第3話体育祭 練習(1)

【体育祭】それは学生生活の中でおこなれるイベントで、友情、愛、青春すべたが詰まった高校生活で一二を争う大型イベントだ。

 俺の通う南波高校の体育祭では紅組と蒼組の二つのグループに分かれる。そして俺は今紅組のメンバーとして練習に参加している。


 あの夏休みのダムの決壊から数日が過ぎ夏休みは終わり、9月を迎えていた。そして今、俺らは体育祭に向けて練習の日々が始まった。


「紅組の団長を務める村雨 達也むらさめ たつやだ。よろしく」


「私は副団長を務める石原 香織いしはら かおりです。よろしくお願いします」と団長と副団長が挨拶しそれに続いてほかのメンバーも挨拶をする。


「挨拶も終わったので、今から個人の出場競技を決めたいと思います」


「皆さんに今から競技リストの紙を回すので各自出たいものに名前とチェックを付けてください」


「体育祭のルールとして、応援合戦を除いた競技の内、一人最低でも二つの競技には参加するのがルールなのでその所よろしくお願いします」


 副団長の香織先輩が仕切り、他のメンバーがプリントを配っていく。俺らの元に紙が届き開催される競技を確認すると龍之介と渉を呼び話し合った。


「2人ともどうする?」


「俺は色んな競技に出れるだけ出ようと思ってる」と渉がいいそれとは対照的に龍之介は「最低限出ればいいかな」と言っていた。


「じゃあ俺も最低限に抑えて渉のために参加枠を開けてあげるか」


「じゅんじゅんは単純にめんどくさいだけでしょ」と渉に突っ込まれた。


 9月になったとはいえまだ日差しは強く夏と変わらない熱を太陽はなっている。そんな中多くの競技に出て頑張るなんて気持ちにはなれなかった。


「まぁね。適当に龍之介と同じ競技にでもでようか」


「龍之介、今のところ候補とかある?」


「面白そうなのは騎馬戦とムカデリレーかな」


「確かに面白そうやね~俺もその二つにしようかな。どうせなら渉も一緒に出ようぜ」


「いいよ。ならあと一人誰にする?」


「俺は別に誰でもいいよ。龍之介は?」


「俺も誰でもいいよ」


「ならとりあえず集計終わったとに決めようか」


 それから数十分後集計が終わり各競技の参加希望者ごとに集まり参加メンバーを確定してく作業に入っていった。


「次は騎馬戦の参加希望者はここに集まってくれ」と団長の村雨先輩が手を上げ体育館の端の方に参加者を集め点呼をとっていく


「とりあえず参加希望者は全員揃ってるな」


「今から皆には4人一組を作ってもらいたいと言いたい所なんだけど、予定より参加希望者が多かったので二名参加を諦めるか別の競技に参加してもらうことになる」


「そしてこれはお願いにはなるんだが、出来れば3年生以外の希望者の中から2名外れてもらいたい」


「あくまでもこれはお願いだから、無理に強制するつもりはないが少しだけ考えてほしい」

 

 村雨先輩は俺ら一年と二年の列を向き申し訳なさそうに頭を下げた。そこから数分後、1年生と2年生合同の話し合いが起き、別のクラスの一年朝日 昴あさひ すばるが自主的に参加希望を取り下げてくれたが、後1名の参加希望を取り下げる人は現れず残りの一枠をかけたデメリットしかないじゃんけん大会が行われることになった。


 ルールは簡単、3年生を除いて残っている25名をランダムな三つのグループに振り分けじゃんけんを行う。そして各グループで最後まで負けた3名の敗者が最後に戦うという非常に分かりやすいルールとなっている。


 振り分けは村雨先輩によって行われ俺はCグループに、渉と龍之介はAグループに振り分けられじゃんけんが始まった。


 8人という大人数でのじゃんけん当然のようにあいこが続き七度のあいこの末、最初の勝者が決まった。


 勝者は相手の丸く握られた拳を包み込むパーを出した俺を含めた3名が勝利を収め、次も四度のあいこの後チョキを出した一人が単独勝利を収め、次は二度のあいこの後チョキを出した2名が抜けた。


 そして残り人数は2人になり一騎打ちが行われることになった。


「「最初はグーじゃんけんぽん!」」


 2人が出した手はお互いにグー。二人は一呼吸つき次の手を出した。


「「あいこでしょっ!」」の掛け声ともに出した手お互いともグーだった。そして次もお互いにグーをだし2人は顔を見合わせ息を吸い、「次俺はグーを出す」と言うと「なら俺はパーを出す」と答え心理戦が始まった。


 そして決着はついた。お互いが出した手はグー対チョキ。これによりAグループの代表が決まった。


 その他のグループはどうかと言うと俺らのグループが謎の盛り上がりをしている間にあっさりと敗者が決まっていたのか俺らのグループの結果を待っていた。


 そこから各グループの敗者によってじゃんけんが行われたが勝負は最初の手で決まり、残りの一人が決まったのであった。


 これにて騎馬戦参加メンバーが決まりチーム分けの話になった。チーム分けと言っても大半の人は仲のいい人とチームを組む為、やっていることは残っている人の振り分け作業になっている。


 そして俺らのグループにも一名振り分けられた。俺らのグループに振り分けられたのは俺らと同じクラスの桜井さくらい君だった。


 桜井 誠さくらい まこと、身長は恐らく170後半はあり、性格は多分おとなしい。それ以外のことは正直分からない。

 俺らが入学してもう5ヶ月が経ち、俺にも友達が複数人できクラスの中でもいじられキャラを確立し色んな人と話すことが多くなったが、俺の記憶違いじゃなければ俺は桜井君とまともに話したことがない。

 どうやら渉も竜之介も俺と同じのようだ。


「渉、桜井ってどんな感じの奴かわかる?」


「正直分からん。何回か実習で一緒になったことあるけど一人で黙々と作業進めてたからほとんど話してない」


「だよな~」


 三人とも桜井とまともに話したことがないというまさに未知のクラスメイトだった。そんなことを考えていると桜井君が俺らの方へと歩いてきた。


「渉たちのグループに入ることになったからよろしく」


「「「よろしく」」」


 そこから俺たちは他のグループの振り分けが終わるまで延々と桜井がのことについて聞いていた。


「桜井って普段休み時間パソコン開いて一人でいるじゃん?何してるの?」


「休み時間は無料で小説が読めるサイトがあるからそこの小説を読んでる」


「部活とかはやってる?」


「習い事で銃剣道と学校内だとサークル?には入ってる」


「銃剣道って初めて聞いたんだけど剣道とは違うの?」


「防具とかは剣道とほぼ一緒なんだけど剣道とは違って竹刀の代わりに木銃をつかって突き技で戦うんだ」


「へ~そんな競技があるんだ」


「そういえばさ話変わるけど騎馬戦の上には誰が乗る?」渉が話を切り替え忘れていた騎馬戦の話に戻した。


「乗るならじゅんじゅんか渉じゃない?」


「桜井と俺はガタイ的に土台やった方がいいと思うし、じゅんじゅんと渉は身長も体重もそこまで変わらないだろうから二人のどちらかじゃない?」


 確かにそうだ。以前健康診断で結果を見せてもらった時、俺と渉の伸長と体重には少しの差しかなくほとんど変わらなかった。

 龍之介と桜井君の結果は知らないが見た感じで差があるというのは分かるので消去法でおれらのどちらかになるのは理解できた。


「ならさ、俺が上に乗ってもいい?じゅんじゅん」


「うん?渉が乗りたいなら乗ってもいいよ。何か起きて落馬するの怖いし」


「なら俺が上に乗るってことで決まりで!」


 俺らの話し合いが終わったころ他のグループの振り分けも終わり、残りの競技のメンバーを決めるためこの場は解散となった。


「最後にムカデリレーの参加者集まってくれ」


 俺らは村雨先輩の元へと向かったが、ここでも問題が起きた。


 問題の内容は人数不足。一年の参加希望者が二名足りず2グループ作ることが出来なかった。


 しかしこの問題はすぐに解決した。俺らのグループの人数が足りない問題は桜井君を拉致することで解決し、もう1グループは騎馬戦の時自主的にいなくなった朝日 昴があと一競技絶対に出なくてはいけなくなっていたので半ば強制的に参加してもらうことで解決した。


 これにて俺らの参加競技が正式に決まり本格的に体育祭の練習が始まるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

恋なんてしなければよかったのに 名無し @junjun0720

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ