修仙勇者異聞錄

第21話：夏の旅行が終

　次日、李飛星は白月綾香の部屋の扉をノックした。

　二人は顔を合わせると、昨日の赤みがまだ残っていて、微妙で気まずい雰囲気だった。

　李飛星は深く息を吸い込み、口を開いた。「白さん、昨夜…急に輝いた指輪は一体何ですか？どうしてあんな行動を取ったんですか？」

　白月綾香は李飛星がそのことに触れると、軽く唇を噛み、深く息を吸い込んでから、真実をゆっくりと話し始めた。「李さん、以前ある修士が私にその指輪は法力を強化できると言って追いかけてきたんです。でも、まさか…」

　李飛星は理解してうなずいた。大したことではないように思えた。「たぶん、私の師兄なら何とかできるかもしれません。私を信じて宗門に戻りませんか？」

「そうですね、それではお願いします。」

　李飛星はここで記録した風景を見て、玄天聖宗に戻ってこの旅の見聞を報告する準備をした。彼の日本の夏の旅行も終わりを迎えた。

※

　朝陽が昇り、霧が晴れると、港町は活気に満ちていた。船はきらめく水路を忙しく行き来し、漁師たちは網を投げ、商人たちは貨物を積み下ろし、繁栄した光景が広がっていた。

李飛星、白月綾香、そして弥子は中原の玄天聖宗に向かう旅に出発した。これは李飛星の故郷であり、商業で有名な雲夢城という商貿の中心地でもある。この都市は地理的な優位性から、各修真門派の交易の重要な拠点となっており、毎四半期に一度大規模なオークションが開催され、毎回15日間にわたって多くの修士や武者が掘り出し物を求めてやってくる。

「弥子、白さん、見に行きませんか？」李飛星は夏のオークションを思い出し、二人を連れて行きたくなった。

　白月綾香と弥子の目には興味が溢れていた。女の子が買い物を好きでないわけがない。李飛星も嬉しかった。彼女たちは日本から来たので、彼もできる限りの歓待をしたいと思っていた。

「でも、この荷物を持ったままでは、まず私の家に戻りましょう。」

　白月綾香はこの言葉を聞いて赤くなりながら李飛星を見つめた。弥子は目を大きく開いて尋ねた。「飛星お兄ちゃん、あなたの家はここから近いのですか？」

　三人は歩いては止まり、李飛星は白月綾香に簪を贈り、彼女を赤面させた。弥子には地元の特産品を買ってあげて、彼女は嬉しそうに食べていた。

　白月綾香は李飛星が贈った簪を受け取り、その古風なデザインと淡い霊気を感じ取ることができ、彼の心のこもった贈り物に頬を染めた。

　弥子は美味しそうに特産品を味わいながら、李飛星を見上げて喜びの表情を浮かべた。「飛星お兄ちゃん、これとても美味しいよ！あなたは子供の頃、これをよく食べていたの？」

　李飛星はかつて親しんだ街並みを歩きながら、雲夢城の歴史と風俗を語り、方向を示していた。数百年の歴史を持つ伝統的な家屋であり、彼の幼少期の記憶が詰まっていた。

　彼は少し複雑な気持ちだった。12歳の時に叔父によって修道に送られ、その後5年が経過して再会することになったが、二人はどうなっているのだろうかと。

　赤い門は年月を経ても鮮やかで、門前の石獅子は威厳を放っていた。見覚えのある古い家が目に映った。

「李さん、家族がどうであれ、少なくとも今日は私たちがここにいる。」白月綾香は李飛星の表情を見て手を握り、優しく声をかけた。

　一人の老執事が扉を開け、ゆっくりと出てきた。顔には一抹の敬意が漂っていた。「仙師様、ご用件は？」

　李飛星は我に返り、うなずいて少し声を掠れさせた。「ただ叔父と叔母を見舞いに来ただけです。」

　老執事は修士を見上げて李飛星だと認識し、自然と喜びの表情を浮かべた。「飛星坊ちゃまが戻ってきた、飛星坊ちゃまが戻ってきた。」

　皆が大門を通り、屏風の後ろには広々とした庭が広がっていた。屋敷は広大で、彼が幼少期を過ごした場所であり、彼が若い頃に植えた桂花の木はまだ咲いていなかったが、花の香りは満ちていた。

　これはまだ玄関口に過ぎない。回廊を歩きながら、白月綾香は胸を張って大きな屋敷を見回していた。李飛星は彼女の様子に気付き、声をかけた。「白さん、どうしましたか？」

「私は過ぎたことをしています…」

　李飛星はその言葉を聞いて思わず笑い出し、首を振った。「白さん、お褒めに預かりますが、これは私の家に過ぎません。宗門に行けばもっと壮大な場所がありますよ。」

　女子の部屋には淡い檀木の香りが満ちていた。これは彼の姉の部屋で、彫刻が施された窓から日差しが差し込んでいた。夏とはいえ、白月綾香がいることで部屋はそれほど暑くなかった。

　柔らかい木のベッドは輸入された羽毛で作られており、李飛星はその柔らかさと快適さを感慨深く感じた。上には錦の掛け布団がかかっていた。彼は姉の化粧台が見当たらないことに気付き、笑みを浮かべた。姉は武術に秀でた剣士であり、その名技は無双一撃であった。

「私たちはここに泊まるのですか、李さん？」白月綾香は突然尋ねた。

「そんなことはありません。お客様には当然客室があります。」

「では、なぜここに来たのですか？」

「間違えたんです…」李飛星は頭をかいた。

　二人を落ち着かせた後、李飛星は深く息を吸い込み、正廳に向かって叔父と叔母に会いに行った。彼は修士であっても、家族の前では少し叱られることを避けられないだろう。

「この愚か者、修道は無情で、俗世との縁を断ち切るのに、なぜ私たちを訪ねるのか？」

　正廳に入るや否や、叔父の眉が微かに寄った。この老人は理由もなく怒り出した。

「私はまだ基礎を築いていないので、何を恐れる必要がありますか。会いたくなったから帰ってきたのです。」

「ふん。」冷たい鼻息の後、老人の口元に笑みが浮かんだ。子供が帰ってきたのを見て、どうして喜ばない長輩がいるだろうか？

「それでも注意しなければならない。世俗のものが修行に影響を与えないように。」

「黙っていろ。星児よ、先ほど執事が言っていたのだが、入門した時にその女子があなたの

※

「ただの友人です。」

「ただの友人か…」白月綾香は簡単に荷物を片付けた後、弥子を連れて長輩に挨拶しに大廳に入ろうとして、ちょうどその言葉を耳にした。彼女は敗北を認めたが、心中には少し不快感があった。

　弥子は白月綾香の不機嫌を感じ取り、彼女が景色を見て情景を思い出しているのではないかと感じ、彼女の手を自分の頭に置いた。「撫でるだけでいいよ。」

　老人は入ってきた女子の顔色が急に変わり、無念のため息をついた後、白月綾香の前に歩み寄り、彼女の手を握り、弥子を連れて部屋を出て雑談を始めた。

「星児、話がある。」老人は笑みを引っ込め、羅漢のように威風堂々とした表情で、

自らの怒りを示すことなく威圧感を放っていた。この老人は若い頃、一方の遊侠であった。

「何事でしょう、私は何もしていませんよ？」李飛星はこの状況に直面し、唾を飲み込んだ。

「あなたの姉は愛のために国境まで駆け落ちしてしまった。まったく馬鹿げている！あなたの両親と全く同じだ！」

「ほう。」李飛星はそれが当然のことだと感じた。彼の姉はそんなに勇ましいのだから。

「この古い家は誰も継ぐ者がいないだろう。」

「では、あなたの言いたいことは？」

「この愚か者、私に装うのはやめろ。持って行け。嫁に行った娘は捨てた水のようなもので、私は心が痛む。」

「叔父、私は受け取ることができません。」李飛星はそんな人間ではなく、老人が無助の時に家族の財産を奪うことはできなかった。

「無駄話はやめろ。私はあなたを育てたので、あなたがどのような君子かをよく知っている。」彼の頭に重く手を振り下ろし、李飛星は痛みを感じながら頭を撫でた。

「さらに推し続けるなら、私は死ぬ！」

　この数年間、老人の気性はさらに奇妙になったようで、李飛星はそれ以上拒むことができず、鍵と霊牌を受け取り、血を契約として滴らせた。

「行け、私はもうあなたに伝えることは何もない。この愚か者、好きなことをしなさい。」

※

「午後のオークションに行ってみよう。もしかしたら役立つものがあるかもしれない。」

「でも、私たちに買えるのですか？」

「この小鬼。」李飛星は笑い出した。

　李飛星は普通の服を取り出し、二人を連れてオークション会場に入った。

　このオークションには李飛星は一度訪れたことがあり、いくつかのことを覚えていた。

　彼は名門正派の修士であり、門内での業績が良ければ、霊石や宝具に困ることはなかったが、世間には自力で生きている散修もいる。

「玄天聖宗の弟子。」

「······」李飛星は弥子が令牌を門口の使用人に渡すのを見て、少し呆れたが、幸いにもここは面具を与える場所だった。

「聖宗の弟子、貴賓室に行きますか？」

　李飛星は首を振り、心の中で考えた。今日はただ見に来ただけで、物を買うつもりはなかった。面具を受け取り、李飛星は感慨深く感じた。これは霊気を遮断する良いものだった。

　弥子は突然李飛星に尋ねた。「なぜ面具をつけない人がいるのですか？」

「おそらく、実力があるか、後ろ盾がある人たちでしょうね、計算されることを恐れないのでしょう。」

　また白月綾香が近くに座っていたため、李飛星は彼女の香りを感じて血が上るのを抑えられなかった。

「聚気丹、3霊石でオークション！」

「この物がこんなに高いのか…」李飛星は少し呆れた。李斬仙師兄が彼にこれを与えた時はキャンディのように扱っていたので、食べたくもなかった。

「この物は良いのですか？」弥子は李飛星の独り言を聞いて、少し興味を持った。

「これは練気期の弟子が食べるもので、少し霊気を増やすことができるでしょうか？たぶん…」

「壮元培陽丹、12霊石でオークション！」

「これならまあまあかな。」

「この物は何のためのものですか、李さん？」

「あなたも霊気の存在を感じることができますよね、白さん。これは服用後、霊気の吸収が良くなるでしょうか…」

「なるほど、そういうことですか。」

「李さん、霊石と銀の比率はどのくらいですか、私はそれをよく知りません。」

「銅貨1枚で饅頭1個、銅貨100枚で銀1両、銀10両で金1両。」

「金1両が霊石1枚ですね。我々峰門の弟子の月俸は霊石3枚です。」

　オークションには白月綾香や弥子にとって新奇な物がたくさんあったが、修練や戦闘に関連する物ばかりで、他の女子たちも次第に興味を失っていた。

　続くオークションで、白月綾香は美容効果のある驻颜丹を見つめ、その目には欲望が満ちていたが、他の女修士たちによって100霊石の高値に引き上げられ、李飛星の難しそうな顔を見て、彼女も諦めざるを得なかった。

「白さん、心配しないでください。このような丹薬は私の二師兄が作れるので、その時にはいくらでも手に入ります。」李飛星は彼女を安心させるために言った。

「お待たせしました、女修士たちのための商品のこの指輪は体を保護し、霊気を巡らせ、戦闘に非常に役立ちます。価格は20霊石です！」司会者は台上で製品を誇張していた。

　全場は沈黙していた。皆、実際に戦うときには命がけであることを知っていたので、霊気の微弱な環が何の役にも立たないことを理解していた。誰も買おうとしなかった。

「私が買います！」李飛星は手を挙げた。