさん。めっちゃ頑張って、彼を騎士団に連れて来て!
そうすれば、毎日会えるから!!
「いや!ちょっと待って!…ロウおじさま、さっきテスタ村って言わなかった?それってルチナの故郷よね?」
珍しくエマが声を張り上げていた。
彼女は、どうやら気付いたみたいだ。
パーティーメンバーの視線がバッと私に集まる。
そういえば、皆んなに名前は教えていなかったなとふと気付く。
まさか、こんな形で大々的に発表するとは思わなかった。
ちょっと、恥ずかしい。
「うん。アブルは私のお兄ちゃんの名前」
「そんで、ワシの弟子」
「「え、えぇぇぇぇえええええええええ⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎」」
レイさんとエマが驚きの声を上げる。
口をポカンと開けて、目を見開くソフィアちゃん。
でもやっぱり王女様。
しっかり口は手で隠してるし、大きな声は出さない。流石だ。
その後、皆んなから兄について色々と質問をされたが、もう7年も会っていないのであまり答えられなかった。
途中から空気に徹していたゴドウィンさんが再び口を開く。
「えーっと、その冒険者アブルなのですが…、魔族討伐の報酬を王国で渡すと連絡したら断られてしまいました。その…理由がですね、…めんどくさいから…だそうです」
「「「は?」」」
「だっはっは!なんじゃ!その理由っ!!アイツはワシを笑い殺す気か!!」
…え?意味わかんないんだけど。
何、めんどくさいって…。
何で来ないの?
お兄ちゃん、私に会いたくないの?
私はこんなに会いたいのに…。
私はこんなに好きなのに…。
はっ!
いけない、黒い何かに飲み込まれそうだった。
…あと師匠、お腹抱えて笑い過ぎです。ホントに死んじゃいますよ?
「これで最後になりますが、報酬の代わりにロウ老師宛に冒険者アブルから伝言を預かっています」
「何、ワシにか?」
「はい。では伝えさせて頂きます。『師匠、妹を頼みます。いつか、必ずまた会いに行きます』との事です」
「…そうか。ありがとう」
「いえ。では、私はこれで!」
「えっ⁉︎いやっ、ちょっと待ってください。あの〜、私宛には…」
ゴドウィンさんを呼び止める。
あれ、私宛にはないの?
私、妹だよ?義理だけど。
「あの…その…、ルチナ様宛には…何も…」
気まずい顔をするゴドウィンさん。
何か気を遣わせてしまってごめんなさい。
そうですか、ないですか…。
ふふっ、ふふっ…。
「…ちゃんの…、お兄ちゃんの…、バカーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!!」
その日、勇者ルチナがご乱心になったと王宮でちょっとした騒ぎになった。
あっ、この世界の主人公俺じゃなかったわ… 笑門福来 @warakadofukuki
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