喫茶店

ヤチヨリコ

喫茶店

春あらし来店知らすベルが鳴る

春まけて一見いちげんの食ふナポリタン

春日和窓際の席で居眠る

夏めくやランチメニュー差し替える

アイスティー思ひ沈みしガムシロップ

一杯のアイスコーヒーで居りけり

恋びとやアイスクリーム食ひ合ひす

クリームソーダ頼む紳士のはにかみ

風薫るカレーライスの気配かな

焼き立てのホットケーキは秋の色

昼の月やプリンアラモード揺れて

菊日和金とあかのオムライスかな

チーズケーキのやうに月を切り分ける

月渡るマシュマロ浮かぶココアかな

星月夜アメリカンコーヒー苦き

三日月やカップに描く笑い顔

身に入るやことこと煮込むドミグラス

レジ横に置く美術展のチラシかな

朝寒やモーニングセット迷ひをり

年惜しむ店じまいは閑寂かんじゃくなり

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

喫茶店 ヤチヨリコ @ricoyachiyo0

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ