頑張っても結果が出ない!

@yuuri_therapy

頑張っても結果が出ない!行き詰っている人へ

心を軽くしてくれる喫茶店があると言ったら、あなたは信じますか?


ふふ、僕が軽くしてあげれたらいいんですけどね。


僕ができるのは、美味しくなれと気持ちを込めながらコーヒーを淹れることくらいです。


店長と話したら、きっと来た時よりも心が軽くなっていますよ。




お店の前で花の世話をしていた若い男の子に言われるまま、私は喫茶店のドアを開けていた。



――――頑張っているのに、結果がついてこない。


頑張り方が足りないのかな。


……それとも、そもそも私が抱いてしまったら駄目な夢だったのかな。


『自分の書いた小説の書籍化』


それが私の夢だった。


でも、どれだけ頑張ろうとも結果が出ない。

公募に応募しても落選。

Web小説のコンテストに応募しても落選。


それどころかpv数も少ない。


どうしてだろう。


育児と家事の合間を縫って、1日6000字は書く!と決めて頑張っているのに。


小説の書き方の本だってたくさん読んだし、お金を払って小説の書き方講座だって受講した。


それなのに、どうして。


どうして、なにひとつ結果がついてこないんだろう。


ぽた、と生温いものが目から溢れ落ちた。


喫茶店なのに。誰かに見られたら恥ずかしい。


そう思っていたら、


「お疲れのようね」


という柔らかい声と共に、こと、と目の前にマグカップが置かれた。

ココアの入ったマグカップからはふわふわと甘い香りの湯気が立ち上っている。


美人な喫茶店の店主は、優しく微笑んで言った。


「ココア、疲れてる時に飲むと元気にしてくれるわよ」


「……ありがとうございます」


お礼を言ってマグカップを両手で包みながら口へと運ぶ。

手のひらから温かい熱が伝わってくる。


ココアを口に含むと甘い香りが鼻へと抜けていった。


「……あの、店長と話したら心が軽くなると言われたんですけど……」


「あははっ!そうだといいけど。それは、あの子が言ってるだけよ」


爽やかに笑われてしまったけれど、なんだか私にはあの男の子が言ったことが嘘には思えなかった。


「心を軽くできるかどうかは分からないけれど、話を聞くことならできるわ」


美人な店長に、にこりと微笑まれ、私の口からぽろりと弱音がこぼれた。


「……最近、頑張ってるつもりなんですけどなかなか結果が出ないんです」 


美人な店主は、結果ねぇ……と呟きにっこりと微笑んだ。


「あのね、頑張るってすごいエネルギー使ってるのよ。私には頑張ってるってだけで眩しく見えるわ」


「……でも、なんにも結果が出ないのなら頑張っていないのことと同じですよね」


「それは違う」


やけにきっぱりとした口調だ。


「結果が出たから頑張ってる。結果が出てないと頑張っていない。


それは違うわ。


ねぇ、頑張り方を変えてみたらどうかしら」


「頑張り方を……?」


「ふふ。そんな簡単に言うなって顔ね」


「いえ、そんなつもりは……。ただ、どう変えていいのかなって」


「あなたの叶えたいことを叶えている人に話を聞いてみるのよ。


夢を叶えたいのなら叶えている人、にね。


そして、その頑張り方を自分にゆっくりと落とし込んでいけばいい。


しっくりくるまでに時間がかかるかもしれないけど、じっくりと自分を客観視しながら頑張り方を探していくしかないわ。


ただ、根気がいるからね。


まずはあったかいココアでも飲んで一息つきましょ。


大丈夫よ。あなたには軌道修正していくだけの力があるわ」


頑張って、転んで、立ち止まって、また頑張って。


行きたい場所へ行くためには時間もかかるし、根気もいる。

頑張るのをやめたら、楽になるかもしれない。


でも、私はもう少し頑張ってみようと思う。


まだ、できることがあったから。

できることがあるうちは、頑張ってみたい。

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