あなたに会ってからとても胸が苦しいの

@k0905f0905

第1話

幸田楓(こうだかえで)は十七才。

専門学校に通うための学費を

稼ぐために花屋(グロリア)で

バイトしている。

「いらっしゃいませ」

楓が元気よくお客さんに挨拶した。

「ホントに楓ちゃんは感じがいいね」

近所のオバサンが楓をほめた。

「男とかいないの?」

「イヤだわ、オバサン、そんなのいるわけないじゃないですか」

楓がオバサンの頭を軽く張った。

「アッ、ゴメンナサイ」

「いいのよ、少し痛かったけどね」

「本当にゴメンナサイ、あっ、いらっしゃ」

楓がカミナリに撃たれたような衝撃を

体に感じた。

「こんにちわ」

二十代とおぼしきその男性は彫りの深い

顔立ちをしていて、まるで日本人離れ

していた。

「楓ちゃん、楓ちゃん」

オバサンが楓の目の前でチラチラをした。

「えっ、アッ、ゴメンナサイ、どの花?」

「イヤだわ、これは恋のなんとかいうやつね」

「えっ、そっ、そんなんじゃあ」

「取り込みちぅうみたいだから、またきます」

男が去って行った。

「どうしたの、楓ちゃん?」

店の奥から店主の風香がでてきた。

「恋の病」

オバサンが風香にそっと耳打ちした。

「恋の?」

風香が男の去った方を見詰めて

呆然としている楓をジッと

見詰めた。

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