一年後、またここで

ナナシリア

一年後、またここで

 人生、終わったと思った。


 不合格。その言葉が、受験前に想像していた時よりもはるかに重かった。


 そして、ほんの一瞬だけ、彼女も落ちていたら、と思ってしまった。


「健くん、どうだった?」


 彼女の表情に、堪えきれない笑みを見えた。


 彼女が落ちているわけない。少しでも想像した自分が恥ずかしい。


「俺は、駄目だった。雛は?」


「……わたしは、合格したよ」


 その瞬間、俺の人生のこの先一年間が決まった。


「健くんは、どうする?」


「一個しかない。もう一年、頑張る」


 言葉に出して決意を固める。だが、不安だ。これから一年、頑張れるかわからない。


 それが表情にも出ていたみたいだ。


「健くん、大丈夫?」


 雛に心配されてしまっては、頑張るほかない。


 そう思ってもどうしても不安だ。


 大学から俺たちの実家はかなり遠い。俺も勉強しなければいけないこともあって、雛が進学したら、俺たちが会うことはどうしても難しくなってしまう。


「正直、かなり不安だ」


 これまで一年間受験勉強を頑張ってきて、さらにここから一年耐えられるのか。


 一年は長い。なんたって、十二か月もある。


 しかも、雛と会う機会が減って、彼女が別の人と付き合ってしまう可能性もある。


 その可能性を背負って、周りが大学生活を満喫している中一人で勉強するなんて、不安に決まってる。


 そんな中、雛が口を開く。


「健くん……一年後、またここで会おう」

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一年後、またここで ナナシリア @nanasi20090127

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