繰り返される世界

読後、インドラと蟻の行列についての神話を思い出してしまった作品です。
ひたすら繰り返される世界、俺はお前でお前は俺で。
最終話の「なまえ」は第1話の「あだばな」につながるようにされる。
ものすごく緻密に曖昧さと繰り返される世界を表現していて、感嘆しました。
様々なことが曖昧なまま、唯一揺るぎない情報として提示されていたと私が思い込んでいた〈殺害する俺に転生した俺〉というものもゆらいでくる。
俺は殺害される俺ではなくて、殺害される俺の血肉をくらって殺害される俺になったことが示唆される。
そして、ゆらぎを抱えたまま、最終話を読み、また第1話へのつながりを示唆される。
すばらしい。