ボタンを押させるな

伏見京太郎

ボタンを押させるな

帝国の総統就任式の祝賀会


「おっと、失礼」

帝国将校に後ろからぶつかられた。


思わず、手にした爆弾の着火装置を床に落としてしまった。


この装置のボタンを押せば、会場内に仕掛けた爆弾で帝国の首脳陣を全員爆殺できる。


慌てて私は着火装置へ手を伸ばす。


「貴様!共和国の女スパイか!」

その目論見に気付いた帝国将校が装置を蹴り飛ばす。


宙を舞った装置は、テーブル上の豚の丸焼きの頭部に突き刺さる。



「ボタンを押させるな!」

帝国将校の怒号が会場に響き渡る。



私はテーブルに飛びかかり、着火装置のボタンごと豚の頭部にサッカーボールキックをお見舞いした。



「ボタンは押す以外に、"蹴る"ってのがあるんですのよ?」



豪速球の豚が総統の顔面に直撃し、ボタンの作動音と共に会場は爆発で吹き飛んだ。



ボタンを押させるな 了

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ボタンを押させるな 伏見京太郎 @kyotaro_fushimi

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