第4章101話:ゴーレムのボス

重力をうしない、自然落下しぜんらっかに任せて降下していく。


落ちていく。


落ちていく。


落ちていく。


周囲は真っ暗だ。


ほとんど何も見えない。


ノルドゥーラも近くにいるが、やはり暗くて姿が見えない。


気配だけがそこにあった。


俺たちは、ただただ落下していく。


やがて。


視界が一気に晴れた。


穴を抜けて、一つの空間に出たからである。


その空間は、極めて広大であった。


同時に美しい。


超巨大な水晶たちが、つららのごとく壁から露出していて、いろとりどりに輝いていたからだ。


美しき鉱石たちが織り成す景色は、まさしく絶景である。


そんな巨大な水晶に囲まれて、巨大なゴーレムがたたずんでいた。


100メートル以上のサイズはあるだろう、超巨大なゴーレムだ。


全身が透明色とうめいしょくで出来ている。


ゴーレムは、何をするともなく、この地下空間の一点に突っ立っている。


―――――俺たちは落下を続けていた。


地面までかなり距離があるので、まだ着地できない。


空中落下くうちゅうらっかしながら、俺は告げた。


「あいつだ。名をダイヤモンドゴーレムという」


「ダイヤモンドゴーレム……おぞましい魔力じゃ。あいつは相当強いぞ!?」


ダイヤモンドゴーレムから吹き付ける魔力は、凄まじいものがある。


常人なら、その魔力にあてられて正気を失いかねないだろう。


「そうだな。……ちなみに"ダイヤモンド"の正体はオリハルコンだ」


「なんじゃと!?」


とノルドゥーラは驚愕した。


ダイヤモンドゴーレムというのはテキトーにつけられた名前であり、ゲームの設定的にあのゴーレムは、伝説の鉱物であるオリハルコンで出来ている。


「つまりあのゴーレムは、ダイヤモンドといいながら実際は、全身がオリハルコンで出来ている、笑えるゴーレムということだ」


「何も笑えんぞ!? オリハルコンなんぞ我でも斬れん。どうやって倒すつもりじゃ!?」


ノルドゥーラが焦りながら尋ねてきた。


俺は静かに答えた。


「カニを倒したときと同じようにやるだけだ―――――空間切断」


俺はダイヤモンドゴーレムに向かって手をかざし、空間切断を発動する。


次の瞬間。


ダイヤモンドゴーレムがずたずたに切り裂かれた。


「ゴォォォォオオオッ!!?」


悲鳴をあげながらゴーレムが、複数のブロックへんとなって崩れ落ちる。


重量のあるブロック片が地面に落下する衝撃はすさまじく、砂塵さじん轟音ごうおん地響じひびきを周囲に巻き起こした。


「……」


ノルドゥーラが絶句していた。


――――空間切断とは空間を切るもの。


そこにオリハルコンがあろうが関係ない。


切断された座標に存在するものは、全て空間とともに引き裂かれる。


それが空間切断である。


「これで終わりだ」


と俺は告げた。


「おぬし……ほっんと滅茶苦茶じゃな!?」


とノルドゥーラが驚き呆れた声で言ってくる。






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でっちあげの罪によって国外追放された雑魚貴族、最強の『念力』スキルを手に入れたので、自分を追放に追いやったヤツをぶちのめした後、異世界を気ままに生きていく。 てるゆーぬ@キャンピングカー作品書籍化! @teru0024a

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