若くない私の、何でもない日常【短歌の部】二十首連作部門

知良うらら

若くない私の、何でもない日常


疲れるなあ、そう思ったら縛るのは 自分が決めたルールだったり


妙義山みょうぎさん 美しすぎる かと言って、いちいち泣いてたら身が持たん


乗らなくちゃ 思ってたバスの一個あと、それがあなたのラッキーバスだ


残念な気持ちを歌にのせたなら なんか得した気になる不思議


湯の神に心で祈り 石段は 登らないのが一人旅流


こんこんと寝続ける事が若さとは 知らぬあいだに年はりける


充電や 落ちる命の砂時計 見せられるよで ストレスになる


家事の友 見ないテレビに 癒される 虚しい気持ち押し寄せぬよう


小説を鬱展開うつてんかいにした時は 明日も生きて居なくちゃと思う


歯石ある そりゃあるでしょう、年だもの。衛生士さんに言えず呑み込む


健診の後のランチはどうしても ここぞとばかり 好きなモノ食う


週末のまとめの家事は起き抜けの 座ったら負けの一本勝負


料理コツ あと一手間ひとてまと言われたら、どう無視するか先ず考える


老いた親 嘆いて友と飲む汁粉しるこ 愚痴は心のつかえ取る薬


帰ったら片付けるエリア決めている それ以外の部屋 ふすまを閉める


落とし物 したなら一度 忘れよう 旅の楽しさ霞まないよう


閉まり行く書店に一つ顔出そか 行っても辛くなるだけなのか


要る時は、肩に羽織られ 要らぬ時 腰に巻かれる カーデで居たい


ようやっと 今年の桜散りゆきて のどけき心 戻り来たりぬ


寝穢いぎたなく 眠りむさぼり 居汚いぎたなく 生き続けよう それもまた

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若くない私の、何でもない日常【短歌の部】二十首連作部門 知良うらら @Chira_Urara

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