第4話 僕を殺した君〜3人目〜

「、、、」


眠い。


ガチャッ


「海斗〜、今日一緒に買い物行かない?」

「いいけど、ノックして」

「やった!はーい」


そう答えると詩織姉は嬉しそうに部屋から出て行った。





「ねえ、海斗。ちょっとお手洗い行ってくるから、あそこで待っててくれない?」

「分かった」


そう言って俺が指さされた場所に行くとすぐに柄の悪い人たちが俺を取り囲んできた。


「なあ、君が海斗くんであってる?」

「はいあってます」

「じゃあさ、ちょっとこっちきてくれない?」

「ちょっと待ってくれません?今姉待ってるんで」

「分かった待ってやるから来たら行くぞ?」




この数分前、トイレ前にて、


「あのすみません!あなた、あの子のお姉さんですか?

「はいそうですが?」


急に話しかけてきた女の人に対して不審に思いながらもそう答える。


「実は今、姉弟の喧嘩と仲直りを取材するという番組をやってるんですけど、ちょっと人が少なくて、ちょうどイケメンな弟さんと美人なお姉さんを見かけたので声をかけさせていただいたんですけどやっていただけませんか?ちなみに弟さんにはもう了承していただいています」

「、、、分かりました」

「ありがとうございます!こちら台本です!この通りにやっていただければ大丈夫です!」


この時、海斗がイケメンと言われて嬉しくなってしまい、これを了承したのが間違いだった。そう今の私は気付かなかった。





数分後、


「あんたなんか、私の家族なんかじゃない!」


ドンッ


詩織姉に突き飛ばされ、地面に倒れ込んだ。おかしい突き飛ばされただけのはずなのに衝撃を2回感じたし、身体中が痛い。


「おいっ、人が轢かれたぞ!」

「誰か救急車!」

「え?え?え?どういうこと?え?」


視線の先では走り去っていくトラックとあわてる人々、戸惑ってトラックに向けて怒気を放っている詩織姉の姿があった。それを見て全て理解した。今詩織姉に突き飛ばされて俺はトラックに轢かれたのか。そう考えていると、詩織姉は僕のところ、ではなく誰かのところにかけて行った。そっか、俺のことなんか心配じゃないんだ。そういえば、突き飛ばす前にトラックが来た方を確認してたな。ってことは狙ったってことか。詩織姉は味方だと思ってたのにな。やっぱり俺はいらないってことか。



俺はもうこの世界に生きている理由がない。そう思って消えゆく意識の中で、俺は遠い地を目指して歩き出した。




3人目です。

投稿しないって言ってたんですけど、なんか思い浮かんだのがあったので書きました。

次話から、未月も出てきて、高校の話になります。

楽しみにしていてください。

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拝啓、僕を殺した君たちへ〜僕を生まれ変わらせた彼女と共に〜 柊海星 @comicwalk

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