第213節 首都決戦7 (共闘討伐編68)

しかし、その淡い期待はあっさりと消え去った。

 「…はあ。その程度の砲弾で僕をどうにかしようとは…いくら何でも見積もりが甘すぎてるね…。このままただ受けてどんどん地獄に堕ちていく顔を見るのも…それなりに良いんだけど退屈になるだけだし…僕の全力の姿で一瞬のうちに終わらせてあげるよ。」

  そういうと、顔立ちの良い男の体が良くなり、容姿も初めて照とマライの目の前に現れた時の艶が良く、体全体が彫刻の様な美しい姿に戻った。

 「…なんだ?このとてつもない悪寒は?」

爆煙が晴れると男には傷一つなく、軍の方へと歩いて来た。

「…お、お前は何なんだ!」

隊長ぽい男が問いかけた。

「…そう言われても、僕は僕としか答えられないし…そうだな…、何を言っても無駄だろうから普通に名乗るとしよう。僕はルーペン、君達がバケモノと呼んでいる男だよ。」

「なんと言ったのか訳してくれ。」

「僕の名前はルーペン、君達がバケモノと読んでいる男だ…と。」

「ルーペンと言うのか、それで、何が望みなのか教えてくれ。我々にできることならなんでもしよう。」

「なら、さっさとここから去ってくれ。僕はそこにいる青年と戦いたいんだ。そして、この戦いの結果に問わず彼を責めないでもらおう。」

「…責めないのは構わないがここから去ることは了承出来ない。」

「そうか。では、消えてもらおう。」

と、男が言うと先程と同じ攻撃方法で現場にいた軍の面々は隊長ぽい男を含めて全滅してしまった。

「さて…、これで邪魔な国の犬共は消えたことだし…本気の戦いを始めようか。」

「…っ。(やるしかない…か。)」

 龍牙とルーペンは互いに高めたエネルギーを自身に収束させ、より強く、頑丈な鎧を身に纏った。

「龍装鎧・真〈ドラゴアーマー・シン〉。」

龍牙の鎧は照との手合せから廃村、旧本部での戦いの中で成長することで一つの到達点へと至った。

 それは優しいが強い光を放つ鎧となった。

これは龍牙が自分の能力への理解が一定のレベルに到達したことを表していた。

「…雷神装〈ジダルーン〉。」

 対してルーペンの鎧は淡いが、強い黒い光を放っていた。

 2人の放つ濃く、強いエネルギーに共鳴するように周りに飛ばされた外人達や火花達のエネルギーも高まり、空高く上がった。

「さあ、これで、やっと、君の強さを確かめることができる。僕は君と戦いたくてウズウズしていたんだ。だから、僕を楽しませてくれ。」

「…?アンタはこの戦いをゲームか何かだと思っているのか?」

「当たり前だろ?君たちは僕と戦って僕を楽しませる玩具なんだから。」

「…っ!(…こんな人をなんとも思っていない様な奴に負けられない!)」

 そして龍牙の決意とリンクするように雷が龍牙に落ちそれを龍牙は鎧の上から纏った。

 

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