君は孤独を見せない。

全て空想だよ

1.

「本当の私ってなんなんだろう。」

 静かな部屋の中に、携帯の灯りのみが光っている中、1人の少女がそう呟いた。

 その少女の名は、水瀬明愛だ。今年から中学2年生になった。しかしクラスメイトなどと接していく中、少しずつ本当の自分を隠し偽っていくようになり、先程のあの呟きをするほどになってしまった。

「はあ、明日も学校か…行きたくないな。」

 彼女は、学校に行くことがとても苦しいと感じている。

 やはり、自分を偽り生活しているとそれがどんどん辛くなり、籠中の鳥のように自由がなく、教室にいることが窮屈に感じるよう。

「明愛、ご飯ができたわよ。」

 リビングから彼女の母親が呼んでいる。どうやら晩御飯ができだようだ。

「はーい。」

 そう返事した彼女の顔はとても暗く見えた。なぜかって?それは後ほどわかるだろう。

 彼女がリビングの扉を開けると、とても食欲を誘うような良い香りが香った。

「いただきます。」

 そう言い、彼女が食事を始めると、彼女の母親が口を開き、威圧を感じさせる口調でこう言った。

「明愛、この間テストがあったわよね。結果はどうだったのかしら。」

 明愛は一瞬停止した。この前のテストの点数は450点だったからだ。

 一般的にこの点数を見ればとても優秀で誉められるだろう。しかし、明愛の家は違う。明愛の家では満点以外は許されず、努力も認められない。

 明愛は重い口を開いた。

「お母さん、この前のテストの点数は450点だったよ、でも私毎日5時間も勉強して…」

「そんなの関係ないわ!何よその点数は。そんな点数で勉強したとか言わないでちょうだい。そんな子に育てたつもりはないわ。」

 明愛は目に涙を溜めた。先程母親に呼ばれた時くらい顔をした原因はこれだった。

 彼女はとても悔しく反論したかったが、できるわけもなく静かにご飯を食べ進めた。

「ご馳走様でした。」

 とてもぎこちない空気の中、なんとか完食した彼女は急足で自室へ戻った。

「また怒られちゃったな。」

 彼女は泣いていた。静かな部屋に彼女の泣き声だけが響いた。

 辛い。

 彼女の頭の中にはその二文字のみが巡っていた。

「なんで私はいつもこうなんだろう。」

 そういった、マイナスな考えが次から次へと出てき、止まらなかった。

 ふと、時計を見ると、もう22時を回っていた。マイナス思考ばっかに気を取られ、全く時間が経っていることに気づいていなかった。

「もう寝ないと…」

 明日の学校の支度をし、部屋の電気を消し、彼女は眠りについた。





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