あおいはね

御願崎冷夏

あおいはね


青いはねを

ねこがくわえてきて

わたしのあしもとに

そっとおく


はねはとうめいな青いろで

かぜにあおられ

きらきらひかりながら

ふわりまいあがる


ねこはとっさに

青いはねをまたおいかける


にげるようにまいあがるはねと

ちいさなてをのばして

おいかけるねこと


わたしはじいっとみていたけど

わたしはねこのようにおえないし

なんだかつまらなくなってくる


つまらないわたしと

たのしそうなねこと


ねこがまた青いはねをつかまえて

わたしのあしもとに

そっとおく


青いはねはもう

すっかりきずついてしまって

とべなくなってしまったようだ


ねこはなにもなかったように

かおをすこしあらったあと

またどこかへいってしまった


わたしはとりのこされた青いはねを

ていねいにひろいあげて

おしいれのおくにかくしている

たからばこにしまいこんだ



いつかこのはこをあけるとき

青いはねはまだ

そこにあるだろうか


そんなことをかんがえながら

ねこのなまえをよんでみる


とおくのほうから

にゃあ、と

へんじがひとつ、かえってきた



ついこのあいだの

あたたかなはるのできごと









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あおいはね 御願崎冷夏 @uganzaki

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