三つ子の魂百まで

読み始めは現代ドラマなのかな?と思いましたが、どんどんサイコホラーの様相を呈して「怖い!めちゃくちゃ怖い!」と思いながら読みました。

レモンと唐揚げの題材からして、
「手で絞るのを衛生的に嫌がる人も居るし、レモンが苦手な人も居るし、唐揚げにレモンをかけるかはまず皆に確認して、それで皆が良いって言ったらかけるのがハッピーだよね」
みたいな話かと思いきや、全然そんな一般論が通じる主人公では無い。

主人公にとって唐揚げにレモンをかけることは母親そのものであり、それを否定される事は、自身の信じる愛と正義への冒涜。

思うに父親は単にレモンが嫌いな人で、母親からの唐揚げレモンハラスメント(それ以外にも色々ありそう)に疲れたか病んだかして不倫に走ったのでしょうか。
不倫相手の継母は父親と上手くいっており、継子の事も淡々と面倒を見てくれているあたり、悪い人では無さそうです。
環境が悪くない所も主人公の異常さが際立ってまた怖い。

唐揚げにレモンをかけるという妄執が産んでしまったモンスターが、最後のあのセリフの後どんな風になってしまうのか、ものすごく気になります。

最後までドキドキしました。
凄く面白かったです。