第2話 夏休み
光輝がバスケ部を去って数日たったが、俺はどうしてもまだ寂しさを感じてしまった。光輝が運動が得意じゃないのは普段の練習を見ていればわかる。それにバスケは高校から始めたので練習についていくのも大変だっただろう。
そして追い打ちかのように初めての公式試合で勝てたかもしれない所で自分が怪我をしてしまった。光輝は色々抱えてたんだろうなと思うとバスケ部に誘った俺も責任を感じてしまう。
だがこの数日間には喜ばしいこともあった。それは、チャゲこと永井 涼に彼女ができたのだ。
俺らバスケ部一年組は練習終わりに学校近くのスーパーの休憩スペースでだべっていた。
「そういや涼の彼女て
「どこも何も、愛唯とは同じ中学だったし」
「そうだったの!?知らなかったわ」
今話に出てる愛唯という人物は俺、優斗、渉と同じ学科の
グループ活動とかで一緒になったことがあるが一緒にいて楽しいタイプの女の子だった。
「それにしてもこの中で一番早く彼女ができるのは瑠唯だと思ったんだけどな」と俺が言うと瑠唯は苦笑いをしているが、優斗と渉はうなずいてくれた。
瑠唯は身長も高く、悔しいが顔も性格もいい。それにL科にいる。南波高校は全学年を見ても女子の比率が高く特にL科は比率が狂っている。A科とF科は大体女子6に対し男子4という感じだが、聞いた話によるとL科3年はクラス40名に対し男子の人数が4人、2年は3人、1年は3人とL科だけ女子9の男子1と言ってもいいほどバランスが崩れている。
「3人とも俺がそんなすぐに彼女作るように見える?チャゲが速すぎるだけ」といい手に持っていた紙パックのジュースに口をつけた。
俺らは顔を見合わせ口を合わせて「「「確かにそう!」」」と言い放った。
そこから話は少し変わり二か月後に開催される体育祭の話になった。南波高校の体育祭は夏休み明けの9月に行われ、夏休みの期間に生徒会や実行委員の他に各運動部も簡単な準備の手伝いをする必要がある。
「もうすぐ夏休みだけど体育祭の準備ってなにやるんだろう」と渉が聞くと涼が答えてくれた。
「先輩に聞いた感じ主にやるのは競技に使う備品の管理らしいよ」
「てことは備品のチェックするぐらいってことか。楽そうやね」
「そうでもなくて、体育祭当日は忙しいらしいよ」
「あ~あれか競技ごとに道具の準備と片付けしないといけないからか」
「そういうこと」
確かに準備と片付けはめんどくさいが夏休みに部活以外で時間を拘束される必要がないのはとてもありがたいと俺は思った。
そんな話をしていると時刻は20時を回り各自のタイミングで解散することになった。
☆
「ミーンミンミン」とセミがうるさく鳴き、太陽はギラギラ俺らとアスファルトを照らし続ける中、波の音がどこかこの暑さを忘れさせてくれる。そう!まさに今俺は海にいるのである!
「じゅんじゅんは泳ぎに行かなくていいの?」と女の子が声をかけてくれた。
「荷物見る人がいなくなるので」と言うとその女の子が「私が見ておくから行ってきなよ」と荷物の近くに腰を下ろした。
「ならお願いします」それだけ伝えて俺はみんなの元へと走っていき俺もみんなと遊び始める。さっき声をかけてくれたのは彼女という訳ではなく、ただのバスケ部のマネージャーの先輩だ。
なぜバスケ部が海に来ているのかというと俺らバスケ部はランニングメニューとして約3キロ先にある海水浴場まで来ていた。事の始まりは先輩の一人が海に行きたいという話をしたところから始まり、今日は顧問の先生が来ないという情報が出てきて、部長の慎太郎先輩が止めるどころか乗り気になってしまった事で今俺たちは海で遊んでいる。
遊び道具なんてものはないからやってることは砂に人を埋めたり、相撲を取ったり、棒でビーチフラッグをするといった遊びを延々と繰り返しているだけだったが、先輩の一人がいきなり海へ走り出し飛び込み海水をこちらに飛ばしてくるとそこからは早かった。
俺も含め皆着替えがあるなし関係なく海へと飛び込んだ。そこからは濡れる、汚れる関係なく二時間ほど全力で遊んだ。マネージャの先輩はスマホを取り出し遊んでる俺らを笑いながら写真で取っていた。
「そろそろ学校に戻るぞ~」と慎太郎先輩がいい俺らは設置してあるシャワーで体を流し、濡れた服を洗って軽く絞り着ると学校に走らず談笑しながら歩きで向かった。
そして時は経ち夏休み終了の2日前俺はとんでもないミスを犯した。それは夏休みの課題を何一つ手に付けていない。正確には夏休みに入ってから何一つ課題に手を付けていない。夏休みの課題は夏休みに入る3日前に渡されその期間にすこしは手を付けていた。
だがしかし、手を付けていたのはほんの一部でしかない。俺の前には宿題という大きな壁が最終日間近にして立ちふさがっていた。
「流石にこの量は徹夜しないと終わらないよな......」
はぁ......と大きなため息をついた。思い返せば中学も小学生の頃もこうだ。いつも最終日が近くに課題をやるという、高校生になっても成長しないダメ人間な部分だ。
俺は明日部活があるにもかかわらず徹夜で宿題をする羽目になった。そして次の日部活でいつものランニングメニューをやると明らかに体調の悪さを感じたが最後までやりきることが出来た。
しかし、突然ことは起きた。ランニングメニューが終わり気分を落ち着かせるため外に出て段差を降りた時そのわずかな揺れで俺の体のダムは決壊した。そこからはマネージャーが保健室の先生を呼び俺は昼頃まで保健室でぐっすりと眠るのだった。
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