第214節 猛VS北玄 (共闘討伐編69)

2人の戦いはどんどんと激しさをまして行き、現在は車内がボロボロになった脱線事故を起こした電車の中で戦っている。

「…成程、龍牙の野郎が追い詰められる訳だ。だが、俺には及ばない。能力変化〈レッグ・シフト:ホース〉。」

 猛がそう言うと、猛の足下の横転した電車で床になっている左側の壁が抜けた。

 そしてその直後凄まじい音が辺りに響き、その勢いを使って猛は北玄の左胸に向かって全力のパンチを繰り出した。

 北玄は両手をクロスさせて猛のパンチの直撃を防いだものの、威力を抑えることができず、パンチを放った猛と一緒に横転した電車の車両を繋ぐドアを突き破っていき、最終的に横転した電車を破壊して出て行った。

 だが、北玄は普通の人間なら死んでいても不思議ではない衝撃があったにも関わらず電車から出て、市街地に出るとピンピンした様子で自分の体を確かめる様に手首や腕等を簡単にぐるぐると猛と照の前でやって見せた。

「…っ。(少しは効いて欲しかったが…。)」

(…おい、望獣、大丈夫なのか?)

「心配するな、どうにかして見せる。」

「…はあ〜、結構良かったよ。おかげですごく皮がめくれて楽になった、ありがとう。」

「…そりゃあ、どうも。」

(良し、少し俺の力を借してやろう。)

「…助かる。が、無用だ。」

(…そうか。なら、何も言うまい。)

「獣装・改。」

と、猛が言うと猛の体から灰色のエネルギーを吹き出しながら、高めていき、最大まで高まると今度は高めたエネルギーを身に纏った。

 それは基本の灰色に薄い赤が入った鎧に上から赤が稲妻のように走った戦闘形態になった。

「それがお前の戦闘形態か。」

 「そうだが…?」

「…これは楽しめそうだ、亀鎧〈きそう〉。」

北玄は濃い緑を基本に黒が差し色として入っている鎧を身に纏った。

 「…そうか。なら、その楽しいまま終わらせてやる。」

 そしてここから2人の戦いは激しさを増したことと、横転した電車を突き破って出てきたことによって影響を与え始める。

 2人の間には数メートルの間があり、深く集中し、猛は右拳の硬度を上げそこに纏っている紅い稲妻を右拳に集中させたパンチと北玄の左拳の硬度を高め、そこに黒っぽい緑を纏ったパンチが『ドォンッ!』というとても二人の人間の拳がぶつかったとは思えない程の轟音が辺りに響き渡った。

 その衝撃は地面に伝わりそのまま弱い地震として辺りに影響を与えた。

しかし、2人はそんなことになっているとは気づかず、そのまま今度は線路内を含めた都心全てを戦場として肉弾戦を続けた。

 それも勿論互いに能力を含めた命懸けの戦いを続けていた。

 その戦いは都心で被害が出るようなものを互いに出血しつつも、当初互角だったが少しずつ猛が劣勢になっていった。

 そして、都庁から3キロ程に近づいた時ついに猛が息を切らし始めた。

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2024年10月17日 00:00 毎日 00:00

芯覚者-神と呼ばれた男- カンタ @180110

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