第75話 ダンジョン1階層に巨大遊園地を
「南足、集客の見込みはできたぞ。さあ、どうする?」
「ダンジさん。まずは温泉ですよね。10階層にならって露天風呂、サウナ風呂、回る露天風呂に加えて絶叫系ウォタースライダーはほしいですね」
「ああ、高いところからチューブで滑り落ちてくるやつな」
「そうそう。テレビのバラエティでおなじみですよね」
「長◯スパーランドとかな」
「そうそう。それからその周囲はジェットコースター系でしょ」
「おいおい、いいのか。この世界の人にそんなもの紹介して」
「まあ、過激なのはやらないですよ。だって、この世界の人ってたいていは時速20km以下しか経験したことないですからね」
「だな。ホバークラフトで時速50km体験が衝撃的になる理由だよな」
「はい。だから、現代日本人からすればチョロいレベルぐらいでいいんじゃないかと」
「うむ。心臓発作は不味いもんな」
「あとはいろいろ子供向けのアトラクションをいくつか。観覧車とか。ゴーカートとか。そして、レジャーランドの中心にはTDLみたいな豪華なお城」
「おお、そこがカジノか?」
「正解。ルーレット、スロットマシン、ポーカー、バカラとかをラスベガス顔負けの施設でやってみたいですね」
「警備員ならまかせておけよ。ブラックハウンドがかなり育ってきてるからな。まさしく黒服なみに動けるぞ」
「ああ、ありがとうございます。こういうところには不逞な輩が付き物なんで助かります」
「1階層とはいえ、ダンジョンだからな。そういう強面がいても変じゃないだろ。実際、おかしな真似をする奴は遠慮なくガブガブやっちゃえばいい」
「いや、それは……」
「カジノの治安は大事だぞ。しかも、この世界は武器を取り上げても魔法のある世界だ。まあ、魔法キャンセル魔道具は必ずカジノに仕掛けなきゃいけないがな」
「魔法でズルするやつが続出しそうですからね」
「その魔道具はまかせておけ。というか、もうできてる。かなり大規模なやつがな」
「ああ、仕事速いっすね」
「いやあ、おまえらの行動が遅い場合は10階層でいろいろやってみたいと思ってたからね」
「ああ、それはないっしょ」
「トランプとかはしてるんだよ。賭け事はなしで。でも、1階層でやり始めたら10階層でもやるからな。カジノは絶対高位魔物の間でも話題になる」
「まあ、お客さんは完全に分かれてるから問題はないですけど」
「あとは、結界魔道具だな。1階層はスライム程度しか湧いてこないが、それでも普通のスライムよりは強力だからな。エリア内は魔物がわかないようにしないと」
「それと、魔素低減結界もお願いしますね」
「ああ。結界魔道具には魔素を低減する効能が含まれている。魔素がなければ魔物は寄ってこないからな」
「ありがとうございます」
「黒犬レースもやりたいなら言ってくれよ。あれ、黒犬の連中がえらくやる気満々だからな」
「ああ、是非お願いします。何と言っても維持費がかからないのがいいですよね、競馬と違って」
「馬は金がかかるからなあ。競馬は昔は貴族の娯楽だったんだよな」
「今はギャンブルが全面に出てイメージ落ちちゃってますかね」
「まあな。馬の育成に金がかかるのは相変わらずらしいが」
「それからですね、グルメ。これははずせないですね」
「俺的にも力はいれたいよな。ただ、問題はキャパをどこにもっていくかっていう点」
「というと」
「単純にだな。ダンジョン製の食材で賄うと数に限界があるんだよ」
「ああ、自前の農場・牧場前提でグルメに力を入れないといかんということですね」
「だな。ダンジョンと違ってダンジョンの外での農業は色々難しい面が襲ってくるし、質の面でもどこまで担保できるかだな」
「食材の点では雲母村にかかってますね」
「雲母の大農民、移民たちの経験、そして俺のアシストなど、総合力が試されるな」
「ええ。ただ、王国のレベルを知ってるんで。あれ以下ってことはないでしょ」
「ああ。王国の飯は不味すぎる」
「ほんと、悪いですけど、犬の餌以下ですよ。あんな腐った肉なんて、今どきの飼い犬では見向きもしないかもしれんですね」
「まったくだな。あのレベルよりは少し高いのを目指せばいいからな。そのかわり値段を下げるとかね」
「ですね。最初から高級レストランなみを目指すと息切れしそうですもんね。まあ、せめて俺たちが食べて違和感のないレベル」
「具体的には何やる?」
「やっぱり、肉中心でしょ。あと砂糖」
「やっぱり、脂肪と甘みから攻めるのは常道だな」
「ええ。誰でもがすぐに理解しますから。ですから、焼き肉ははずせんですね。あと、マ◯ク。ハンバーガーに甘さたっぷりのドリンクとかスィーツとか」
「いいんじゃないか?」
「食材の供給については雲母たちと進捗計画建てますよ。特に牛は飼料が大量にいるらしいですよね」
「この世界の牧畜のオーソリティをスカウトする必要があるかもな」
「ああ、それは冒険者ギルドのギルマス通じて有能そうな人を紹介してもらいました」
「ほう」
「ていうか、あのギルマス、やけにノリノリでして」
「そうなん?」
「ギルド引退したら村に引っ越ししたいって言いはじめてますよ」
「へえ。いいじゃん」
「実はですね。ギルマスの奥さん、ムチャ美人で」
「ほお」
「昔はギルマスと一緒に冒険者やってたらしいんですが、結婚して娘が二人いて。18歳と16歳」
「美人か?」
「俺、生物の授業を信用しました。DNAは嘘つかないって」
「なんだ、頭ハゲてるんか」
「違うっって!奥さんそっくりなの!この世界の人って欧州とアジア人のいいとこどりみたいなとこあるじゃないですか」
「ああ」
「その結晶みたいな姉妹なんすよ。9等身のモデル体系にちょっと派手目な堀の深い美人顔」
「ああ、新体操になんかいそうなタイプね」
「そうそう。女子フィギュアとか」
「そりゃギルマスもホッとしたろ。自分に似なくて」
「自分でそう言ってます」
「で、何か。争奪戦が起こってると」
「足の引っ張り合いをしてますよ、4人で」
「へへ」
「ビッグニュースがもう一つあるんすよ」
「何?」
「ほら、冒険者ギルドの美人窓口のグレースさん」
「ああ、彼氏持ちの」
「別れたんスよ!彼氏の浮気で!」
「おお、チャンスじゃないか!」
「ですよね!ところが悪魔の申し子がいまして」
「誰?」
「雲母がですね、彼女とデートしたんすよ!」
「ほお」
「ゆるせんでしょ?もうね、デートから帰ってきて『僕の人生初デートがあんな美人とだなんて。もう死んでもいい』なんて号泣するんすよ。俺達までもらい泣きしましたね。別な意味で」
「そりゃ良かったな」
「だから、望み通りボコボコにタコ殴りしてやりました。3人がかりで」
「ああ、男の嫉妬は見苦しいから適当にしておけよ」
「いや、この世界、回復薬とかしっかりしてるんで。多少の怪我なんか問題ないっすよ」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
一旦ここで締めさせて頂きます。
お読みいただきありがとうございました。
森のダンジョン食堂~ドラゴン定食始めました REI KATO @keitakato
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