橙の勇気

「精神の強化かぁ。」

「お前が影について知っていることは驚かされたがその影を操りきれてないことにも驚きだ。」

「そうですか。」

「影を使えるものは少ない。話せるものは以外と多いのだがそれからあと一歩が出ないんだよ。今影を使えるのは私とキュウキ隊員だけだが話せる隊員は知っているだけでも50はいる。」

二人しか影を使えない。影を使うと言うのはそれだけ難易度が高く、あの天才と言われるテンコ隊員ですら影を使えるのは確率だと聞いた。

「影ってどうやって使うんですか。」

「いずれお前たちにも教えてやる。秘伝書の特訓だがらな。影を使えると名がどんなに弱くても必ず化ける。動物の名を関するものが神の名を関するものに勝つ話もあるし大妖怪以上の名を関すればレベルオーバー100にも渡り合える。レベルオーバー100の識別は我々影を使えるものが全力で勝てなければレベルが上がるからお前が私たちの土俵に立てば確実に倒せるのだよ。」

「分かりました。影を使うのはすこし怖いですができるだけやってみます。」

「これは私がその当時やったことを書いた紙だ。参考にすると良い。お前は今は大妖怪だがこれから影を神獣タマモノマエにするんだろ。同時進行でできるから頭にいれておきな。」

「分かりました。ありがとうございます。」

そう言ってシンコ隊員から離れていった。影の使役の内容は基礎力の反復とそれを応用する考えさせられる内容で影の強化とほぼ同じであった。

「今日から忙しくなるぞ。」

まずは外周。まさかの組織施設の外周を冬の寒さのなかでする訳だから当然寒さがある。そして長い道のりを越えたあとに今度は滝の下で素振りをする。ほかにも暗いところでレベルの低い個体を狩り続けることや対人戦などをした。基本や応用をして夜はレベルの低いものでも集中力が鍛えられた。冬の寒さに精神も鍛えることができて、同効果の滝の下の素振りだ。そんな日々が二週間ほど続いた。その間に強くはなったが、影の強化も影の使役もつかめなかった。


「珍しく苦戦してるな。影を使えないから感覚を教えることも出来ないんだが。」

「たしかに成長は感じられるのにどうして強くなれないんでしょうか。」

「それは焦りだろうな。影を使うにはその精神を影に認められなければならない。焦ってたらいつまでたっても無理だろうな。」

「すこし心が晴れました。ありがとうございました。」

そう言ってタマモは修行に戻っていった。

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宙戦を描く 桜最中 @arekutoru

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