第二話 僕を殺した君〜二人目〜
朝、学校に登校するといつもと何かが違うことに気がついた。
自分の近くにいたクラスメイトになんでか聞こうと思っても近付くだけで自分から離れていく。
逆に教室の真ん中に大きな塊ができていた。
誰かの周りに群がって口々に賞賛している。はて、今の時期にどっかの部活が大会やっていただろうか?
そんな疑問を抱きつつ、教室の隅にある自分の席に向かうと、そこには机の中にしまっていたはずの俺の教科書がビリビリになって置かれていた。
あーあ、まだ入学したばっかなのに買い直しになっちゃった。
そう思い、順番に教科書をどかしていくと段々と机の茶色ではなく黒い線が入った茶色が見えてきた。
あれって思ったのも束の間それが落書きだと言うことに気がついた。
あー、中学生なのにまだいじめとかあるんだね。
俺がそれを眺めて呆然としていると、俺が登校してすぐに話しかけようとしたクラスメイトが伝えたのかはわからないけど、その塊にいた全員が俺の方を向いてこそこそ話していた。
その視線に俺は耐えかねて、そのまま机に突っ伏した。別に俺はなんも悪いことしてないのにね。
そのあと気づいたらもう帰りのHMRは始まっていた。俺がこの時に起きるとは珍しい。
今日早めから寝てたからかな〜?
そして俺は帰りのHMRが終わるとすぐに帰った。校門を出た時に後ろから瑠奈に呼ばれた気もしたけど、後ろを向いてもいなかったから気にせず帰った。
「ただいま」
「おかえり」
いつも思うけどなぜ俺の姉はこんなに帰るのが早いのだろうか?
早く帰るコツがあったら知りたいものだ。
「今日お母さん遅いから二人でご飯だけどなんか食べたいのある?」
「特に」
「じゃあ今日は肉じゃがね」
「ん」
よかった。いつも通りってことは姉さんのクラスまでは俺へのいじめは伝わってないっぽい。ひとまず安心だ。
「ん、美味しい」
「よかった」
そうして俺は姉さんの美味しい料理を食べた後に母さんの帰りを待った。一応でもあのことを伝えて置かねばならない。
「ただいま」
「おかえり母さん」
母さんが驚いた表情をする。無理もない。俺がこうやって出迎えをすることは珍しいからね。
「どうしたの?」
「実は教科書破られたんだよね」
俺が発した言葉に対して母さんは驚いた表情をする。
「破られたって、何したの?」
「なんもしてないよ」
「嘘おっしゃい!何もしてないのに破られるわけがないでしょう?」
「二人ともそんなに騒いでどうしたの?」
「だからなんもやってないって」
「嘘を言うんじゃあありません!」
何を言っても信じてくれない。
「まったく、また問題ごとを起こして!うちにお金がないのわかってるよね?教科書買い直すなんて無駄な出費になっちゃうの!」
俺が好きで破られたわけじゃないのに。
「あなた、今この家に「お母さん!それ以上は言っちゃダメ!」いらないんじゃないの?」
「、、、」
そっか、母さんも俺のこといらないんだ。
「わかりました、美咲さん」
「っ」
美咲さんが驚いた顔をする。当然か。突然呼び方を変えたんだもんな。
「ごめんなさい、そんなこと言うつもりはなくて、ちょっと最近仕事で忙しくてイライラしちゃってて」
「いいよ、イライラしてても出てくるのは必ず思ったことなんだから。美咲さんは俺のことをいらないって思ったってことでしょ?」
「っ、そんなことは!」
俺はその言葉だけ聞くと、寂しく自分の部屋に戻った。
「海斗〜?入るよ〜?」
「、、、」
俺が黙っていると詩織姉がドアを開けて入ってきた。
「もうお母さんのこと信じれない?」
「あいつは家族じゃない」
「そっか」
詩織姉はそう言うと、それ以上何も言わないでくれた。でもただ一つこれだけ言った。
「私は海斗の味方だからね?」
俺が本当に信じれる人間は今詩織姉だけになっていた。
〜瑠奈視点〜
どうしよう。なんでかわかんないけど海斗がクラスでいじめられちゃってる。私もクラスで助けてもらえてよかったねなんて言われたしきっと海斗がなんかしたって捏造されちゃってるんだ!今日は逃げられちゃって確認できなかったけど、私がなんとかしなきゃいけない。
私は自作した海斗の等身大人形を抱きしめながら、こう考えていた。
第二話です!
二人目です!
一応あと一人で終える予定ですのでもう少々お待ちください!
まだ1話しか出してない段階で週間ランキングに乗れて嬉しいです!
これからもよろしくお願いします!
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