第162話 捗る

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「俺と俺で現世の覇権をとりにいく」89話と同じ時間軸です

https://kakuyomu.jp/works/16818093081647355813/episodes/16818093090327438828


全体の時系列情報は下記を参照してください

https://kakuyomu.jp/users/kurumi-pan/news/16818093086120520701

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「捗る……」

ワンルームマンションの一室で、イラストレーター『まみやり』は、翔太と石動を見るなりそう言った。


彼女はゲーム『シティエクスプローラー』のキャラクターデザインを担当しているイラストレーターだ。

このゲームはMoGeが制作しており、石動は株主である立場を利用してイラストレーターを紹介してもらっていた。


「今宮さん?!」

「あれ?どこかでお会いしたことがありましたか?」

「あっ!」


目の前の若い女性は怪訝な表情で翔太を眺めていった。

翔太は驚きのあまり、自分の失言に気づいていなかった。

(しまったぁ……のはずだったのに……)


「柊の知り合いか?」

石動は翔太がゲームのイラストレーターを知っていることに驚いていた。


。あ、あの……柊です。野田から何か聞いていませんか?」

「あー! 健吾くんの同僚の!」

「元同僚ですが、それで合っていると思います」

「なるほど……健吾くんが写真を見せたんですね」


今宮は合点いった表情になったことで、翔太は安堵した。

(あ、危なかったぁ……勝手に勘違いしてくれて助かったぁ)


「あれ、本当にどこかで会ったような……」

「えっと、イラストレーターのまみやりさんですよね?」

翔太は必死に話題をそらした。


今宮涼子いまみやりょうこといいます。『まみやり』の名前で活動しています」

「なるほど、ペンネームは本名から取っているんですね」


名刺をもらった石動は感心していた。

名刺のデザインは洗練されており、愛くるしいキャラクターが描かれていた。


***


「スライドのポイントとなるところに挿絵を入れたいのですが」


石動は具体的な仕事内容の説明を始めた。

翔動が提供するeラーニングサービスには、公式コンテンツが提供されている。

内容は翔太が作成し、声優が内容を読み上げている。


「うわっ! 須賀川さんの声、めっちゃ素敵ですね!」

須賀川は霧島カレッジの候補生だ。

石動によって才能が開花し、ゲームに出演するほどに成長した。 ※1


「――声が須賀川さんということは、ファナのイラストを入れるんですか?」


ファナはゲームに登場するキャラクターだ。

主役は長町が演じるナナで、ファナはその妹である。


「版権は買う予定ですが、ゲームはまだ未発売なので、コラボレーションは発売後に行います。

今の教材にはオリジナルキャラを原案からお願いしたいのです」

「理解しました。そうなると――」


今宮は仕事の話をしつつも、ときどき自分と石動を見比べながら、「捗る……」と言いながら、恍惚とした表情になっていた。


***


「これは翔動うちとは関係ない案件なのですが――」

翔太は今宮に追加の仕事を依頼した。


⚠─────

※1 「俺と俺で現世の覇権をとりにいく」38話 https://kakuyomu.jp/works/16818093081647355813/episodes/16818093083833356716


「今宮涼子の妄想」(※ 15歳以上推奨)

https://kakuyomu.jp/users/kurumi-pan/news/16818093090404059451

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