分かれ道
damn you
第1話 始まりの形
暗い部屋でただいつか来る夜明けを待っていた
目を閉じれば全てのことに感謝をするのを忘れていた事を思い出す
目に映る景色 風や街の匂い
ただ耳を澄ませてそこにいる感覚を感じなければ時間という人間の決めた概念が進んでしまう
始まりと終わりがないように生まれた時の記憶はない という事は死ぬ時も記憶はない
そもそもいつ始まったかも分からない自分に疑問を感じない事が少しおかしな事だと気付く
SNSを辞め時代の流れに逆行することで幸せが緑の風と共にやってくる
自分が進む方向に大きな何かがやってくる
やらなくてはいけないことなんて何もない
正しいことなんて何もない
絶対的なことなんて死ぬ以外ない
ここで3本目のたばこに灯りを
いやまてよ 死ぬという概念すら死んだら分からないか
という事は全て何もないんだ 何も存在しないこの世の真理の中に全てが存在する なるほどそうゆう事か これは大発見ではないか やったー
目が覚めた
「夢か」
彼の名前は弥彦 るろうに剣心にでてくるキャラクターの名前と一緒だ 歳は25
彼の親がなぜ弥彦と付けたかは定かではないが
このお話は弥彦がちょっと不思議でちょっとずつ世間とずれていき大きな事件に巻き込まれるそんなお話です
弥彦 「やべ もう8時半じゃん
用意して出なきゃ遅刻だ」
清掃関係の仕事をしている弥彦は足早に作業着を纏い車に飛び乗った
4月のこの時期はアパートの入退去清掃がかなり忙しい
弥彦 「おはようございます」
佐田美装社員一同「おはようございます」
佐田社長 「おはよう弥彦 今日の現場2DK3件だから大変だけど宜しくな」
弥彦 「はい!大丈夫です やり直しなしでいけるようにしっかりやってきます」
うわあマジかよ帰れんの何時だよ
弥彦 「今日僕のペア誰ですか?」
佐田社長 「三島ちゃん」
三島ちゃんは小柄ではきはきとした2個上の女性だ
三島 「今日やばそうだね 帰れんの何時かな
今日わたし彼氏と約束あんだよね」
弥彦 「三島さん頑張りましょう 俺できるだけ早く作業します」
2人で軽バンに荷物を積み込み会社を出発した
弥彦 「俺最近よく夢見るんですよねーよくっていうかほぼ毎日夢見るんですよ」
三島 「へー」
俺携帯見ながらの「へー」1番嫌い こいつ俺を男としては見てないな
今日はまだ春先なのになぜか陽気がかなり暑い
しかも現場が新宿なのが余計に暑く感じる
弥彦 「俺車パーキング停めてくるんで荷物お願いします」
三島 「了解 何階だっけ?」
弥彦 「2階です」
うわあどこも満車だ ちょっと歩くけどしょうがないか ここにとめるか
軽バンの軽いバック音が鳴る
通行人 「すいませんお兄さん 今ってお時間ありますか?」
弥彦 「これから現場で作業あるんで時間ないですよ」
営業かな?
通行人 「 3分でいいんで話し聞いてください」
なんだこいつ
弥彦 「なんですか」
通行人「私の名前は田口智則と言います」
フルネームかよ
田口 「あなたは佐田社長の会社 佐田美装で働いていますよね?」
弥彦 「はいそうですが」
田口「私はちょっと佐田社長と関係のある者なんですが 頼み事がありまして 実は佐田社長の車の下にこの機械を取り付けて欲しいんですよ」
弥彦「何ですかこれ?」
田口「GPSです もちろん報酬お支払いしますよ
五万円でどうですか?」
え 何これ やばい感じか?
弥彦「なんでそんなことするんですか?」
田口「それは言えません やってもらえますか?」
取り付けるだけで五万か 磁石みたいなの付いてるし 車の下潜って10秒あれば終わるな
弥彦「えーなんか怖いですよ 何使うのか知りませんけどバレてクビにされたら五万じゃ」
田口「分かりました 200万出します その代わりあなたが何か理由つけて佐田社長の了承を得て付けてください」
ん?どうゆうことだ
田口「社長にバレないように付けるなら五万
了承を得て付けるなら200万です」
えー!何それ!200万欲しいー っていうか三島ちゃんそろそろ怒ってそうー
弥彦「200万下さいやってみます」
田口「宜しくお願いします」
そう言うと名刺を渡してから足早に去っていった
弥彦「株式会社シエカシ か なんだこれ事業内容なんも書いてないじゃん」
というか今日は2DK3件だ!急がないとまずい
三島「おっそ!何やってんの最悪なんだけど」
弥彦 「ごめんなさい 停める場所なくて!急いでやります!」
2人は黙々となれた手付きで作業を始めた
おれはこの会社に入って3年目だ 仕事もだいぶ慣れ新人の研修なんかも任せてもらえるぐらいになってきた
この仕事は弥彦にとって天職だった
弥彦は何かを考えている時間が好きな青年だ
清掃している間に手をひたすら動かしながら頭では違うことを考えながら仕事をする
今日はあの田口という男が頭から離れなかった
三島「お腹すかない?休憩しようよ」
弥彦「え 今日なんか約束あるんじゃないんですか?俺食わなくても大丈夫ですよ」
三島「なんかなしになったからいいよそんな急がなくても」
弥彦「じゃあ休憩しますか コンビニ近くにあったかな?」
三島「松屋食べたくない?」
弥彦「いいですね 行きましょう」
2人は車に乗り込み松屋に向かった
三島「ねえこれ何?」
弥彦「あ えー自分の車の部品です」
三島「へー」
また携帯見ながらの「へー」だ
まあ今は逆に良かった 今考えたら自分の車の部品ですってなんだその理由
笑いそうになった
2人は店内に入った 意外に今日は空いてるな
奥の角の席に2人は座り注文した
三島「ねえねえ」
三島は俺のことを名前で呼んだことはない
三島「3億円事件って知ってる?」
弥彦「知ってますよ 俺結構好きでYouTubeとかでも調べたりして見てました あのーなんだっけな福士蒼汰主演の3億円事件題材にしたドラマ
あれ面白かったんですよねー」
三島「私もあの話好きでよくネットで見てるよ
その3億円事件の自称犯人とか言ってる人が匿名で本だしたじゃんーあれどう思う?」
弥彦「俺それ見たことないんですよね おもしろいんですか?てかそれ本当の犯人なんですか?」
三島「私もまだ読んででないから聞いたの
面白かったなら読んでみよっかなぁって」
牛丼とハンバーグのセットが来た
2人は食べながら3億円事件の話で盛り上がっていた
三島「ふーいっぱい食べたね今日は私が奢るよ」
弥彦「いいんですか?ありがとうございます」
三島「わたしその奢ってもらう時に いいんですか?っていわれるの嫌いなんだよね」
弥彦「え はは すいません 」
この女なんか変わってんだよなー
2人は次の現場に向かい始めた
その途中 三島が変なことを言い始めた
三島「私さー土曜日の夜に飲み会終わり夜中の2時くらいだったかなあ会社の前通ったんだけど佐田社長が車洗車してたんだよ 2時だよ!2時
意味わからんくない?」
弥彦「人でも轢いちゃってたりして」
三島「やめてよー怖い そん時さあ お疲れ様ですって声かけて少し話してたんだけど 社長がこんな夜中に洗車してるの変でしょ?このこと社員に話して広めてって言ったんだよ どゆことって思わない?」
弥彦「意味わからんすねーこれはもはや3億円事件だ」
三島「たまには面白いこというじゃん」
弥彦「でも本当に意味わからないですね
お!そろそろ次の現場着きますよ 頑張りましょう!」
2人は最後の現場に到着し機材を下ろして作業を開始した
最後の現場はかなり汚くひどい汚れがたくさんありなかなか手こずった
通常であれば2DKで3時間あれば仕上がるのだがこの最後の現場は5時間かかった
三島「あー疲れたやっと終わったね ここに住んでたやつ死なないかな もう外真っ暗じゃん」
弥彦「さすがに疲れましたね 今20時30分だ
会社に着くのは21時まわりますね」
三島「早く帰ろ おなかへったー 眠いー」
2人はせかせかと荷物を積み込み会社へと車を走らせた
佐田社長「おかえりー遅くまでお疲れ様 良く頑張ったな」
三島、弥彦「お疲れ様です」
三島「社長もう帰ってるかと思いました 最後の現場やばすぎでした」
佐田社長「そうか大変だったな 早く帰ってゆっくり休んで」
弥彦「ありがとうございます明日の用意だけしたら帰ります」
明日の現場はどこだ?指示書を見た
うわーまた新宿かよ
俺は新宿があまり好きではない 明確な理由はないがなんとなく雰囲気が嫌いだ
弥彦「三島さんー明日も俺とペアですよ 俺明日の用意しとくんで先あがってもらっていいですよ
」
三島「いいよ私も一緒にやるよ」
社長いなけりゃ貴様帰ってるだろ ちょっとイラッとした
弥彦「ありがとうございます 優しいですね」
用意をし終わり時計を見た時には22時を回っていた
弥彦「三島さん明日何時に出発します?現場一件だけだから遅めにしますか?」
三島「お ラッキー!良かったゆっくり寝れんじゃん 12時出発にしよ!」
弥彦「了解しました じゃあお疲れ様でした」
三島「おつかれー」
この会社は残業代が出ない代わりに出勤時間を自分で決められる 自分達の仕事次第で勤務時間が短くなったり長くなったりするシステムだ
弥彦は結構この勤務体形を気に入っている
弥彦は家に向かってハンドルを切った
帰りの道中弥彦は不思議な田口の事を思い出していた
あー今日仕事忙しかったからGPSの件忘れてた
まあ明日でいいか でも一体なんなんだ?これを社長の許可を得て社長の車に付けたら200万
最高じゃん200万 何に使おかなあー
弥彦は顔がにやけていた というより今日の疲れも相まって顔がふやけていた
どうやって社長の了承を得るかなー
んーなかなか難しいぞ
色々なことを考えた
そうだ俺の友達が最近GPSを作ったことにして色々な車種に対応できるか試してることにして付けさてもらおう 俺は普段まじめに仕事してるしそんな疑われないだろ
いい案も思いついた弥彦はウキウキで家に到着した
しかしそんなウキウキな気分は一瞬にして無くなった
弥彦「!!!」
弥彦の借りているアパートが崩壊していた 火事が起きたらしく 辺りには消防車や救急車がたくさん停まっていた
火事は2時間前に鎮火していたが今は警察などもきて色々調べていた
初めての経験で気が動転していた
こうゆう場合はどうするんだ?家がなくなった
とくに金目の物なんてないから大丈夫だけど服やらなんやらが全部燃えちゃった
とりあえず財布に免許証やキャッシュカードはあるから あ 通帳家にあったんだ まあいいかキャッシュカードあれば
いややばいぞおれそんな貯金ないし しばらくホテル暮らしなんてしたらすぐ金なくなっちゃう
とりあえず社長に電話するか
弥彦「お疲れ様です 遅くにすみません 今家ついたんですけど
あのアパートが火事になっちゃってまして」
佐田社長「なんじゃそりゃ 最悪じゃねえかよ
今日泊まれる場所あるのか?金は大丈夫か?」
弥彦「金ほぼないんでどうしようかと困ってまして」
佐田社長「とりあえず今日は会社に泊まりなあ
明日ゆっくり考えればいいよ 大丈夫だ心配するな 俺まだいるから鍵あいてる」
弥彦「ありがとうございます 今から向かいます」
こんなことあんのかよーまさか火事とは
シャワー入りてえなあ
来た道を車まで戻り始めた
佐田社長「大変だったな なんて火事になったんだ?」
弥彦「警察や消防が今調べてるみたいです 最悪ですよー明日から俺どうしようかなと」
佐田社長「とりあえずこれ30万渡しとくからしばらく凌いで
ホテルやら新しいアパート見つかるまで」
弥彦「ありがとうございます助かります ちゃんとお返しします!」
佐田社長「仕事頑張ってるし返さなくていいよ
気にするな」
弥彦「ありがとうございます わあマジで助かりました 明日現場おわったら不動産屋も行ってみます」
社長は会社を出た
弥彦は事務所のソファに倒れ込むように横になった
あー疲れた 今年になって1番疲れたかも
とりあえず寝よ
1日の疲れと驚きで5分で眠りに落ちた
ガチャ 会社のドアが開いた
弥彦「ん だれだろ あれもう朝か」
早朝現場がある社員達が出勤してきた
社員「おはようございます 起こしちゃいましたかすいません」
弥彦「大丈夫大丈夫 おはよう」
まだ眠いけど起きるか 準備だけしてまた寝よ
準備をはじめた弥彦はふと社長の車があるのが目に入った
GPSの件今電話で社長に話してみよ
弥彦「おはようございます社長 昨日はありがとうございました」
佐田社長「おお おはよう よく眠れた?」
弥彦 「はい疲れてたせいか速攻寝れました
話めっちゃ変わるんですけど友達GPSを開発しまして…」
考えてたとおりに話してみた
佐田「なんかよくわからんけど弥彦の友達の為になるならいいよ」
弥彦「ありがとうございます」
さっそく車の下に取り付けた
なんだこれ超楽じゃんこれで200万とか最高じゃん
無事に30秒で取り付け もらっていた田口の名刺に書いてある番号に連絡した
弥彦「こんにちは 田口さん 依頼されてたGPS取り付け完了しました 社長の許可ももらいました」
田口「 ありがとうございますお疲れ様でした
今日お金取りに来れますか?振り込みで銀行使うことはできないので」
弥彦「今日もらえるんですか!早いですね嬉しいありがとうございます!」
弥彦は喜びながら今日の現場の用意をはじめた
嬉しすぎて移動が自然にムーンウォークになっていた
お昼12時少し前に三島がやってきた
三島「おはよう」
弥彦「 おはようございます!聞いてくださいよ!」
三島「朝からうるさ テンションたか」
GPSの件を話した
三島「すご 良かったじゃん なんか奢ってよ」
弥彦「今日仕事終わったら回らない寿司くいにいきましょうよ」
三島「やったあ行こ行こ」
そして今日の仕事が始まり2人ともご機嫌だった
三島「現場1件だし終わったら寿司食えるし今日はやばいね弥彦くん」
あ 初めて名前呼んだ 寿司奢るからか
この寿司女め
そして無事仕事も終わり集合時間をきめて1回解散した
弥彦は今は会社が家なのですぐに用意ができ三島を待つことにした
19時集合の少し前に三島がやってきた
お マルジェラTシャツにトムウッドの指輪か
こいつ気合いいれてきたな
可愛く見えてきた
三島「おつかれーいこ」
2人は歩き出した
分かれ道 damn you @damnyou
★で称える
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