今日も夢見る朝ごはん

一初ゆずこ

今日も夢見る朝ごはん

寝起きでもステーキだっていけること知らない君にいつ伝えよう


タン塩を午前七時に焼いた日がシナプスの網で焦げついている


もう今日は何にもしない絶対にジョッキに注ぐ暁の空


ひさかたの朝焼け包むオムレツは溶かしバターで燃える三日月


アボカドの種に包丁つき立ててくり抜くときの顔は見ないで


無花果と生クリームを食パンで挟んで暮らすマダムになるわ


トーストをくわえて走り出す勇気だけが導く春とぶつかる


塩醤油それともソース目玉焼き花いちもんめみたいな派閥


白米と味噌汁焼き鮭だし巻きに後光が差せば大人の証


はらわたとあたまをちぎりおとされてでがらしになるどうでもいいや


絶海の孤島で起きるミステリーシリアルチョコの離れ小島で


WANTED!三つ子もいると聞いている双子のきみにいつか会えたら


腸詰めを八つ裂きにして火にくべる秘術が生んだ八つ足の異種


魔女だって薬草を煮る大鍋でカレーを仕込む朝があるはず


オレンジと葡萄と林檎とミルクのコップ並べて作るバカンス


本当はコーンポタージュのクルトンみたいにずっとふやけていたい


塩むすび一口と引き換えにして塩分が奪われる日もある


この街を歩いてもいい人間の資格のようなホットコーヒー


カフェインが夜を増長させたからあと五分だけ朝と張り合う


さめないで今日も夢見る朝ごはんガラスの靴と残る後味

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