そして未来へ

 そして未来へ


 〜未来の歴史書より〜


 1560年の全国統一から1565年までに刀狩と全国検地を完了させ蝦夷地からルソン島までを支配下に置いた大内政府は共存拡張外交という外交戦略を展開。


 明と密接な関係であった大内政府は1566年にはニューギニア島を発見し、1567年より入植を開始、そして1570年にはオーストラリア大陸を発見し、入植を開始した。


 北は1570年より樺太に入植を行い、ほぼ無人地帯を占領していき、ポルトガル、明、オスマン帝国に日本国の領域を認めさせることにも成功した。


 東洋の海洋帝国と各地で記載されていた。


 その広大な領土の統治を可能にしたのは公武合体や全国から文官を掻き集め、反対勢力を火力を持って制圧していったからであった。


 普通ならば独立してしまいそうであるが、大内政府は大内義植が大量に子供をばらまいた事で血縁関係を持って統治を行った。


 そしてその子供達も独立を望むことなく、互いに綿密な連携をすることでモンゴル帝国の様な分裂することなく、政府に忠誠を誓い続けた。


 また入植した地域が産業基盤が貧弱であり日本本土からの連絡船で成り立っている以上、独立したくてもできないというのもあったが···


 ただし、大内義植は本気で拡張した場所の本国化及び同化政策を進め、大量の移民を送り続けた。


 1580年になるとポルトガルがスペインと同君連合になり、ポルトガル植民地は本国との連絡が遮断されてしまう事態が発生し、東南アジアのポルトガル植民地は日本と貿易で現状の支配地域を維持する方向にシフトする。


 一方で東南アジアにやってきたスペイン勢力はポルトガル植民地とは敵対関係になり、フィリピン南部を拠点に勢力を拡張し、ルソン島の本願寺領と激突することになる。


 本願寺は大内政府に支援を要請し、スペインと戦争状態に突入。


 スペインはイエスズ会から再三警告文を送られていたが、東洋の猿に白人技術が負けるはずないと楽観視していたが、日本海軍はスペイン艦隊に負けない大砲や造船技術を獲得しており、本拠地が近いことや好景気による造船ラッシュ等で急速に海軍が拡張していたため、遠洋航海の技術はスペインに分があっても、壊血病等の治療方法が日本海軍では確立していたこと、補給基地が各地にあること(ポルトガル植民地やイスラム勢力も協力的だった)でスペイン艦隊は三度にも及ぶ艦隊派遣で大敗を繰り返し、財政が急速に悪化。


 オランダの独立戦争にも負けてスペインの東南アジア植民計画は破綻するのでした。


 フィリピン南部もスペインから奪取し、日本に組み込み、1589年にはオーストラリア全土の測量と地図が作られた。


 1590年にニュージーランドに入植を開始、そして北でもアラスカに入植を開始し、日本は世界最長の南北に領土を持つ海洋帝国になる。


 大内義植はアラスカ入植をもって拡張集結宣言を発表。


 縦に伸びた国土の維持で日本本国は限界点を超えてしまい、維持管理費だけで内地(本州、四国、九州)で稼ぎ、蓄積した金銀を削りながらの拡張であったために、残りの時間は勢力の整備に費やすことを宣言した。


 中華やユーラシア大陸に領土拡張の意欲を全く見せなかったのは歴史家達は不思議に思ったが、日本のここまでの拡張は明から巻き上げる貿易での富があってのことなので、それを理解していた義植はあえて大陸には手を出さなかったとされる。


 大内義植は1618年に亡くなるが、最後まで一定の権力を握り続け、義植が亡くなるまでに総理大臣(大内家の家督継承)は5代目まで進み、義植が亡くなるまで約半世紀で婚姻政策を推し進め、毛利家や北条家といった大領を持つ大名を血で汚染し、分家を作らせて分割していった。


 最終的に毛利家と北条家は大内義植の最後の策謀で毛利家は9つに分裂、北条も10家に分裂した。


 ただ毛利系、北条系といった連携は続き、彼らは独自の経済圏を保有し続けた。


 ザビエル等のイエスズ会が必死に布教をし続けたキリスト教は義植の指摘通り神道と混合してしまい、更にマリア様を淫乱像にするなどの教義から逸脱した行為から日本キリスト教内でも分裂し、ローマから異端認定を受けてしまうことになる。







 大内政権は中華のように海禁政策を取らずに積極的な交易を行なったが、義植死後は自由貿易が更に加速。


 植民した土地も食料供給量や作物の生産量は跳ね上がり、オーストラリア大陸の莫大な地下資源、アラスカの金脈等の各地から地下資源が産出され続け、富士山の噴火等で一時的な不況は発生したものの、1560年から1890年まで黄金期が続いた。


 ポルトガルの没落によりイギリスやオランダ、フランスといった貿易の国を変え、蒸気機関の開発はイギリスに遅れを取ったが、水力機関により工業化が進められ労働者が大量にいた事、資本の蓄積が進んでいたこと、大陸不介入の政策により明と清の戦争で明に手を貸しながら武器輸出で儲け、政府にも余剰資金が蓄えられていたこと、ポルトガル没落時にポルトガル商人を吸収し、西洋との直接取引が行われ、他国よりも西洋と関係が近かった事等で早期に蒸気機関が導入され、グレート・ゲーム(イギリス、ロシアの世界をゲーム盤にした覇権の取り合い)にプレイヤーとして参加した。


 ちなみにだがナポレオンの大陸制圧時にイギリス側に味方をし、蒸気機関の導入に弾みがついたとも行っておこう。


 ただ蒸気機関が導入できても普及するまで半世紀かかったが、世界に遅れる事は無く、常にプレイヤーとして戦い続けた。











『お疲れ様でした■■■。いえ、大内義植でしたか』


「はぁ、やれることはやりましたよ神様」


『ええ、期待以上です。欲を言えばアメリカ占領くらいしてほしかったですが』


「無茶言わんでくださいよ。ポルトガルの残存勢力を吸収しても太平洋横断は厳しいですって」


『ふふふ、まぁそうですね。ではあなたが死んだ1618年での日本領域内での総人口は約3500万人、そして1900年代には2億5000万人までに増えました。あなた自身が認知している子どもの数は390人、そこから鼠算の様に増えていきました』


「結構頑張ったよ」


『意外だったのは脳移植で生きながらえると思いましたが』


「私の肉体が消えれば錬金術も神の奇跡も使えないだろ? だったら死ぬ時は寿命に従うまでさ」


『···改めてお疲れ様でした。ゆっくり休みなさい』


「ええ、ではさようなら神様」










 大内義植···日本を拡張した大王。


 近年の研究で異常な神通力を有し、それを用い人体実験を繰り返していたが、最終的に日本の国力と礎にした偉大な政治家であった。


 そして彼が最後に名乗ったのは···大魔王であった。


 これは特殊な性癖を持った男の転生録である。


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 お疲れ様でした。

 これにてこの物語は終わりになります。

 では次回作にてお会いしましょう。

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特殊性癖の戦国転生 星野林 @yukkurireisa

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