いけいけ勇者様77

最上司叉

第1話

「ん…?」


勇者はいつも通り朝起きようとしたが起きれない。


「またか…」


勇者は少々呆れ気味だ。


「おい、居るのか?」


勇者は頭をかろうじで上げて自分の腹の上を見る。


「?」


そこには何もいなかった。


「どういうことだ?」


すると何処かから戦闘音が聞こえてきた。


「!!」


勇者は慌てて仲間を呼ぶ。


「誰かいたら返事してくれ!」


辺りには誰もいないのか返事が無い。


「何が起きてる」


勇者は慌てて身体を起こそうとするが動かない。


「くそっ!」


勇者はどうすることも出来ない自分にもどかしくなった。


このままベッドの上で戦闘が終わるのを待つしかないのか?と勇者は焦る。


するとそこに勇者の部屋のドアが勢いよく開いて爺やが飛び込んできた。


「勇者殿ー!」


「!!爺や」


「説明は後にしますぞ!それっ!!」


「!!」


勇者は眩い光に包まれた。


「これで大丈夫ですぞ!!」


勇者はベッドから急いで起き上がると装備を整える。


「何があった?!」


「あの街の奴らが攻めてきたのですぞ!」


「何!あの街のヤツらか!」


勇者はあの街を2度助けたのにこの仕打ちかと内心怒っている。


「爺や行くぞ!」


「はいですぞ!」


勇者と爺やは勇者の部屋から出た。


「やっと来たのかのう」


「!!」


そこには勇者の仲間のドラゴンの女が立っている。


「戦況は?」


「大したことは無いかのう‥ただ数がのう」


「数?」


勇者は考えた。


あの街はけして広くはない。


戦える者がいないとあの街の族長も言っていた。


ヤツらは街の者を犠牲にして攻めて来るだろうか?。


「やれやれ来おったのう」


「!!」


勇者は攻撃してくるヤツを見て全て理解した。


あの街の住人は無理やり戦わされていたからだ。


あの街の成り立ちは知らないが多分他の国に攻めてそこの住人を自分たちの仲間にしたのだろう。


だから簡単に切り捨てられるのだ。


「嫌ですわ、本当にあなたという人は」


「!!」


勇者は咄嗟に避ける。


「本当に感がいい」


「何処だ!姿を見せろ!族長!」


「うふふ、そう‥全て分かってしまったのですね…」


【グニャア】


空間が歪み族長が姿を現した。


「ごきげんよう勇者様」


そう挨拶する族長の顔は怒りを静かにあらわしている。


「助けた礼がこれか」


「嫌ですわ勇者様、勇者様が私達の仲間になってくださらないから」


「ふざけるな!」


勇者は怒りを露わにする。


「話し合おうとするだけ無駄ですわね」


勇者は剣を構える。


「……来なさい我が下僕」


【グニャア】


再び空間が歪み人間?が現れた。


「うふふ、私の街の勇者だった者とどちらが強いかしら」


「!!」


【キィィィン】


勇者を攻撃してきた元勇者の顔を近くで見た瞬間勇者はまた怒りが募った。


元勇者は死人で操られていたからだ。


死人を愚弄するか。


勇者は怒りながら冷静に元勇者に攻撃し安らかな眠りに帰した。


「!!嘘ですわ!私の街の勇者が負けるはずありませんわ!」


【ザシュッ】


「なん…で…すの…?」


「…」


「な…に…が…」


勇者は族長の胸を剣で貫きこの戦いに終止符を打った。


後始末は仲間がやっている。


「勇者殿?」


「あぁ…大丈夫だ」


「後味が悪いのう」


勇者はやりきれない思いを抱えたまま戦いを終えた。

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