0の存在

ソノハナルーナ(お休み中)

第1話 雨の日

『千五(せんこ)おばあちゃん!』

『まあまあどうしたの? おばあちゃん、やらなきゃいけないことあるから部屋に行ってなさい』

『はーい』

そんなおばあちゃんと孫の何気ない会話の中で、お客さんが顔を覗かせた。

『花屋(かや)さん! お元気でしたか?』

『あらっ、お隣の千川さん。どうもぉ。相変わらずお天気が雨だとお花もなんだか元気がない気がするのよね』

『流石、花屋のかやさんね。今日はちょっと顔みたいだけだったから、そろそろおいとまするわ。じゃあ、また今度』

『ありがとうございます』

そんな会話をしているうちに昼になっていた。

おばあちゃんは少しうたた寝をしていた。

すると、外は雨なのに、びしょ濡れになっていない青年が佇んでいた。

青年はひと言発した。

『初めまして、花屋千五(かやせんこ)さん。担当の倉島です』

おばあちゃんは目をうっすら開けるとその青年は笑い慣れていない顔で笑った。

おばあちゃんは不思議そうに上から下まで見上げると、孫に語りかけるように言った。

『まあまあ、黒い服がお好きなのかしら。孫もね、よく上下同じ服を来たもんよ。倉島...なんていうのかしら?』

すると、彼は嫌そうな顔をして言った。

『親しくない相手に話すことではありません。あなたはもうすぐ死ぬのに』

すると、おばあちゃんは驚くように言った。

『あら、私死ぬの? 嬉しいわ。やっと夫の元に行けるのね。それで、死ぬのはいつなのかしら?』

『3日後だ』

すると、おばあちゃんは悲しいより何か思い悩んでいた。

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