最終話 今日は何を壊そうかな

イベントが終わってから数日が経った。


魔帝国で大規模なパーティーをするとの事で私はログインした。


「お、ご主人様。今日は祝勝会だな」

「悪魔の祝勝会なんてあまり参加したく無いのですが……」

「まあまあ、そんな事言わず勝者なんだし楽しもうよ」


ユウリやカイリを召喚して雑談しながら魔帝国へと転移する。


既に魔帝国はお祭りのように大盛り上がりだった。


「皇帝のお出ましだぞ!」

「わぁ、あのラビリルだ!」

「相変わらずの可愛さ」


魔帝国で歩いているといろんな人から話しかけられたり、おめでとうと言ってくれたりした。


嬉しいんだけど恥ずかしいね。


「ラビリルじゃん、やほー」


沢山の食べ物を抱えたベルテが声を掛けてきた。


「ベルテは天王国側じゃん」

「負けたけどお祭りは行くでしょ。他の人たちもみんな来てると思うよ!ほら、あっちでは猫の助さんとアルマさんが新アイテムの実演販売してるし。ってエスクードさんもいたね」

「本当だ」


2人が何かのアイテムをエスクードさんに投げたりしている。


あ、爆発した。って思ったらアルマさんが空飛んだり猫の助さんが巨大化したりやりたい放題だ。


「おい、ユウリ!あっちに変なものがあるぞ!」

「なんですか?私は向こうの実演販売が気になるんですけど」


あの二人は自由にどっか行ってるし……まあ、いいか。お祭りだしね。


「そうだ!パラ&スコーン召喚」

 

この子達も準備から色々と助けてもらったし自由に楽しんでもらおう。


この前のアップデートで街中に限り仲間を同時召喚出来るようになって本当に良かった。


「ラビリル~楽しんでおるか?」

「あるふぁさん!……えっとお酒飲んでる?」


 後ろから抱き着かれたから誰かさんだと思ったのに犯人はあるふぁさんだった。


 お酒を片手に顔を赤くして抱き着いたまま離れない。


「ちょっと!ラビリルに抱き着いていいのは私だけですぅー!」

「サユも!?」

 

とかなんとか言って誰かさんも抱き着いてきた。


サユもお酒を飲んでいるみたいだけど未成年は飲んでもただの水だよ?酔っぱらったフリして抱き着いているね。


「お二人とも!ラビリルしゃまが困っていましゅ!離れてくだしゃい!」

「モブさんも大変だね……」


モブさんが来て二人を引きはがそうとしてくれた。私はステータスの問題で引きはがせないからね。


「二人ともそろそろ離れないとパラとスコーンのおもちゃにするよ?」

「ひっ!酔いが醒めたのじゃ……」

「それは流石に……」


ちょっと脅したらすぐに離れてくれた。


「ねぇ、あるふぁさん」

「なんじゃ、ベルテよ」

「なんで酒飲んで酔っ払ってたの?未成年はただの水だよ?」


ベルテがニヤニヤしながらあるふぁさんに問いかける。


あるふぁさんはその問いかけに目がウヨウヨと泳いでいた。


「そ、それはじゃな……そう!酔っ払ったフリじゃ!サユもやっていたじゃろ?」

「え、普通に素だけど」

「……………………と、ところでアルテナが見当たらない無いのじゃがどこへ行ったのかのぉ」


あ、話逸らした。


「アルテナ様ならあちらでしゅね」

「む……」


モブさんが指を指す方向にはアルテナさんと闇さんがベンチで座っていた。


「最近はリアルよりゲームで会うことが多いな」

「……」

「そうか、では次の休みはリアルで買い物でもするか」

「……」


闇さんは全く話していないのに何故か会話が続いている。


「チッ、リア充が……サユ、モブ、あっちで飲み直すのじゃ!」

「大人って怖いねー、じゃあまたね!ラビリル!」

「あの、僕も未成年なんでしゅけど……」


お酒を持って3人は何処かへ行ってしまった。


「ラビリル!《こっちに来て》」

「うわ、身体が勝手に!」


身体が勝手に動いて何処かへ歩き始めた。街中だから無条件でスキルを抵抗出来るけど、私をこうした犯人は分かり切っているからそのままでいいや。


「あー、魔法少女ね。いってらっしゃい!」


ベルテに見守られて犯人の前まで歩かされる。


「ラビリル!イベントが終わった今、真の勝者を決めよう!」

「ただ私と戦いたいだけでしょ?それもスキル弱体化前に」


イベントで大活躍だったスノーピンク、次の大型アプデあたりでチート魔法が確実に弱体化される。


「う、と、とにかく決闘だ!」


『スノーピンクが決闘を申し込んできました』


「承認っと」


承認すると私とスノーピンクは決闘専用の別世界に送られる。


「今度こそは勝つ!《変身》」

「今回も負けないよ!《破壊開始》」


勝者の行方は――――


・・・

・・


「ただいまー」


今日も学校を終えて真っ先に帰宅する。ゲームに出会う前はこんなすぐに帰ることなく図書室や自習部屋にいる事が多かった気がする。


自分の部屋にいると色々と壊したい衝動が抑えられなくなりそうだったから。


ガチャリと扉を開けて自分の部屋に入る。


「うん、宿題は後でいいや」


カバンをポイっと適当においてからデバイスを頭にセットしてティニットの世界へと今日も向かう。


「さあ、今日は何を壊そうかな?」


――――――――――――――――

・後書き


 最後までこの作品をご覧いただきありがとうございます。IFストーリーや間話など希望があればやるかもしれませんがひとまずこの作品はここでお終いです。


 次回作『勇者の妹は待ちきれない』もよろしくお願いします。

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破壊衝動が抑えられない少女はVRMMOの世界で破壊の限りを尽くすようです 千矢 @Kaochihosi

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