鬼退治
@syobel
産まれて
薄暗い。部屋の暗さに似合わない大きな声が響き渡る。僕の世界はこの家から逃げ出すことは出来ない。
産まれた時から圧倒的な力の前で怯えながら生きることしか出来なかった。対抗する力がない僕は鬼に従うしか生きる道がない。鬼を意識しながら生きる僕を横目に鬼たちは僕を意識していないことが悔しかった。鬼たちと僕の未来はとても密着に関係していて、自分の未来ですら自分の物でないことがとても馬鹿らしい。一体僕の何なら僕は好きなように出きるのだろうか。
僕の人生は鬼たちが舵を切った方向に流れるだけのように思えた。もしかしたら、それも一種の幸せなのかも知れない。しかし、僕の人生の行き先を決めるのならばまともな船くらい用意してほしかった。こんな泥舟では決められた行き先さえ辿りつけそうにない。鬼たちの挙動一つで崩れてしまいそうになるこの泥舟は僕の不安の原因であった。そんな僕の不安は鬼たちには関係がないらしい。お金、愛、不安、名誉がすべての鬼たちには。
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