第48話 (最終話)救国の女神は幸せな日々を過ごす。
手始めに、メーライトと使徒達が住む家を高台に作ると、メーライトにはそこに住んでもらい、使徒達が本気を出して街づくりをすると、第一陣にバナンカデスとタミラーシを含めた人たちが来る。
バナンカデスは今度こそ街の人たちと打ち解けたいと言い、メーライトが住む高台の家ではなく、皆が住む居住地区に家を貰い、皆で助け合う。
バナンカデスと共に暮らせると思っていたメーライトは暗い顔をしたが、「歩行練習にちょうど良い距離にしましたの。ワタクシ、毎日メーライトさんの所に通って、メーライトさんより先に万全になりますわ」と言う晴々としたバナンカデスを見ると、メーライトは何も言えずに応援する事になる。
それはタミラーシも同じで、日中はメーライトの世話や付き添いとしてメーライトと同じ時間を過ごすが、夜は1人で家に帰り、身の回りの事をやってみる。
肝となる3人の生活が安定したところで、ナイヤルトコからは半魔半人兵達が家族と共に移住してきて、街の一員として療養と自立のための訓練をしていく。
ここで街の名前をどうするかという話が出て、メーライトの元にバナンカデスとタミラーシが集まって話すと、バナンカデスとタミラーシは「メーライト」としたかったが、メーライトは瞬きを三回して嫌がる。
意味が分からないバナンカデスが「メーライトさん?ダメですか?でもやはりここは救国の女神と使徒の街ですよ?」と言い、タミラーシが横で頷くと、メーライトは救国のペンを持ち出して、アイと同化しようとしてアーセワが本気で止めに入る。
「ったく。神様、何にしたいの?」と聞いたアノーレが、「じゃあ、近かったら二回、嫌だったら三回、違っていたら四回。当たっていたら沢山瞬きをしてよね」と言い、何とかメーライトが何を言いたいのか察していく。
「アルデバイト第二」
「ナイヤルトコ第二」
「メーライトとザイコン」
ここでアノーレが「神様?もしかしてシムホノン?」と聞くとメーライトが微笑みながら何回も瞬きをした。
これにより街の名前はシムホノンに決まった。
「では、シムホノンの墓をアルデバイトとナイヤルトコとこのシムホノンに建設しましょう」
このタミラーシの提案に、メーライトが瞬きを何回もして喜んでいた。
不思議なもので、街の名前が決まると皆が一体感により一層訓練に身を入れていく。
皆がキラキラと頑張る姿が窓から見える。横にはタミラーシやバナンカデスといった切磋琢磨する仲間がいて、家族の使徒達も居てくれる。
メーライトは楽しくて毎日バナンカデスやタミラーシに語りかけられると瞬きで幸せを伝える。
「メーライトさん!ワタクシ、昨日よりも早くこの家に来られましたのよ!」
「メーライト嬢、ナイヤルトコにも良い本は多いのですよ。シムホノンも褒めていました。早く体を治されて読みにきてください」
これだけでメーライトは嬉しそうにしていて、早く身体を動かせるようになりたいと願う。
そして眠るとアイの人格が出てきて、メーライトの代わりに入浴や排泄、食事を行い、身体を衰えなくしてくれている。
もうこの生活を一年続けている。
シムホノンに来ている元半魔半人達は、自立の目処が立つとナイヤルトコに戻って復興に奮起する。
そして入れ替わりで次の半魔半人達が街にやってきて、使徒達から装具をもらい、自立訓練を始める。
バナンカデスもおぼつかない手でもマナーを気にするようになってきた。
タミラーシの顔付きはだいぶ血色が良くなり、寝込む事もなくなった。
だがメーライトにまだまだ治る見通しは立っていない。
最近は微笑む事が出来るようになってきた。それだけだった。
だがメーライトには後悔はなかった。
アーセワが美味しいご飯を作ってくれる。
アルーナが身振り手振りで1日に起きた事を教えてくれる。
アノーレが怪我人や病人を治してくれて皆元気になっていく。
アナーシャがシムホノンの街に永住したいものに弓の使い方を教え、アーシルは盾の使い方を教える。
アジマーは魔法の力で街を住みやすい場所に変えてくれているし、アーセスもそれを助けてくれる。
アルティはフラフラとアルデバイトやナイヤルトコを見てきてはメーライトに色々教えてくれる。
アイはメーライトが起きている時はアイとして最低限の事が出来ていて、アーテルが嬉しそうに介助している。
それを日々見られるだけで十分だった。
この戦いで少し疲れたメーライトはバナンカデスとダンス訓練をしてタミラーシと踊る日を夢見て眠りについた。
(完)
救国の女神は本の続きを書く。 さんまぐ @sanma_to_magro
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