第8話 NEVER ENDING KNUCKLES

 あれから1週間が経過した。あの間桐学園との激闘は僕たちに刺激を与え、県大会に向けよりいい影響をもたらしている。1年生も入学し、このまま目標へと突っ走るだけ。そんな時だった。俺と三浦が監督に呼び出されたのは。


「なぁ、何の話だろうな」


「さぁ……」


 体育教官室の前で俺たちは立ち話をしていた。今日は月曜日だから、早く寿さんの所へ行って練習したいのに。


「おう、待たせたな」


 部屋の扉がガチャりと開き、中から大柄の男が顔を出した。監督だ。


「こんにちは!」


「おう。今日はよく来てくれた。簡潔に話そう」

 

 監督はそう言うと、口を小さくほころばせた。


「俺はお前たちを春のベンチメンバーに加えたいと思う」


「「!?」」


 おい、今、ベンチメンバーって言ったよな……万年ベンチ外の僕たちが、背番号をもらえるって……!


「あの試合を経て確信した。お前たちは県でも戦える力がある。あのナックル、初見じゃ打てない。そして三浦、お前の打撃と捕球も素晴らしいものがある」


「あ、ありがとうございます!」


 監督はよその人よりもよく喋る人ではあるが……まさかここまでべた褒めするとは……


「そして、この県大会でもう1段レベルアップしろ! お前たちの成長力、それに努力のちからならいけるはずだ。いいな!」


「「はい! もちろんです!」」


 こんなの、昔の僕に聞かせたらどんな表情するかな。絶対、信じないだろうな。


 でも、これは紛れもない現実だ。僕が信じた魔球は、間違いじゃなかった。『ナックル』は、嘘なんかじゃない。俺が信じ続ける、最強のボールだ。


 そうだ、こうしちゃいられねぇ。早く寿さんに報告行かねぇと! これでエンディングなんかじゃねぇからな! 僕の、いや、僕たちの道はまだまだ続いていく! 魔球ナックルと共に!

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ザ・ナックルズ 大城時雨 @okishigure

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