第十一夜
よっしーよっ君
贖罪の誓い
こんな夢を見た。
瞳には、夜空に赤く燃え上がる炎が映る。右手にはまだ少しばかりか火がついている松明を持っていた。
「お前、何をしたのか分かっているのか。」と両耳から怒鳴り声が聞こえてくる。
しかし、頭には何も入ってこない。ただ、目の前の光景を眺めながら呆然と立ち尽くしている。なぜ、この村の食糧庫が燃えていて、自分は松明を持っているのか。罪を犯した。
そんなことを考えていると、体が急に動き出した。それと同時に、意識が段々と薄れていく。次に気づいたときには、両手両足が縄で十字架に貼り付けられていた。
「話し合いの結果、お前をこの村から永久追放する。とっとと出ていけ。」と白髪の村長に嫌悪の表情で告げられると、縄が解かれ、村の外に突き出された。汚れた布地の服を着たまま、村から離れるように歩き始める。ひたすら歩き続けると、明るい光に照らされた緑の壮大な草原が目の前に広がる。
ある時、雨が降り出し始めた。路は段々と暗くなる。すると、あの日と同じように再び意識が段々と薄れていく。
目が覚めると雨は止んでおり、目の前には兎が何匹か死んでいた。何か手と口周りが生暖かいと思い、掌を確認する。すると、自分の手は深紅色の液体で染まっていた。状況が飲み込めず、腰を抜かした。そして思った。
「自分が怖い」と。
何時間かこの場に座り込んでいたが、この場にずっと居ても仕方ないと思い、この場から立ち上がりさらに凸凹した道を進み続けた。
何日か歩き続けると、一つの小さな村が見えてきた。村に入ると、一人の若い女性に出会った。彼女の瞳は星の輝きを思わせるように輝き、その微笑みは春の陽光のように心を暖かく照らした。
「どちらからいらしたのですか。」と女性は満遍の微笑みで尋ねる。
自分がどこから来たのかを彼女に説明したが、時折我を忘れてしまうことは言わなかった。
「それでは、暫く私の家にお泊りなさいますか?」
それはとても有難い話だったが、自分がいつか彼女を殺してしまうのではないかと考えると、お願いしますと言えなかった。その話をお断りしようとした瞬間、彼女は自分の返事を聞く前に自分を彼女の家と案内し始めた。
彼女と暮らし始めて数週間が経った。幸いあの日と同じようなことは起きていない。そして、自分は彼女に惹かれていた。
ある日、盗賊が村を襲いに来た。自分は命を賭けても彼女を守るようにと、武器を手に取った。戦いの最中、彼女の表情を一瞬見ると、彼女は怯えていた。彼女の表情を見て、自分は思った。この戦いが終わったら、自分の犯した罪を彼女に打ち明けようと。
戦いを終え村が盗賊に勝利すると、自分は彼女の下へ行き、自分の過去を打ち明けた。彼女は何も言わず黙って話を最後まで聞いてくれた。自分の話を聞き終えると、彼女は自分の過去を受け入れてくれた。そして、互いの気持ちを知ると、これから彼女と共に歩むことを約束した。自分の罪と罰と一緒に。
第十一夜 よっしーよっ君 @yoshi904
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