第三話「自己紹介」

 かぶらつよし。俺は【女教皇】の異能を生まれつき宿している。どうもこの【女教皇】の異能は、【A】曰く事故物件、【隠者】曰くおまけ付きらしく、他の異能と大きく異なる。だから説明は極力避けたいんだがな……。まあいいや。

 まず、【女教皇】の能力は大きく二つある。言い換えれば、二つで一つの異能力なのだ。

 一つは対象を「緩める」こと。緩める対象は一度にいくらでも設定できるが、緩められるものはエネルギー、物体そのもの、そして【異能】だけに限られてしまう。だから、牡丹の【戦車】みたいに抽象的な概念を対象物にすることはできない。そして、「緩める」の言葉通り対象はゼロにはならない(体感は三割減が精々って様子だな)。

 そしてこれがよくない。戦闘では「できないこと」があると、そこを突かれて一気に形勢逆転というのもあり得るからだ。実際、春休みにはそれで【占い師】の奴らに結構な苦汁を飲まされたしな。

 その代わりと言うのが正しいのか知らないが、対象の設定に関してはだいぶ自由だ。例えば「劔の肩のあたりブラ紐の結合力」とか。や、一応言っとくが、実際にはやってねえからな。万一牡丹に言いつけられたら、俺の命が危うい。あンの忌々しいクソ女郎が(怒)。

 そしてもう一つの能力は、俺自身の命を対価に【女教皇】の異能を誰かに引き継がせることだ。つまり、俺も誰かからこの能力を受け継いだということになる。できる事ならそいつが俺に納得いく説明をしてくれるまでぶん殴り続けたいとこだが、そいつももう死んでいるらしい。【A】に聞いた話だから、嘘じゃねえってことがわかってる分絶望しかない。なんで俺なんだよ、ふざけんな。

 ……っと、俺の綺麗な口から汚い言葉が出てしまっていた。

 反省⭐︎しなくちゃな!

 ま、こんなもんで解説は以上にしたい。というか、これ以上喋ってたら学校に遅刻しちまうからな。

 学校行って、朝飯食うか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

和解したら終わりのラブコメ 筆名 @LessonFine

作家にギフトを贈る

いつも応援ありがとうございます。ギフトをいただけたらすっごく嬉しいです。よろしくお願いしまっす。
カクヨムサポーターズパスポートに登録すると、作家にギフトを贈れるようになります。

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ