恋の探し方

砂糖あい

第1話 いい子な海斗くん①

5歳年下の海斗くんと寝たのは5回目だ。

そして海斗くんとご飯を食べに行くのも5回目だった。海斗くんは大学4年生で大学院に行くらしい。


海斗くんとの出会いはカフェである。

私が店員で海斗くんがお客さんとして来てくれていた。結構フレンドリーに話すようになって、

なんとなく連絡先を交換してご飯に誘われた。

5歳年下の男の子とご飯か…と戸惑ったが

確かに1度ゆっくり話してみたいと思っていた。

ご飯に行って、当たり障りない会話をして

どこの大学で何年生で、好きなアーティストの話とか映画の話とか。お互いお酒も飲んで、恋人はいるのかいないのか、一人暮らしなのか実家なのか。

5歳年上だから一応多めにお会計しておいた。

普通に帰ろうとしたら「家に行きたい」と言われた。家は嫌だと言ったら「ホテルは?」と言われた。(あ、この子はセックスしたいのか?)とやっと気づいた。と同時に(私はこの子とセックスできるのか?)と海斗くんの顔を見ながら考えてみた。

(できるな)と思った。


2人で近くのラブホテルまで冬の夜を散歩しながら歩いた。星がたくさん見えた。有名大学に通ってる海斗くんの話を聞くのは楽しかった。私は大学には行かなかった。

でも大人になってからは行けば良かったなと感じることが多かった。学生の頃の勉強は大嫌いだった。

教師という存在さえ嫌いだった。

そんな話を海斗くんにしたらケラケラ笑ってた。

「じゃ、あれなんて読むかわかる?」指さされたお店の看板には【旨い酒と旨い肴】って書いてあった。「うまいさけとうまい…」「はははは。やっぱりね」ってまたケラケラ笑った。

「あれは、さかなって読むんだよ」って教えてくれた。「しかもあそこのお店美味しよ。今度行こう」その時に手を繋いだ。人間の平均的な体温より暖かく感じた。平熱が高い人なのかなと思ったけど、私の手が冷えているだけかもしれなかった。

「普通の魚じゃだめなの?漢字」と言うと、

「あの肴じゃないと、だめなの」と言った。

2人でケラケラ笑った。お酒飲んだ夜の散歩って楽しいと思った。今までカフェでお客さんとして接客してた人が隣で手を繋いで歩いてラブホテルに向かってると思うと不思議な気持ちで人生何が起こるか分からないなと思った。


ラブホテルは空きがいっぱいあった。

1番安い部屋を選んで今度は海斗くんが払ってくれた。お金を半分出そうとしたら「ここはいいよ」と言われた。一応セックスするから男の人は申し訳ない気持ちもあるんだろうなと思ったからお金をしまった。部屋に着いて上着を海斗くんがかけてくれた。手洗ってトイレに行ったらお互いやることなくなってとりあえずソファに並んで座った。

海斗くんが無口で緊張してる様子だった。

今どきの大学生の性事情が全く分からなかった。

21、2歳の頃の経験値は自分の時はどうだったかも思い出せなかった。海斗くんが全然目を合わせてくれないのが楽しくなってきた。可愛いな。と初めて海斗くんに思った。背は高くて痩せてる体型でよく見ると中性的な顔立ちだった。あ、はじめてこんな顔だったんだと今気づいた。セックスできるか出来ないかって顔じゃなくて雰囲気とかだったんだ。

しばらくソファで座って、しばらくしたら

キスした。そのままベッドに移動してセックスした。

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恋の探し方 砂糖あい @ICE-0420

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