第二十四話 これから私達が
宇神先生が倒れて数日後、宇神先生は空の星になってしまった。 邪楽だから何年も生きていられたけど、人間に戻ったから仕方がないと太衣さんはいっていた。
あれから四年。私はもう高校三年生になった。今日は新一年生が部活見学に来る日!
「符川部長、緊張してまつか?」
「ちょっと、ミューちゃんっ!」
もう、梛までっ。そう私は、高校の吹奏楽部で部長を務めているんだ。
――ピンポンパンポーンッ。
「これより部活見学を開始します」
その放送を合図に私は席に着く。
顧問の先生が指揮を始めたので、私も息を入れた。
私が中学一年生の頃部活見学で聞いた、『威風堂々』。曲が段々盛り上がるにつれて、部室に一年生が入って来てくれた。私は夢中になってトランペットを吹き続ける。
一年生が目を輝かせてこっちを見てくれているのを感じて、つい頬が緩んだ。演奏が終わり、私は席から立ち上がり一年生の前に出る。
「部長の符川和音です!今日は音楽を楽しんで行って下さい!」
私の声に拍手が上がり、その後色々な楽器体験が行われた。
私はもちろんトランペットコーナーで教える。まだトランペットを触ったことが無い人も来てくれて、すっごく嬉しい!
「あの――アタシ音楽の経験全く無くて……、それでも演奏出来ますか?」
「もちろん!人によって吹けない楽器もあるけれど、音楽は楽しむためにあるから」
私の言葉に一年生はうなずいて、トランペットを触り始めた。
皆で演奏することは、最高の時間。宇神先生が改めて教えてくれたことを、もっと色々な人に伝えたい。音楽が苦手な人でも、トラウマがある人でも楽しめる。
それが音楽なんだ。
音楽への楽しさをたくさんの人に伝えて、守っていきたい。
ミュージック使いでは無いけれど、これから私達が……。
音符を守っていきたい!
音符を守れ! 石川 円花 @ishikawamadoka-ishikawaasuka
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