少女の強さと共に進む物語
- ★★★ Excellent!!!
始まりは、絶望から。
皇雅国(こうがのくに)の要である護(まも)り刀の力が失われて、結界が解けた事により妖が溢れてしまった。
主人公である、沙夜が住む村もまた例に漏れず、妖の手により滅んでしまう。
沙夜を守ってくれたばあばを胸に皇都へと旅立つ姿は、不安げながらも逞しい。隣にいる玖狼の存在も大きい。
沙夜を守るように決してそばを離れない姿は、鉄壁を思わせます。
沙夜と寄り添う姿、モフモフするシーンが何とも言えず羨まし……二人の信頼関係が明確にあります。
一人じゃ無い。それもまた、沙夜にとっての心の支えであったようにも思います。
辛い日々を乗り越えた先にあった皇都。そこでもまた、事件があり、結界が解けた原因の中心へと差し迫るお話となるのですが、是非とも深みへと入っていただきたい。
このお話の真髄である、妖、そして陰陽師の存在。
呪文や動作の一つ一つに、凄みと迫力があります。
また、後宮へと踏み入れば、人の醜さや欲望に触れて、恐ろしいのは妖だけでは無いのだと思い知るでしょう。
作者様が拘ったキャラクター、世界観、そして何より、物語の中心である沙夜の強さ。
全て必見です。